【完結】強面巨体の僕は家族に邪険にされたけど、いつの間にか美少女と婚約していた

ユユ

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打ちのめされる白い妻

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【 リリアナの視点 】


  私は取り返しのつかない大きな過ちを犯してしまった。

自らぶち壊してしまったのだ。

クリスはずっと自制していてくれた。
寄宿学校では友人達が、先輩や教師でさえ、町へ出て女性を買ったり口説いたりして女性の身体を求める中で、クリスはお父様の言い付けを守ってくれた。

卒業しても私との初夜まで我慢してくれた。

やっとクリスのお嫁さんに…。

なのに疲れと寝不足とアルコールでいつの間にか眠ってしまった。


クリスは労わってくれたけど、それがまるで求められていないように感じて、癇癪を起こし、すれ違い、拒否の言葉を出してしまった。

無表情でクリスは続き部屋へ去ってしまった。その後ろ姿が出陣前の最後の姿になってしまった。



それから三年以上の時が流れた。
クリスは武勲を積み重ねる中、私に書いたのは離縁の催促。
出陣の前に記入済みの届を置いていっていた。


「お嬢様、旦那様がお呼びです」

人払いのされた応接間に行くと開封済みの手紙を渡された。


“リリアナ

元気に過ごしているか?

こちらは先行きが見えない。  

夫の務めを果たすことのないまま、こんな話を手紙で切り出すのは申し訳ないが、時間は過ぎて行くので手紙で許して欲しい。

君はコンラッドの血を繋げる役目がある。
もう大人だから分かっているだろう。

私達は白い結婚だ。

早く離縁届を出して、新しい伴侶を迎えてくれ。

そしてもう一つ、先日、他の女性と関係を持った。
コンラッドを名乗る資格はもう僕には無い。

本当に申し訳ない。


戦争が終われば職も辞するつもりだ。
副団長にはとてもお世話になったのに、裏切るようなかたちになってしまった。

美しいリリアナ。

僕のことは捨てて、いい男をさがしてくれ。

幸運を。

クリス”


涙が溢れて手紙の文字を滲ませていく。

「クリスの主張は尤もだ。
私も14歳になる前のクリスをこれまでずっと縛り付けてしまった。

戦争中に駆り出されている兵士が妻以外の独身の女性と関係をもつことは認められている。
法的には不貞ではない。

よく今まで身綺麗で居続けてくれたと感謝をしなくては」

「っ!」

「リリ。解放してやりなさい」

「イヤ!」

「リリはクリスに愛人がいても、婚外子がいても、責めることなく本妻としてクリスと夫婦でいられるか?

泣いたり責め立てたりせず、クリスが愛人や子に会いに行く時は快く送り出せるか?

相手次第では社交でも顔をあわせることになる。

リリには無理だろう」

「お父様っ」

「次の交代は私が行ってクリスと話す」

「別れたくないの!」

「リリ。心も大人になれ」



数ヶ月後、相手は辺境伯の娘で未亡人として戻ってきていたルイーザという女性だと分かった。
妊娠しているという。

私という妻がいると分かっていて、彼女は避妊薬を飲まなかった。これは私への宣戦布告でもあり、クリスを手に入れたいという強い意思表示だった。




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