【完結】強面巨体の僕は家族に邪険にされたけど、いつの間にか美少女と婚約していた

ユユ

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辺境の姫

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【 ルイーザの視点 】


辺境の地で育った私は屈強な兵士に囲まれて育った。

お父様もお兄様も逞しく、使用人でさえ剣を握れる。男とはそういうものだと思っていた。

政略結婚で嫁いだ先は、武器を作るための材料が取れる領地の子息だった。 

嫁いでみれば、女のように香水をつけ、彫刻かと言いたくなるような乱れのない髪型をした、色の白い細い男だった。

ヒラヒラした服で常に鏡を意識する。

初夜では、お決まりのように私を抱き上げたが、よろけていて怖かった。

閨は自分勝手。ちょっと解し、突っ込み、射精感を得るためだけに単調に擦り、高まるとそのまま女のような吐息と共に吐精する。

「気持ち良かっただろう?」

「はい」

満足気に眠りについた。

アレで女を満足させている気になっているなんて。


初夜から毎晩同じことの繰り返し。
毎回、達したかどうか聞いてくる。

気持ち良くないし、体位も同じ。単調に擦って出す。一番嫌なのは聞かれること。

……地獄だ。

仕方なく、聞かれる必要がないよう、大袈裟に達したフリをした。

満足気に眠りにつく。

子は一年経ってからと言われていて、毎夜避妊薬を飲んでいる。


ある日、親戚が集まっていて、食後に男性達はシガールームで酒を飲んでいた。

先に休むと声をかけようとした時に、話が聞こえてしまった。

『毎晩大変だよ。“イク~!イク~!”って喜んじゃって』

『夫人は積極的なのだな』

『抱いてやらないと拗ねちゃうから頑張るよ』

『スタイル良くて羨ましい』

『そうだけど、私はきつめの美人より可愛い子が良かった。一年後に孕ませたら、可愛い愛人を見つけるよ』

『ジョン、行かなくていいのか。夫人が濡らして待ってるぞ』

『少し焦らしておけばいいんだよ。躾だよ、躾』

『女は従順が一番だからな』


あいつの首を掻き切ってしまおうか。
本気でそう思った。
手に取ったナイフを見て、材料の件を思い出し我に返った。
その夜は空き部屋で眠った。



一年経って、夫は子作りといって、やはり同じように毎晩抱く。

さっさと孕んで解放されようかとも思ったが、避妊薬をこっそり飲み続けた。
あの男の子種で孕みたくなかったからだ。

そんな中、チャンスがやってきた。
高熱を出し、呼吸音もおかしいと医師が言う。

私は看病をかってでた。

庭に雑草として生えていた毒草をすり潰して少量ずつ飲ませた。

夜中に心臓が止まった。



葬儀を終えると籍を抜いて辺境に戻った。
その時には既に開戦中だった。

そこで見つけたのはクリスだった。
私の理想の男。

以前、寄宿騎士学校に逸材がいると騒いでいた。
それが彼だった。

辺境軍はすっかり仲間として扱い、お父様は息子のように可愛がっていた。

「お兄様、クリスをスカウトしなかったの?」

「したさ。だけど王宮騎士団の副団長が入学前に目を付けていて、囲っていた。つまり我々は出遅れたんだ。

クリスは辺境うちが合っていると思うけど、副団長は侯爵で、その一人娘の婿にしてしまった」

「ふ~ん。

誘っても構わないわよね」

「彼が欲しいのか?」

「死んだ夫は最悪だったわ。私は彼のような男がタイプなの」

「上手くいっても身体だけになるかもしれないぞ」

「避妊薬は飲まないわ」

「次期侯爵だぞ?」

「構わないわ。私は一度嫁いで役目を果たしたのだからご褒美をもらったっていいでしょ?」

「堅物だぞ」

「頑張るわ」



彼は未経験だった。愛撫も拙い。
だけど最高だった。

直ぐに腰の振り方のコツを覚えて、何度も私を絶頂へ導いてくれた。


翌日、謝罪された。
妻がいるとも言われた。

「我慢できずに申し訳ない」

「私が望んだの。私では満足させられなかったのね」

悲しそうな顔をするとクリスは否定した。

「全てが初めてで、素晴らしく気持ちのいい夜だった。ありがとう」

「嬉しいわ。貴方がここにいる間、夜這いをかけ続けるわ。

離縁してとか、そんなことは言わない。
クリスに抱いて欲しいの。私もクリスを癒したい。
体を繋げて男を癒すのは女の役目。

私の好みである戦士クリスを癒させて」



エスペランド城にクリスが滞在する時は毎日夜這いをかけた。

もう彼は私の体を知り尽くしていた。







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