【完結】私が見つめていたのは貴方ではありません

ユユ

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レオナード②

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晩餐の後、リリアーヌ嬢を伯爵邸に送るために馬車に乗った。

隣を見ると、美しく可憐な令嬢が座っている。

窓から月を見ているようだ。神秘の泉のような瞳。
ずっと見ていても飽きないだろう。

何故彼女が地獄へ向かわなくてはならないのか…あんな殿下こどものために。

初夜では流石に眼鏡を取るだろう。その時に、あの穢れた体で清らかなリリアーヌを喜んで抱き潰すのだろうな。

そう思ったら、怒りが込み上げてきた。



伯爵邸に着くと執事が慌てて伯爵を呼びに行った。

リリアーヌ嬢が素顔を晒していることに驚いているようだ。

「我が家の犬が、リリアーヌ嬢に飛びついて舐め回してしまいました。大きめの犬で、リリアーヌ嬢は擦り傷とアザができてしまいました。着ていたドレスも破れてしまいました。
大変申し訳ございません」

「デクスター公爵、お入りください。

リリアーヌ、着替えてきなさい」

「はい。公爵様、失礼します」




応接間に通され、座った途端に伯爵が懇願してきた。

「デクスター公爵、お願いです!リリアーヌの変装の件、知らなかったことにしてください!」

「頭を上げてください。大体のことは知っています。そして、目的も」

「…」

「殿下が心変わりをして解消するのを待っているのですね」

「…」

「心配なさらないでください。
私はリリアーヌ嬢に助けていただきました。
私も、息子のハミエルも、リリアーヌ嬢の味方です。協力します」

「公爵…」

「長男のクリストフはニコラ殿下と同い年で側近候補でした。
クリストフは殿下の悪行を咎めませんでした。殿下の言葉を鵜呑みにしていたのです」

「殿下はなんと」

「“意に沿わぬ婚約”だと」

「…そうきましたか」

「私は次期公爵にクリストフを指名していましたが、相応しくないと判断して次男のハミエルに指名を変えました。

私もハミエルも、婚約の経緯とその後の仕打ちに憤りを感じています。

“王命”という脅しをチラつかせなければ、リリアーヌ嬢は、自身の才を惜しみなく発揮し、伸び伸びと自由に生きられたはずです。

大事な少女時代を奪われ、この先は死ぬまで地獄で生きねばならないなど、とても見過ごせません」

「リリアーヌには好きな人と結婚して欲しかったのです。あの子が笑顔でいてくれさえすれば私も妻も、リリアーヌの姉と兄も満足なのです。それなのにあんな不誠実なことを」

「知っておられるのですね」

「学園に4人生徒として忍ばせてします。
不運にも学費が捻出できない貴族と契約をしているのです」

「そうでしたか」

「娘は楽しく慈善活動をしていますから、娘が続けたいと言っているうちは、そのまま受け入れてくださいませんか」

「こちらこそ、大変優秀なリリアーヌ先生のおかげで、ハミエルが降参するほど孤児達が実力を付けています。本当に素晴らしいご令嬢です」

「そう言っていただけると、安心できます」

「伯爵、うちの犬がドレスを破ったので、新しいドレスを贈りたい。懇意にしている仕立て屋は何処ですか」

「そんな、汚れてもいいドレスで孤児院へ行っていますので、気になさらないでください」

「伯爵が私の立場でしたら何もしないことを選びますか」

「……  “ブイエー”という店です」

「ありがとうございます」





翌日、定時で仕事から逃げるように城を出てブイエーに来た。

「先触れを出していたデクスターだ」

「これは公爵様、奥の部屋でお伺いいたします」

弁償と謝罪と日頃の感謝のためにドレスを贈りたいと相談した。

悩んだ挙句、ようやく4着が決まった。
店主が呆れていた。3時間もかけてしまった。

「仕上がったらこっちの2つを贈り物としてベロア伯爵家に届けてくれ。
残り2つは公爵家に届けてくれ」

「デクスター公爵家ですか?」

「そうだ」

「かしこまりました」

ドレスとワンピースを注文した。また着替えが無くては困るからな。




屋敷に帰り、家令に指示を出す

「ブイエーにドレスとワンピースを1着ずつ頼んできた。届いたら一番いい客間のクローゼットにかけておいてくれ」

「…かしこまりました」

もしや靴も必要だったか。
翌日、伯爵に手紙を送り、靴屋も聞き出した。

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