【完結】道をそれた少女は別世界でも竹刀を握る

ユユ

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クビ

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どんどん使用人達の態度が悪くなっていく中、

「お嬢様のお口に合わなかったようで申し訳ございません」

ついに料理長が私の部屋に来て この言葉を口にした。

「え?」

「私は料理長をしておりますが、これでも宮廷料理人でした。私の料理はゴミだとか」

「そんなこと言っていないわ」

「実際にお嬢様の部屋のゴミ箱に昨日の昼食が捨てられていたとメイドから聞きました」

「私は食堂に居たわ」

「マリッサ様もカーラ様も、クリスティーナお嬢様は部屋で食べると言ってナプキンに包んでお部屋へ戻られたと仰いました」

「私は食堂で食べたわ」

「ではお嬢様のゴミ箱に捨ててあった食事は?」

「あのね。ゴミ箱に捨てるくらいならテーブルに残しておくわよ。
わざわざ部屋へ持っていくなんて手が汚れるし、ゴミ箱に入れたら部屋中臭いがするじゃない。

何故私が一階の食堂から2階の部屋まで運ばなくちゃ今けないの?

私のドレスの丈を知らないの?
メイド服とは違って裾を少し上げて階段を登るのよ?

昼食をナプキンに包んだのなら両手が塞がって階段なんか登れないわ。

無茶なことを言わないで」

「ですが!」

「料理長!!

もしもよ。本当に私が美味しくないと感じるものが昼食に出てきたのだとしたら、責任は貴方にあるのではなくて?

元宮廷の料理人だったなら、いろいろな地位の方に食事を出したはずだけど、残したりした人全員にその様な態度をとったの?」

「っ! いいえ」

「私は誰?」

「クリスティーナ様です」

「ファーズ侯爵の唯一の娘にその態度はなんなの?」

「……申し訳ございません」

「料理長という立場の人は、他の料理人を部下としてまとめる役割をもっているのよね」

「はい」

「揉めたときに、一方の話だけ信じて もう一方に感情をぶつけるようでは料理長は務まらないわ」

「……申し訳ございません」

「もういいわ。仕事に戻ってちょうだい」

「失礼します」



だけど、その日の夜

「料理長を呼んで」

マリッサ達が食べ終わり、退室した後に呼んだ。


現れた料理長の口の端が上がっていた。

「この煮込み、貴方が今ここで完食してちょうだい」

「へ?」

「ほら、座って。
キラ。このお皿を料理長の前にお出しして」

「かしこまりました」

「いえ、私は」

「私に出される料理の全責任を負うのは貴方よ、料理長。

ソレは一口も手を付けてないから完食して」

「お、お腹いっぱいで」

「なら消化して その煮込みを食べるまで、そこを動かないで。私もここにいるわ」

「っ!!」

「キラ。扉を閉めてちょうだい」

「かしこまりました」

バタン  バタン



待つこと1時間。口に運びだしたが顔色が悪い。

最後の一口をスプーンで隠して青ざめていた。

「料理長、最後まで食べなさい」

「いや、もう…」

「食べろって言ってんだよ。ジジイ」

「なっ!」

「おい。クソみたいな真似しやがって。
さっさと食べないと二度と包丁が握れない様にしてやるぞ」

バン!!

ちょっと手が痛いが、テーブルを叩いた。

「お、お嬢様」

「お嬢様だなんて思ってないんだろう?
クソガキとか思ったんだろう?
だから煮込みに小さなカエルを入れたんだろう?」

「い、いえそんな」

「なら、元々の具がカエルなんだな?
いいから食え。

でなきゃ毒を盛ったとして処刑してもいいんだぞ」

「毒だなんて」

「なら食べろよ」

「……」

「兵士を呼んで無理矢理食わせようか?」

「ゴクッ……グッ!」

料理長はカエルを丸呑みして立ち上がるとゴミ箱に向かって吐き戻した。

「ああ、お前が言った様にゴミ箱に捨てる料理なんだな」

「ゲホッ ゲホッ」

「キラ、兵士を2人呼んで」

「かしこまりました」


兵士2人が食堂にやってきた。

「お呼びでしょうか」

「料理長に荷物を纏めさせて直ぐに追い出して。
荷造りの間も目を離さないで。侯爵家の令嬢に異物を食べさせようとした罪人だから。

気に入らないと煮込みにカエルを入れる男なの。
みんなの食事も何されてるか分からないわね。

今日の煮込みはカエルの出汁がでていたみたいよ」

「直ぐ追い出します」


兵士達は料理長を引き摺っていった。


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