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襲撃事件の調査
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【 ジル・スプラナード公爵の視点 】
朝 登城して騎士団のことは副団長に任せて調査部へ顔を出した。
「昨日の賊は口を割ったかな? ソリッド殿」
「おはようございます団長。一応供述は取れましたが依頼主は平民の女だと言っています」
「平民の女が雇えるわけがない。破落戸とは違うと聞いている」
ソリッドは調査部の責任者で叩き上げの実力者だ。
「ええ。女の話口調からすると元貴族か、金持ちか。顔付きは普通じゃなかったと。
かなりの怨恨でファーズ侯爵令嬢を襲ったようです」
息子だと思っていたが、クリスティーナの方だったとは。
子供にそれほどの怨恨を?
それとも本来の目的は侯爵か?
「あ…」
「団長?」
「心当たりがある。ファーズ侯爵を呼んでくれ」
ファーズ侯爵は財務部で副責任者をしている。
かなり忙しい部署だ。
ファーズ侯爵を交えてソリッド殿と心当たりの話をした。
私「伯爵、うちの騎士を貸し出した時の事件だが、未亡人達はどうされた」
侯「亡くなった子爵の兄の伯爵へ引き渡しました。
彼の紹介だったものですから」
私「今回の襲撃対象はクリスティーナだった」
侯「は!? クリスティーナですか」
私「賊の証言だと奴らは傭兵で、ある女に雇われていた。かなりの怨恨のある平民の女と言っているが、話口調からすると元貴族かもしれない」
侯「ヘレナだと仰るのですか?
ワーグナー伯爵の態度からはそんな感じはありませんでした。多額の請求はしましたが素直に応じました。追加で襲う費用を出すとは思えません。
クリスティーナを殺したところで彼等に金は入りません」
ソ「誘拐ではなく殺害依頼だと言っておりました。怨恨なら金云々ではなくなります」
私「未亡人の資産は?」
侯「存じません。持ち込んだ荷物も全部引き渡しましたから」
ソ「貴族夫人なら宝石など金目の物を持っていてもおかしくありません」
私「換金して費用にしたか」
侯「クリスティーナを酷い目に遭わせたのに処刑せずに解放したのに怨恨ですか」
私「ソリッド殿。伯爵の元に調査員を派遣して後追いをしてくれないか。
第二の襲撃があっては困る」
ソ「かしこまりました」
侯爵を連れて財務部の応接間に来た。
「クリスティーナは今日 誕生日だったのですね」
「はい。使用人達が準備をしていたので残念です」
「では今夜一旦戻り、侯爵家でお祝いをして公爵家に戻すのはどうでしょう。
こちらでも朝聞いて支度を始めていますので、人数が増える分、こちらからも料理を運ばせましょう」
「え?」
「祝い事はみんなでやればクリスティーナも楽しいだろう。
息子達も連れて行くから、クリスティーナの他に4人増える。どちらの屋敷にも連絡に向かわせよう」
「いや、お忙しいでしょう。ご子息達にもご迷惑じゃ、」
「小さな妹ができたみたいで喜んでいるから大丈夫」
「…わかりました」
「それで侯爵。何をどう教えたらクリスティーナは無慈悲な子供になるのだ?」
「あ~確かに未亡人の娘二人は酷いことになっていましたが」
「今回もだ」
襲撃時、護衛達やノエルから聞いた話をすると目を瞑り瞑想をしだした。
「侯爵?」
「さっぱり分かりません。
未亡人のときに体を鍛えているとは聞いていましたが、誰も教えていません。
木刀や手袋を急に欲しがって、素振りをしだしたと聞いています」
「独学か。
では、今日は早く屋敷に戻りましょう」
朝 登城して騎士団のことは副団長に任せて調査部へ顔を出した。
「昨日の賊は口を割ったかな? ソリッド殿」
「おはようございます団長。一応供述は取れましたが依頼主は平民の女だと言っています」
「平民の女が雇えるわけがない。破落戸とは違うと聞いている」
ソリッドは調査部の責任者で叩き上げの実力者だ。
「ええ。女の話口調からすると元貴族か、金持ちか。顔付きは普通じゃなかったと。
かなりの怨恨でファーズ侯爵令嬢を襲ったようです」
息子だと思っていたが、クリスティーナの方だったとは。
子供にそれほどの怨恨を?
それとも本来の目的は侯爵か?
「あ…」
「団長?」
「心当たりがある。ファーズ侯爵を呼んでくれ」
ファーズ侯爵は財務部で副責任者をしている。
かなり忙しい部署だ。
ファーズ侯爵を交えてソリッド殿と心当たりの話をした。
私「伯爵、うちの騎士を貸し出した時の事件だが、未亡人達はどうされた」
侯「亡くなった子爵の兄の伯爵へ引き渡しました。
彼の紹介だったものですから」
私「今回の襲撃対象はクリスティーナだった」
侯「は!? クリスティーナですか」
私「賊の証言だと奴らは傭兵で、ある女に雇われていた。かなりの怨恨のある平民の女と言っているが、話口調からすると元貴族かもしれない」
侯「ヘレナだと仰るのですか?
ワーグナー伯爵の態度からはそんな感じはありませんでした。多額の請求はしましたが素直に応じました。追加で襲う費用を出すとは思えません。
クリスティーナを殺したところで彼等に金は入りません」
ソ「誘拐ではなく殺害依頼だと言っておりました。怨恨なら金云々ではなくなります」
私「未亡人の資産は?」
侯「存じません。持ち込んだ荷物も全部引き渡しましたから」
ソ「貴族夫人なら宝石など金目の物を持っていてもおかしくありません」
私「換金して費用にしたか」
侯「クリスティーナを酷い目に遭わせたのに処刑せずに解放したのに怨恨ですか」
私「ソリッド殿。伯爵の元に調査員を派遣して後追いをしてくれないか。
第二の襲撃があっては困る」
ソ「かしこまりました」
侯爵を連れて財務部の応接間に来た。
「クリスティーナは今日 誕生日だったのですね」
「はい。使用人達が準備をしていたので残念です」
「では今夜一旦戻り、侯爵家でお祝いをして公爵家に戻すのはどうでしょう。
こちらでも朝聞いて支度を始めていますので、人数が増える分、こちらからも料理を運ばせましょう」
「え?」
「祝い事はみんなでやればクリスティーナも楽しいだろう。
息子達も連れて行くから、クリスティーナの他に4人増える。どちらの屋敷にも連絡に向かわせよう」
「いや、お忙しいでしょう。ご子息達にもご迷惑じゃ、」
「小さな妹ができたみたいで喜んでいるから大丈夫」
「…わかりました」
「それで侯爵。何をどう教えたらクリスティーナは無慈悲な子供になるのだ?」
「あ~確かに未亡人の娘二人は酷いことになっていましたが」
「今回もだ」
襲撃時、護衛達やノエルから聞いた話をすると目を瞑り瞑想をしだした。
「侯爵?」
「さっぱり分かりません。
未亡人のときに体を鍛えているとは聞いていましたが、誰も教えていません。
木刀や手袋を急に欲しがって、素振りをしだしたと聞いています」
「独学か。
では、今日は早く屋敷に戻りましょう」
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