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今更って

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「ハハッ 君凄いね」

声の方に振り向くと、隣のバルコニーの手すりに肘をついて寄りかかったひとがいた。

「……ごきげんよう」

部屋は違うようなので中に入ろうとしたが

「ちょっと待ってよ。

さっきの、アドニアの王女だよ? 大丈夫?」

「それは存じ上げませんでした」

ノブに手を掛けた。

「あのウ◯コ頭はアドニアの女性に流行っている髪型なんだよ」

「まあ、素晴らしいですわ。では、」

「こっちにおいでよ」

「父がこの部屋にいろと……」

廊下を隔てるドアの向こうでさっきの王女ひとが喚いていた。

「ここまで聞こえるよ。

……王女を通さないなんて、君は要人の娘なのだね」

「ただの侯爵令嬢ですわ」

「名前は?」

「……」

「失礼。俺の名はオスカーだ。君は?」

「ファーズと申します」

「フルネームを教えてよ」

「お互い様ではありませんか? 失礼」

「待って」

無視して部屋に入りお茶を飲んでいると廊下に続くドアが開いた。

「ティナ」

「ノエルくん」

「ちょっと!なんでその男は通れて私を通さないのよ!!」

「ですから、ここは関係者のみ入れる部屋なのです」

「ノエルくん。煩いから閉めちゃって」

バタン

2日ぶりのノエルくんを直視できない。
あんなことするから。

あ!

「ノエルくん。ノエルくんと私が婚約したって言われたんだけど、本当?」

「本当だよ。ティナに唇を奪われちゃって、他所にお婿に行けなくなっちゃったし、ティナの中も確認したからティナも私以外を夫にできないからね」

「あれは実験で、」

「ティナがどういうつもりでもキスはキスだ」

「後で殿下に聞いてみよう」

「こんなプライベートなことを言いふらすなら、今すぐ籍を入れてもらう」

「卒業してすぐだなんて早い!」

「いつならいいんだ?」

「26歳?」

「何でそんなに遅いんだ」

「じゃあ5年後で」

「理由は何だ」

「卒業したら遊びたいし、旅もしたいし」

「すればいいだろう」

「じゃあ 5年後に、」

「結婚して、健全に遊べばいいだろう」

「え…」

「まさか男と遊ぶ気じゃないだろうな」

「友達だよ」

「浮気者」

「んっ」

またキスをされてしまった。

ドンドンドンドン!!

〈出てきなさい!!〉


「……」

「アレ、なんだ?」

「実は…」

庭園で起きたことを話した。

「そうか。あのままじゃ兵士が可哀想だから追い払おう。
ティナ。私の首に手を回せ。私が何をしても目を瞑って受け入れろ」

ノエルくんはジャケットを脱ぎ、シャツをはだけさせ、私を扉の前に連れていくと手をノエルくんの首に回させた。

腰を引き寄せキスをしながらドアを開けた。

ノエルくんの手が私の胸に!!

「やっと!……なっ!!」

「取り込み中なんだけど、混ざりたいのか?」

「なっ!破廉恥な!!」

「混ざらないなら邪魔しないでくれ」

バタン

ドアを閉めると静かになった。


「効果あったな」

「い、今  胸っ」

「もうティナの中を知ってるのに今更だろう。
追い払ったんだからご褒美貰わないとな」

「んあっ」

ノエルくんが ノエルくんじゃない!


結局メイドを呼んでメイク直しをしてもらうことになった。
 
舐められた首元も拭いた。







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