【完結】道をそれた少女は別世界でも竹刀を握る

ユユ

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ノーブルの麻薬騒動

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【 ノーブル王国 王太子オスカーの視点 】


国内で依存性の高い麻薬が流通していた。
それが発覚したのは1年半前。
従来のものかと思ったら新しい物だと報告が上がった。

平民に手が出せる価格ではなく、貴族達に依存者が出た。

頭の中が真っ白になる程の快楽を得られるのだとか。悩みも何もかも吹き飛ぶ数時間を堪能できるらしい。

売り上げが落ちたと声を上げたのは娼館だ。
男など、射精の間だけしっかりとした快楽を得られる生き物だ。
長くても1分…続けてヤれる者でも合わせて数分の快楽に対し、新しい麻薬は一度の使用で数時間効果があり射精よりも快楽が強い。となると麻薬に手を出すのは頷ける。

効いている間は全く使いものにならないし、その間の記憶も無い。
犯罪に用いられるのも時間の問題だった。


ある日 隣国フォセットの王家から書簡が届いた。
第一王子が謁見をしたいという内容だった。


1ヶ月後、長い車列とかなりの護衛騎士が隊列を組んでいた。

“信用ある騎士達に運ぶのを手伝ってもらいたい”と頼まれて、人手を出した。
麻袋は重く、中身は金貨か何かだと想定した。

謁見の間に全て運び込まれた。

第一王子は深く頭を下げた。

国王父上がフォセット王からの手紙を読んだ。

それを側近、次に私に回した。

麻薬の供給元がフォセットで、捕らえて処罰を済ませ麻薬草は廃棄処分にしたようだ。

名前も流通経路も収益も記載されていた。

こんなことは隠しておけば良いだろうに。

父「麻薬の存在は把握していたが、フォセット王国からの輸入品とは知らなかった。
何故教えてくれるのだろうか」

王子「それはいつかフォセットに返るからです。

私達は秘密裏に処理をして蓋をするつもりでした。

ある令嬢が己の父親を通して 我らに進言をしました。

依存性の高い麻薬であれば、供給を絶てば入手したいと購入者から販売者、販売者から輸入者、輸入者から供給元へ辿られる。

そのときに、地続きの隣国に不誠実な対応を取ったと知られたら、同じ目に遭うのはフォセットだと。

将来の国益を考えるのであれば、今 正直に話した方がいい。
悪いことの報告は知られてからより知られる前にする方がいいと」

父「父親は何を?」

王子「財務部のナンバー2です」

父「隣接した領地の当主がトップと書いてあるな」

王子「はい。金回りが良くなり、怪しんで内偵をしておりました。当初は癒着とか賄賂などを想定しておりましたが、栽培していた領主の娘がハサミで令嬢の顔を切り付けたことをきっかけに屋敷や領地に捜査を入れ、麻薬草を見つけ、後は芋蔓式に」

父「進言をした令嬢と負傷した令嬢は同一人物なのだな」

王子「はい。髪の一部と一緒に。完治はしましたし、髪型次第では隠せますが、耳の下辺りの頬に少し傷跡が残りました」

父「幾つだ」

王子「16歳です」

父「なんと酷いことを。さぞ気落しただろう」

王子「それが なかなか面白い令嬢で、全く気にならないそうです。“目が潰れたわけじゃあるまいし” と元気にしております」

父「そうか。婚約者はいるのかな」

王子「おりません」

父「後、手紙には 麻薬で手に入れた売上金の全てを支払うと書いてある。そこの麻袋の山が?」

王子「はい。陛下。

最初は国庫に納めようとしましたが、また進言がありました。

依存性の高い薬物ということは、それだけノーブル王国の損失を生み出しているのだと。

足りるとは思えませんが、依存者の皆様が治療にあたる費用にしていただければと持参いたしました」

父「しかと誠意を受け取った。
数日滞在する間に案内を付けよう。
次期国王にノーブルを知って帰って貰いたい」

王子「お慈悲に感謝を申し上げます」

父「良き臣下を持ったな。
令嬢の名はなんと申す」

王子「クリスティーナ・ファーズ。侯爵家の一人娘でございます」

父「クリスティーナ嬢を大切にされよ」

王子「仰せの通りにいたします」









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