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入学式
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「エマ、今日はすぐに終わるからこのまま待っているよ」
「ひとりで行けるのに」
「どう体が反応するか分からないだろう。
失神でもしたら私が運ばないと」
「アル様は大袈裟だわ」
「だいたい女学校を選ぶと思っていたのに」
「領地経営は女学校ではやっていなかったから」
「エマは私の側にいてくれるだけでいいんだ」
「そんなことをしていたら直ぐに飽きられてしまうわ」
「まだ言うのか。
君との婚約は私が頼み込んで成されたものだ。君だけを、君と家族だけを大事にすると誓う」
そう。私達は婚約した。
私は大分心の傷が癒え普通の生活が送れるようになった。
学校も両方資料を見たが女学校の方は淑女を育てる2年制の学校で、刺繍やダンス、楽器や語学、歴史とマナーを重点的に教える。
私は楽器を習うつもりはないし、語学も普通でいい。他は2度の人生で習得しているから。
みんなは私が2つの前世の記憶持ちと思っているが2度の巻き戻りなのは誰も知らない。
そして、個人資産で一度だけ投資をした。
両親には投資したいなら代わりにやってあげるから個人資産は手をつけるなと言われたが一度だけとお願いして許してもらった。
契約後に父に見せたら、個人資産の全額を使ったことに驚愕していた。それ以来ちょっと警戒されている。この娘は見張っていないと何するかわからないと。
それが子爵家に戻って直ぐのことで、学園から合否通知が届くのと同時に投資先から手紙が届いていた。
父も母もアル様はも合否通知は無視して投資先からの手紙を読んだ。
“貴女のお力添えに心から感謝を申し上げます。大株主としてパーティにご出席くださいますようお願い申し上げます。”
『大株主…』
『そうなのだよ。エマは個人資産の全額を注ぎ込んでしまったんだ。怖いもの知らずだと思わないか』
『確かに…』
『アル兄様まで…』
『つまり筆頭株主なんだな』
『そうみたいね』
『義父上、義母上。そのパーティ、私をエマの婚約者としてエスコートさせてもらえないでしょうか』
『ちょっと!アル兄様!たかがパーティにそんな必要はありませんわ!』
『エマ。私は子供の頃からずっとエマを愛してきた。待っても待っても気が付いてくれないから悲しかったよ』
『えっ!……すみません』
『私だけのエマになって』
『でも私は……』
『かまわない。エマに無理強いはしない。義務などと思わなくていい。側にいて私を愛してくれたらそれだけでいい。
妾や愛人など作らないし後継は養子でいい』
『それでは公爵様が納得しませんわ』
『納得しなければとっくに私には婚約者がいるし、結婚間近のはずだ』
『後悔しますわ』
『義父上と相談しながら婚前契約書を作る。
後は義母上とエマが確認をして納得してもらえれば署名して欲しい』
『エマは一生ここに居ても良いし、別邸を買って気ままに暮らしても良い。
もし、エマがアレクサンドル殿に好意があるならチャンスを逃さないで欲しい。彼は何年も私達に誠意を見せてくれた。彼以上の男など現れないぞ』
『お受けいたします。よろしくお願いいたします』
『ありがとうございます!!』
何故かアル様はお父様に跪いて手を握ってお礼を言っていたのよね。
そこは私の手を握るところでしょ。
お母様なんて涙を浮かべて笑っていたわ。
「明日からはひとりで通うわ」
「駄目だ!送っていくし、終わる時間に迎えにも行く!」
「過保護なんだから」
「父上と母上は何も言わないぞ」
「公爵様達は呆れていらっしゃるの!」
「何かあれば先生に言うんだぞ」
「はい」
「はぁ…心配だなぁ。ついて行きたい。
付き添いで入ろうかな」
「ダメです!ネルに笑われるわ」
「ネルが笑ってくれるならそれもいいな」
「ダメです!」
私は学園に通う為に王都のサースワルド邸に住むことになった。挨拶の為に両親とネルも一緒に子爵領から来ている。
すっかり懐いた4歳のネルはアル様に抱っこのお強請りをする様を見せて公爵夫妻を虜にした。
『にーに。だっこ!』
『ネル、駄目よ』
『ふえっ』
『良いんですよ義母上。抱き癖を付けたのは私ですから。おいでネル』
『きゃっきゃっ!』
『なんて可愛いの!』
『これでは全く帰って来ないはずだ』
『もう。ネルってば』
『エマも抱っこ?』
『ちっ、違います!』
『いつもしてるじゃないか』
『アル様!』
『ネルもエマも子供だから抱っこが嬉しいんだよな』
『うん!僕、にーに大好き!』
『私もネルが大好きだよ』
『まぁまぁ!バルト夫人、とても可愛いご子息ですわね』
『ネルと呼んであげてください。
そろそろアレクサンドル様離れさせないといけませんのに申し訳ございません』
『ネルはこのままでいいのです。
ネルといると心が浄化されるのです』
『わかるわぁ。アレクサンドルの気持ち。
そうだわ!明日はお出掛けしましょう。
ネル、好きな物を買ってあげるわ』
『絵本が欲しいです』
『絵本?』
『ああ。私が本を読んで寝かし付けているのです』
『どうしましょう!こんな可愛い天使は会ったことがないわ!』
それが一昨日の出来事。
今頃またお出掛けしてるんだろうな。
『いいなぁネルは』
『私が1番愛しているのはエマだよ』
巻き戻り前に一度見かけたアレクサンドル・サースワルドはこんな感じではなかったような。
「アル様は婚約者にはこんなに饒舌なのですか」
「婚約者にではない。エマにだけだ。
おかしいな。他のことは物覚えがいいのに、私のこととなると鈍感だ」
「ひとりで行けるのに」
「どう体が反応するか分からないだろう。
失神でもしたら私が運ばないと」
「アル様は大袈裟だわ」
「だいたい女学校を選ぶと思っていたのに」
「領地経営は女学校ではやっていなかったから」
「エマは私の側にいてくれるだけでいいんだ」
「そんなことをしていたら直ぐに飽きられてしまうわ」
「まだ言うのか。
君との婚約は私が頼み込んで成されたものだ。君だけを、君と家族だけを大事にすると誓う」
そう。私達は婚約した。
私は大分心の傷が癒え普通の生活が送れるようになった。
学校も両方資料を見たが女学校の方は淑女を育てる2年制の学校で、刺繍やダンス、楽器や語学、歴史とマナーを重点的に教える。
私は楽器を習うつもりはないし、語学も普通でいい。他は2度の人生で習得しているから。
みんなは私が2つの前世の記憶持ちと思っているが2度の巻き戻りなのは誰も知らない。
そして、個人資産で一度だけ投資をした。
両親には投資したいなら代わりにやってあげるから個人資産は手をつけるなと言われたが一度だけとお願いして許してもらった。
契約後に父に見せたら、個人資産の全額を使ったことに驚愕していた。それ以来ちょっと警戒されている。この娘は見張っていないと何するかわからないと。
それが子爵家に戻って直ぐのことで、学園から合否通知が届くのと同時に投資先から手紙が届いていた。
父も母もアル様はも合否通知は無視して投資先からの手紙を読んだ。
“貴女のお力添えに心から感謝を申し上げます。大株主としてパーティにご出席くださいますようお願い申し上げます。”
『大株主…』
『そうなのだよ。エマは個人資産の全額を注ぎ込んでしまったんだ。怖いもの知らずだと思わないか』
『確かに…』
『アル兄様まで…』
『つまり筆頭株主なんだな』
『そうみたいね』
『義父上、義母上。そのパーティ、私をエマの婚約者としてエスコートさせてもらえないでしょうか』
『ちょっと!アル兄様!たかがパーティにそんな必要はありませんわ!』
『エマ。私は子供の頃からずっとエマを愛してきた。待っても待っても気が付いてくれないから悲しかったよ』
『えっ!……すみません』
『私だけのエマになって』
『でも私は……』
『かまわない。エマに無理強いはしない。義務などと思わなくていい。側にいて私を愛してくれたらそれだけでいい。
妾や愛人など作らないし後継は養子でいい』
『それでは公爵様が納得しませんわ』
『納得しなければとっくに私には婚約者がいるし、結婚間近のはずだ』
『後悔しますわ』
『義父上と相談しながら婚前契約書を作る。
後は義母上とエマが確認をして納得してもらえれば署名して欲しい』
『エマは一生ここに居ても良いし、別邸を買って気ままに暮らしても良い。
もし、エマがアレクサンドル殿に好意があるならチャンスを逃さないで欲しい。彼は何年も私達に誠意を見せてくれた。彼以上の男など現れないぞ』
『お受けいたします。よろしくお願いいたします』
『ありがとうございます!!』
何故かアル様はお父様に跪いて手を握ってお礼を言っていたのよね。
そこは私の手を握るところでしょ。
お母様なんて涙を浮かべて笑っていたわ。
「明日からはひとりで通うわ」
「駄目だ!送っていくし、終わる時間に迎えにも行く!」
「過保護なんだから」
「父上と母上は何も言わないぞ」
「公爵様達は呆れていらっしゃるの!」
「何かあれば先生に言うんだぞ」
「はい」
「はぁ…心配だなぁ。ついて行きたい。
付き添いで入ろうかな」
「ダメです!ネルに笑われるわ」
「ネルが笑ってくれるならそれもいいな」
「ダメです!」
私は学園に通う為に王都のサースワルド邸に住むことになった。挨拶の為に両親とネルも一緒に子爵領から来ている。
すっかり懐いた4歳のネルはアル様に抱っこのお強請りをする様を見せて公爵夫妻を虜にした。
『にーに。だっこ!』
『ネル、駄目よ』
『ふえっ』
『良いんですよ義母上。抱き癖を付けたのは私ですから。おいでネル』
『きゃっきゃっ!』
『なんて可愛いの!』
『これでは全く帰って来ないはずだ』
『もう。ネルってば』
『エマも抱っこ?』
『ちっ、違います!』
『いつもしてるじゃないか』
『アル様!』
『ネルもエマも子供だから抱っこが嬉しいんだよな』
『うん!僕、にーに大好き!』
『私もネルが大好きだよ』
『まぁまぁ!バルト夫人、とても可愛いご子息ですわね』
『ネルと呼んであげてください。
そろそろアレクサンドル様離れさせないといけませんのに申し訳ございません』
『ネルはこのままでいいのです。
ネルといると心が浄化されるのです』
『わかるわぁ。アレクサンドルの気持ち。
そうだわ!明日はお出掛けしましょう。
ネル、好きな物を買ってあげるわ』
『絵本が欲しいです』
『絵本?』
『ああ。私が本を読んで寝かし付けているのです』
『どうしましょう!こんな可愛い天使は会ったことがないわ!』
それが一昨日の出来事。
今頃またお出掛けしてるんだろうな。
『いいなぁネルは』
『私が1番愛しているのはエマだよ』
巻き戻り前に一度見かけたアレクサンドル・サースワルドはこんな感じではなかったような。
「アル様は婚約者にはこんなに饒舌なのですか」
「婚約者にではない。エマにだけだ。
おかしいな。他のことは物覚えがいいのに、私のこととなると鈍感だ」
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