【完結】貴方のために涙は流しません

ユユ

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やり直しを(オルデン)

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【 オルデンの視点 】

あれから婚約者に避け続けられている。

時間を取ってくれ、
“ありません”

話し合おう、
“結構です”

一緒に茶を飲もう、
“飲みません”

花を贈っても、
“お気遣いは不要です”

買い物に行こう、
“不自由しておりません”

茶会や夜会に誘っても、
“デビュータントと同じようにコーレル伯爵令嬢をお誘いください”

交流も婚約者の義務だ、
“今更義務を知らなかったと懺悔なさらなくて結構です”

突然押し掛けても不在が多い。居ても来客が立て続いていた。

そして極め付けに、あの手紙の複写を見せられた。


そして父上が王都にやってきた。

「お前は成人の儀でアリス嬢をパートナーにしなかったそうだな」

風邪で来られなかった父上の耳に入ったようだ。

「はい」

「王宮主催の大事な催しに正気か!
だから私達は同じ貴族だと思われないんだ!
そんな馬鹿なことをする令息はお前くらいだ!」

「っ!」

「お前が連れていたヤスミン・コーレル伯爵令嬢がどうして婚約者がいないのか知らないだろう」

「最近解消したと、」

「破棄されたんだ!
婚約者の親友に股を開いていたのがバレたんだ!
オルデン。コーレル家の三女にどんな価値があると言うんだ?あの家には跡継ぎの長男、補佐をする次男三男もいて、屋敷には置いては貰えない。

あの三女が妻なら うちの商会で働かせるのも無理だ。三女の噂は広く知られていて客が不快に思うだろう。職探しをして自立するしかない」

「彼女とは単なる遊びです」

「婚約者や妻を蔑ろにしてすることではない!
婚姻し義務を果たした後、余り時間で愛人と関係を持つならまだわかる。だが今のお前には何の自由もないことが分からないのか!」

「……」

「価値はなくても うちより爵位が上だ。そんな家門の令嬢に無責任に手をつけるなんて、責任を取れと言われかねないぞ!」

「そんな、」

「うちには金がある。最悪爵位がなくても結婚させてテムスカリン家でコーレル嬢を面倒見ろと言い出しかねない。
今までジオニトロ家に支援してきた金も肩代わりして返済してきた借金も無になるんだぞ!」

「私はアリスを妻にします」

「だったらなぜあんなことを……」

「申し訳ございません」

「コーレル伯爵令嬢とは手を切れ」

「はい」

「ビエラと息子は何故放置するんだ」

「元気だと聞いています」

「私がお前に対してそのような扱いをしたか?」

「……いえ」

「ジオニトロ家で迎えることができない二人だが、お前の血が入っているんだ。ちゃんと会いに行き、話を聞き、責任を果たせ」

「はい」

「ところで、先月の入試で合格してるのは分かったが、下位クラスじゃないだろうな」

「……」

「取り柄といえる顔ではあるが、お前以上の美貌の令息はいるし、王子達もそうだ。
素行も悪く、評判も悪くて、商才もない。だとしたら勉強くらいできないと、爵位にぶら下がるヒモと呼ばれるぞ」

「っ!」

「ジオニトロ家との縁が結べなかった時はお前を除籍する」

「は!?」

「気を引き締めて、努力をして、誠意を見せて挽回するんだな」





自室に戻り困惑した。

そんなに価値がないのか?

除籍……

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