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悪化(ヤスミン)
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【 ヤスミンの視点 】
ドレスを贈られたことを知ってお父様が部屋まで来た。
「テムスカリンの次男は侯爵家の婿入りが決まっているんだそ?」
「破談になれば男爵位を継ぎます」
「男爵か。娼館よりはマシか。
だが今は侯爵家の婚約者だからな」
「はい、お父様」
そして私はオルデン・テムスカリンのパートナーとしてデビュータントに参加した。
お父様は私のデビューなど興味もなかった。勝手に行けと放置されたのだ。
テムスカリン家の馬車は豪華で心が躍る。
彼も美しい顔立ちだし。
もう少し豪華なドレスを期待していたけど、会場に入ってから、質素なドレスの令嬢達が羨ましそうに見てくるから まぁいいか。
後はこのネックレスが貸出用じゃなければなぁ。
私は会場で、彼の婚約者アリスに私の存在を知らしめるつもりだったのに。
彼女が呼ばれたのは二番目だった。
「第三王子シルヴェストル殿下、アリス・ジオニトロ嬢」
オルデン様が反応して振り向いた。私も彼の目線の先を追った。
飾り気が無い?野暮ったいドレス? 何処が?
ジャンデリアの光を反射してキラキラと煌めき、ステップを踏みながら滑るように躍る。息のあった2人は本物の恋人同士のようだった。
大胆なドレスをデビュータントに着てきたというのに全く下品ではない。寧ろ美しいと誰もが口にするだろう。
そう、あれだけ嫌悪感を見せていたオルデン様でさえも。
「オルデン様、もうすぐ呼ばれますわ」
「あ、ああ」
一緒に踊っていても心ここに在らず。
彼は婚約者に興味を持ってしまった。
直ぐ後に彼女は誰かと踊っていた。終わるタイミングを待ち侘びるオルデン様は気が気ではないようだった。
ダンスが終わると直ぐに“アリス”と呼んだ。
だけど彼女は無視をして、反応したとしても素っ気ない。そして直ぐに身分の高い方々に割って入られてしまった。
散々な言われ方をした挙句、第三王子殿下が彼女の手を握り連れ去ってしまった。
それにはかなり苛立った様で。
「痛いわ!オルデン様!」
樹に手を付かせるとドレスの裾を捲り上げ、彼は解しもせず、陰茎の先に唾を垂らして奥まで一気に突き入れた。
裂ける様な痛みが走ったが、直ぐに中は順応した。
抜けるほど引き抜いてから奥を押し上げる様にグッと突き入れることを繰り返し、最後はただ早く腰を動かして擦り上げて吐精した。
僅か2分もかからなかった。
ズルッと抜き去り、自分だけ身なりを整えた。
「帰るぞ」
彼は私のドレスを整えることも、秘部をハンカチで拭うこともせず、歩き出した。
「………」
これでは場末の路上娼婦だわ!私にこんな扱いをするなんて許せない!
貴方が伯爵令嬢の私をそんな風に扱うのなら……
あれから音沙汰が無い。
一週間後に手紙を出してみたが返事がない。
今日も手紙を出してみた。
「奥様がお呼びです」
「分かったわ」
居間へ行くとお母様の他に嫁いだ長女メリッサと学園に通う次女モリーがいた。
モリーが近寄ると私の頬を叩いた。
私「何をするの!」
モ「このアバズレ!」
私「酷い侮辱だわ!」
メ「心当たりが無いような態度ねヤスミン」
私「以前の婚約破棄の件ですか」
メ「それも勿論醜聞だけど、違うわ。どうやら盛りのついた馬鹿なのね」
私「お姉様!!」
メ「私は伯爵の知人の誕生日パーティで何て言われたか想像できる?
“コーレル伯爵家は大変自由な教育方針なのですね”って声をかけられたわ」
私「?」
母「つまり貴族令嬢を育てたのではなくアバズレを育てたのねと言われたのよ!」
私「私の何処がアバズレなのですか!」
メ「婚約者のいる婿入り予定の男を寝取って、王宮主催の行事に堂々とパートナーにして現れて挨拶をしてダンスをすれば泥棒よ!」
私「それは……2人が不仲で」
母「そんなことは関係ないの。書面で交わした政略結婚なのだから。婿入り予定の令息を相手にするのは問題なのよ」
メ「ガーネット夫人のお気に入りの令嬢で格上じゃないの!」
私「ジオニトロは借金まみれで、」
パン!
また頬を打たれた。
母「借金があっても婚約者の家門が支援してるのだから貴女が下に見ていいはずがないの。
しかも格上の跡取りよ?正気なの!?」
モ「私は学園で距離を置かれるようになったわ」
私「それは私のせいじゃ、」
モ「婚約者の親友に純潔と両方の穴を差し出して破棄された慰謝料と、事業撤退の損失よ!
挙句、侯爵家の婚約者を寝とるなんて!
巻き込まれたくないから避けるのよ!
兄様達は損失の穴埋めの為に頑張っているのよ!?」
私「っ!」
メ「ジオニトロ家が援助を受けているから下に見るの?ヤスミンのせいでコーレル家も大差ないのに?」
モ「しかもジオニトロ嬢のドレスは とても素敵な装いだったと噂で持ちきりよ。どうなっているのかは分からないけど困窮していたらそんなドレスは作れないわ」
私「……」
母「ノッティング侯爵家とも懇意にしていて、王家とも良好らしいじゃない」
モ「しかも成人の祝いを国にしていただいているのに庭園で欲の掃き溜めをやったそうじゃないの」
私「なっ!」
モ「“コーレル伯爵家の三女は成人祝いが済むとその足で男と庭園に向かい、木に手を付き身体を使わせた”と言われたわ」
私「あれは、恋人同士の、」
モ「人気のない庭園に着いて早々、ドレスの裾を捲りいきなり後ろから突き上げられること?
見ていた人は、“令息は激しく腰を振り、2分も経たずに溜まったモノを吐き出した後は、自分だけ身なりを整えてさっさと立ち去った”と言っていたわ。
当主の都合が付かなくて代わりに弟のデビューを見届けて、終わるまで時間潰しに庭園のベンチで寝そべっていたら、貴女とテムスカリン家の次男がやってきて始めたから、息を潜めているしかなかったと呆れていたわ。
街に立つ娼婦が路地裏でやっていることと同じだと笑われたわよ!」
私「っ!」
母「お父様が許さないわよ」
私「お父様が貴族の令息を捕まえろと仰ったのです!」
母「それは婚約者のいる令息をパートナーにして王宮行事に出席しろということではないわ!」
私「……」
母「どうせ、欲の解消に体を使われているだけよ。テムスカリン家の子息とは別れて真剣に縁談を探しなさい」
私「妊娠しているかもしれませんから別れません」
母「ヤスミン……避妊薬は!?」
私「デビューの夜の時は飲んでいません」
母「何てことなの!」
モ「最悪だわ」
母「できていたらこっそり産んで養子に出しなさい!」
私「嫌よ!」
モ「そんなのが明るみになったらどうなると思っているの!」
私「責任を取って娶るしかなくなるわ」
モ「馬鹿ね!多額の慰謝料を要求されるわよ!」
私「え?」
メ「貴女が契約違反をさせてしまったのだもの。侯爵家からは破談の慰謝料、子爵家からは侯爵位を買うために注ぎ込んできたお金と子爵家が侯爵家に支払う慰謝料をウチから回収しようとするでしょうね」
私「まさか、合意の交わりなのに、」
母「これが初めての交わりで避妊薬を使わなければ、責任は半々だけど、今まで避妊薬を飲んできたのに意図的に今回飲まないことを勝手に選択して故意に孕もうとしているのだから糾弾されるのは貴女ね」
その夜、お父様にも叩かれた。
ドレスを贈られたことを知ってお父様が部屋まで来た。
「テムスカリンの次男は侯爵家の婿入りが決まっているんだそ?」
「破談になれば男爵位を継ぎます」
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だが今は侯爵家の婚約者だからな」
「はい、お父様」
そして私はオルデン・テムスカリンのパートナーとしてデビュータントに参加した。
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もう少し豪華なドレスを期待していたけど、会場に入ってから、質素なドレスの令嬢達が羨ましそうに見てくるから まぁいいか。
後はこのネックレスが貸出用じゃなければなぁ。
私は会場で、彼の婚約者アリスに私の存在を知らしめるつもりだったのに。
彼女が呼ばれたのは二番目だった。
「第三王子シルヴェストル殿下、アリス・ジオニトロ嬢」
オルデン様が反応して振り向いた。私も彼の目線の先を追った。
飾り気が無い?野暮ったいドレス? 何処が?
ジャンデリアの光を反射してキラキラと煌めき、ステップを踏みながら滑るように躍る。息のあった2人は本物の恋人同士のようだった。
大胆なドレスをデビュータントに着てきたというのに全く下品ではない。寧ろ美しいと誰もが口にするだろう。
そう、あれだけ嫌悪感を見せていたオルデン様でさえも。
「オルデン様、もうすぐ呼ばれますわ」
「あ、ああ」
一緒に踊っていても心ここに在らず。
彼は婚約者に興味を持ってしまった。
直ぐ後に彼女は誰かと踊っていた。終わるタイミングを待ち侘びるオルデン様は気が気ではないようだった。
ダンスが終わると直ぐに“アリス”と呼んだ。
だけど彼女は無視をして、反応したとしても素っ気ない。そして直ぐに身分の高い方々に割って入られてしまった。
散々な言われ方をした挙句、第三王子殿下が彼女の手を握り連れ去ってしまった。
それにはかなり苛立った様で。
「痛いわ!オルデン様!」
樹に手を付かせるとドレスの裾を捲り上げ、彼は解しもせず、陰茎の先に唾を垂らして奥まで一気に突き入れた。
裂ける様な痛みが走ったが、直ぐに中は順応した。
抜けるほど引き抜いてから奥を押し上げる様にグッと突き入れることを繰り返し、最後はただ早く腰を動かして擦り上げて吐精した。
僅か2分もかからなかった。
ズルッと抜き去り、自分だけ身なりを整えた。
「帰るぞ」
彼は私のドレスを整えることも、秘部をハンカチで拭うこともせず、歩き出した。
「………」
これでは場末の路上娼婦だわ!私にこんな扱いをするなんて許せない!
貴方が伯爵令嬢の私をそんな風に扱うのなら……
あれから音沙汰が無い。
一週間後に手紙を出してみたが返事がない。
今日も手紙を出してみた。
「奥様がお呼びです」
「分かったわ」
居間へ行くとお母様の他に嫁いだ長女メリッサと学園に通う次女モリーがいた。
モリーが近寄ると私の頬を叩いた。
私「何をするの!」
モ「このアバズレ!」
私「酷い侮辱だわ!」
メ「心当たりが無いような態度ねヤスミン」
私「以前の婚約破棄の件ですか」
メ「それも勿論醜聞だけど、違うわ。どうやら盛りのついた馬鹿なのね」
私「お姉様!!」
メ「私は伯爵の知人の誕生日パーティで何て言われたか想像できる?
“コーレル伯爵家は大変自由な教育方針なのですね”って声をかけられたわ」
私「?」
母「つまり貴族令嬢を育てたのではなくアバズレを育てたのねと言われたのよ!」
私「私の何処がアバズレなのですか!」
メ「婚約者のいる婿入り予定の男を寝取って、王宮主催の行事に堂々とパートナーにして現れて挨拶をしてダンスをすれば泥棒よ!」
私「それは……2人が不仲で」
母「そんなことは関係ないの。書面で交わした政略結婚なのだから。婿入り予定の令息を相手にするのは問題なのよ」
メ「ガーネット夫人のお気に入りの令嬢で格上じゃないの!」
私「ジオニトロは借金まみれで、」
パン!
また頬を打たれた。
母「借金があっても婚約者の家門が支援してるのだから貴女が下に見ていいはずがないの。
しかも格上の跡取りよ?正気なの!?」
モ「私は学園で距離を置かれるようになったわ」
私「それは私のせいじゃ、」
モ「婚約者の親友に純潔と両方の穴を差し出して破棄された慰謝料と、事業撤退の損失よ!
挙句、侯爵家の婚約者を寝とるなんて!
巻き込まれたくないから避けるのよ!
兄様達は損失の穴埋めの為に頑張っているのよ!?」
私「っ!」
メ「ジオニトロ家が援助を受けているから下に見るの?ヤスミンのせいでコーレル家も大差ないのに?」
モ「しかもジオニトロ嬢のドレスは とても素敵な装いだったと噂で持ちきりよ。どうなっているのかは分からないけど困窮していたらそんなドレスは作れないわ」
私「……」
母「ノッティング侯爵家とも懇意にしていて、王家とも良好らしいじゃない」
モ「しかも成人の祝いを国にしていただいているのに庭園で欲の掃き溜めをやったそうじゃないの」
私「なっ!」
モ「“コーレル伯爵家の三女は成人祝いが済むとその足で男と庭園に向かい、木に手を付き身体を使わせた”と言われたわ」
私「あれは、恋人同士の、」
モ「人気のない庭園に着いて早々、ドレスの裾を捲りいきなり後ろから突き上げられること?
見ていた人は、“令息は激しく腰を振り、2分も経たずに溜まったモノを吐き出した後は、自分だけ身なりを整えてさっさと立ち去った”と言っていたわ。
当主の都合が付かなくて代わりに弟のデビューを見届けて、終わるまで時間潰しに庭園のベンチで寝そべっていたら、貴女とテムスカリン家の次男がやってきて始めたから、息を潜めているしかなかったと呆れていたわ。
街に立つ娼婦が路地裏でやっていることと同じだと笑われたわよ!」
私「っ!」
母「お父様が許さないわよ」
私「お父様が貴族の令息を捕まえろと仰ったのです!」
母「それは婚約者のいる令息をパートナーにして王宮行事に出席しろということではないわ!」
私「……」
母「どうせ、欲の解消に体を使われているだけよ。テムスカリン家の子息とは別れて真剣に縁談を探しなさい」
私「妊娠しているかもしれませんから別れません」
母「ヤスミン……避妊薬は!?」
私「デビューの夜の時は飲んでいません」
母「何てことなの!」
モ「最悪だわ」
母「できていたらこっそり産んで養子に出しなさい!」
私「嫌よ!」
モ「そんなのが明るみになったらどうなると思っているの!」
私「責任を取って娶るしかなくなるわ」
モ「馬鹿ね!多額の慰謝料を要求されるわよ!」
私「え?」
メ「貴女が契約違反をさせてしまったのだもの。侯爵家からは破談の慰謝料、子爵家からは侯爵位を買うために注ぎ込んできたお金と子爵家が侯爵家に支払う慰謝料をウチから回収しようとするでしょうね」
私「まさか、合意の交わりなのに、」
母「これが初めての交わりで避妊薬を使わなければ、責任は半々だけど、今まで避妊薬を飲んできたのに意図的に今回飲まないことを勝手に選択して故意に孕もうとしているのだから糾弾されるのは貴女ね」
その夜、お父様にも叩かれた。
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