【完結】貴方のために涙は流しません

ユユ

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婚約者探し(ヤスミン)

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【 ヤスミンの視点 】


出しきったのか、陰茎を引き抜くと、隣に大の字で仰向けに寝転がった。

「はぁ~スッキリした。やっぱり処女はいいな」

「グラシアン様?」

「私は初物が好きなんだ。君は馴染むのが早くて緩くなったから、後ろも使わせてもらったよ。ありがとう。お陰で楽しめた」

「私達は……結婚」

「ん? 君は婚約者がいるだろう?
それに初夜の楽しみが無くなってしまった体を嫁にするのは無理かな」

「酷い」

「胸を丸出しにして押し付けてきたのは君だ」

「あれは、ぶつかっただけで、」

「部屋についてきてベッドに座ったろう?抵抗なく受け入れた。合意じゃないか。
一夜限りのお楽しみだ。避妊薬は飲みなよ。責任は取れないからね」

「っ!」

「ほら、早く自分の客間に戻りなよ。
疲れたから眠りたいんだ」

破れた寝間着を被せられて追い出された。仕方なく、部屋に戻るとまだ婚約者がいた。私の脚に精液が伝う。

脚を震わせていると 彼は寝間着を捲り上げた。
無言で垂れた液体を指で掬い自身の鼻先へ持っていくと顔を歪めた。

「この屋敷で不貞など!」

「きゃあ!」

殴られ、髪を掴まれて部屋から引き摺り出された。

「止めて!お願い!止めてください!!」

その声に使用人が数人集まり、隣の部屋の両親も出てきた。

「ヤスミン!」

「何をなさるのですか!ヤスミンを離してください!」

「この女は、私の屋敷で他の男に純潔を捧げたんだ!追い出そうとして当然だろう!」

お父様が私の下半身に目線を落とした。
下着を履いていない下半身は丸見えで、ドロドロだった。

そのまま引き摺られて屋敷の外に出された。

「屋敷には入れさせない。早く帰れ!」

「ううっ……」

彼のご両親が呼ばれて駆けつけて間に入ってくださったが、

「婚約者のいる屋敷で、婚約者の親友と寝るのは許されることではない。今すぐ馬車に乗って帰ってくれ」

「申し訳ございません。荷物を纏めて直ぐに帰ります」

「破棄の手続きをとる。もう交流もできないと思ってくれ」

「申し訳ございません」


夜中にコーレル邸に着くと激しい折檻が待っていた。

「事業の話は流れた!さらに慰謝料も払わねばならない!どうしてくれるんだ!!」

「ううっ」



その後1ヶ月監禁され、日常が戻った。

「新しいドレスを作ることは許さない。茶会で令息を捕まえてこい」

「捕まえる?」

「自分の嫁ぎ先を見つけろと言っているんだ」

「それは、」

「見つけてこれなかったら妾でもいいと打診するが、それでも駄目なら売るしかない」

「売る?」

「お前は何の仕事もできないだろう。得意なのは男を咥え込むことだけだ。娼館に売るしかない」

「娼館など!」

「生娘がどっちの穴でも受け入れるなんて、天性のスキモノだ!相応しい場所だろう!」

「さ、探してきます」

「はぁ…言っておくが持参金など無いからな」

「そんな!」

「慰謝料をいくら払ったと思っているんだ!
進んでいた事業計画にも金を使っていた。それも撤退だ!お前にはもう渡せる金などない!」

お父様は去る間際にもう一つ告げた。

「貴族との婚約を手に入れられなければ学園へは通わせないからな」

「!!」



その後、様々な茶会に顔を出しても相手にされなかった。焦っていた時に綺麗な令息を見かけて声を掛けた。

オルデン・テムスカリン。
同い歳の子爵令息。

彼は私の話に耳を傾けてくれた。
デートするようになり、直ぐに体を重ねた。
これで既成事実はつくれたけど、それ以上の進展が無い。

執事に聞いてみた。

「テムスカリン家について知ってる?」

「爵位を買うようにのし上がっている富豪です。男爵位も持っていたはずですが…」

「もういいわ、ありがとう」

確か次男だと言っていた。長男が子爵位を継いで彼が男爵位を継げる。
男爵夫人は不満だけど、娼館よりマシよ。


数日後、執事がテムスカリン家の令息について簡単に調べたことを話してくれた。

「お嬢様、念の為に申し上げますが、テムスカリン家のご子息は 長男は既に妻を迎え、次男には婚約者がおります」

「婚約者のことを調べられる?簡単でいいの。
彼と上手くいっているのかどうか」

「婚約者のいるお相手に手を出すのはどうかと」

「もう彼とはお付き合いをしているの。今更よ」

「かしこまりました」


一週間後、本当に簡単な調査だったが報告があった。

「婚約者はジオニトロ侯爵家の長女アリス嬢。
お嬢様と同じ歳です。異母妹は第二王子の婚約者です。
侯爵家は困窮していて、子爵家が借金を肩代わりした後は毎年支援金を渡しています。
オルデン殿は侯爵家に婿入りする予定です」

だとしたら私は娶ってもらえないわね。

「仲は良いのかしら」

「婚約者同士の交流は無さそうです」

「どうして?」

「詳しくは費用がそれなりにかかりますので旦那様から命じていただかなければ動けません」

「分かったわ」


私は直接オルデン様に聞くことにした。

「オルデン様には婚約者がいると伺いましたの」

「だから何だ」

「オルデン様と一緒にいることができて嬉しいのです。でもこうしていて良いのかと」

「暗くて飾り気が無くて、野暮ったい地味なドレスを着ていて勃ちそうにもない女だ。
政略結婚だから仕方ない」

「まあ!こんなに素敵なオルデン様と婚約できるという幸運に感謝なさらないなんて!」

「ヤスミンのような女だったら良かったんだけどな。父上の命令だ。仕方ない」

「全然お会いにならないのですか?」

「会わないな。だがデビュータントがある。憂鬱だ」

「デビューで一緒に踊れたらいいのに」

そう言うとオルデン様は、エスコートするし ドレスも贈ってくださると約束してくれた。

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