【完結】転生先で婚約者の自爆を待つ

ユユ

文字の大きさ
7 / 24

エリオット第二王子

しおりを挟む

【 エリオット視点 】



私には3人の姉兄妹がいる。

私の母は、王妃様との間に5年子ができなかったから迎えられた妾だ。

。つまり子を成すだけの役目の女。

はすぐに懐妊した。
そしてが産んだのは第一王女だった。
すぐに他国の王子と婚約させた。

第一王女が生まれて数ヶ月後、王妃様の懐妊が分かった。王妃様が生んだのは第一王子。国中が祭りのように祝った。

王妃様の体を休ませる為、しばらく避妊をしたようだ。その間、は二度妊娠し、流産していた。

第一王子を出産して数年後、避妊を止め身籠ったのが第二王女だ。

この間にもはまた妊娠し、流産した。
計三度の流産の後、やっと第二王子を出産した。それがエリオットだ。

母は産後1か月経たずに死んだ。




成長して、母のこと、王族のことを教えられ納得した。

何故陛下レオナルドクロエと同じように私を愛してくれないのか。

2人は身分も高く後ろ盾のしっかりした王妃の生んだ後継ぎ。

第一王女と私は、身分が低く後ろ盾の頼りない、子を産むだけの道具が生んだスペア。
陛下にとって同じ子ではなかったのだ。

同腹の姉は、すぐ他国の王子と婚約が決まり、母国語より嫁ぎ先の言葉を優先させて厳しい教育を施したらしい。

王女教育まで終わると婚約者の国へ送り出した。
向こうで王子妃教育を受ける為だ。
その後は向こうの学園へ通ったらしい。

クロエ姉様はこの国の伯爵家に嫁ぐ。

私は用済みになったらどうなるのかな。
こっそり平民の勉強もしてきた。




ある日、兄上が重篤だと知らされるが、クロエ姉様の婚約者の妹が病気の正体を言い当て死の淵から蘇った。

療養を経て復帰した兄上はどこか違ってみえた。

以前の兄上は真の強い穏やかな方だった。
気のせいかと思ったが、呼び出された兄上の部屋で私は驚くこととなる。

恩人ニーナ嬢を紹介され、学校で守れと言う。

僅かな時間しか居なかったが、兄上はニーナ嬢に特別な感情を持っていると明確に分かった。

確かに可愛い子だった。
正妃とはまだ子を成していない。
兄上はあと2年経たずに他の令嬢を娶ることができる。それがニーナ嬢になるのか…。

非情な権力者が寵愛する女を見つけてしまったというのが今の兄上の状況だろうか。

公爵令息を殺すと言い、ニーナ嬢の望むがままにさせると言う。困惑していると、兄上は女性の現状を変えたいと言い出した。

兄上は私が否定すると思っているようだが違う。
兄上のような考え方を陛下が持ってくれていたら、母はあんな目には合わなかった筈だ。




王妃様は第二子を孕むまで、腹を休める期間を設けてもらえたが、母は使い捨てのように妊娠させられた。3度も流産しても止めなかった。

子を成すだけではない。
王妃様が相手をできない日に母は閨へ上がったようだ。

こっそり閨の記録を見たが、王妃様が体調不良や月のモノが来ている時、公務や里帰りで不在の時だけ母との閨の記録があった。
それ以外は孕みやすい日だけ。

母に付いていた元専属メイドに話を聞いた。

娶る数ヶ月前から医師の診察をさせて、孕みやすい日に娶って初夜を迎えた。
解すのは医師と助手に任せ、準備が整うと陛下がに勃たせてもらいコトを成した。

3ヶ月目以降に懐妊が分かり、閨は止まった。

産後数ヶ月で閨が再開した。王妃様が懐妊して閨の相手がいないからだ。
流石に早いので、専属メイドがこっそり避妊薬を飲ませたようだ。

子作りの為の閨ではない為か、解すのを下僕にさせようとしたが、さすがに専属メイドが名乗り出て代わりに解したようだが、陛下が挿入するとすぐ引き抜き、下僕にやり直させた。

せめて、解す者をひとりに決めて欲しいと専属メイドが平伏し懇願すると、その下僕に決まった。

閨は前触れもなく突然で、早朝、日中、深夜と構うことなく訪れて発散していった。

王妃様が閨事に復活すると、以前の通り、月に一度2日間だけになった。

あまり長く避妊薬を飲ませるとバレるので、数ヶ月が限度だった。
こんなことを繰り返して私が生まれた。

私と元専属メイドは互いに他言しない約束をした。彼女に金貨を数枚渡して感謝を述べた。

元専属メイドは泣きながら

『助けてあげられずに申し訳ございません。
陛下も奥様を娶ることに抵抗をなさっておられました。しかし、正妃様がご懐妊なさらない以上仕方なく娶ったのです。

“陛下が望まぬ妾”として公募が始まりました。
当然、高位貴族や力のある貴族や富豪は名乗り上げませんでした。

名乗り上げたのは下位貴族と、正妃を引きずり下ろして寵愛を奪おうとする勢力と、借金に苦しむ貴族でした。

その時、どんな扱いでも文句を言わないと娘を差し出したのは奥様のお父上の伯爵様でした。

生娘で発育のいい令嬢でした。
王家は多額の支援金を払う代わりに伯爵令嬢を買ったのです。

ですから、陛下は奥様をお金で買った女と見ておられます。

もし、ここから逃げたい時はお手伝いいたします』

小さな疑問も繋がった。そういうことか。




そう思った時のことを、これまでの辛い気持ちを思い出していた。

今は少し気が立っておられるようだから改めて兄上の考えに共感していると伝えに行こう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。

秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」 「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」 「……え?」  あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。 「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」 「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」  そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。

「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ

ゆっこ
恋愛
 その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。 「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」  声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。  いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。  けれど――。 (……ふふ。そう来ましたのね)  私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。  大広間の視線が一斉に私へと向けられる。  王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。

『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!

志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」  皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。  そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?  『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!

【完結】よりを戻したいですって?  ごめんなさい、そんなつもりはありません

ノエル
恋愛
ある日、サイラス宛に同級生より手紙が届く。中には、婚約破棄の原因となった事件の驚くべき真相が書かれていた。 かつて侯爵令嬢アナスタシアは、誠実に婚約者サイラスを愛していた。だが、サイラスは男爵令嬢ユリアに心を移していた、 卒業パーティーの夜、ユリアに無実の罪を着せられてしまったアナスタシア。怒ったサイラスに婚約破棄されてしまう。 ユリアの主張を疑いもせず受け入れ、アナスタシアを糾弾したサイラス。 後で真実を知ったからと言って、今さら現れて「結婚しよう」と言われても、答えは一つ。 「 ごめんなさい、そんなつもりはありません」 アナスタシアは失った名誉も、未来も、自分の手で取り戻す。一方サイラスは……。

【完結】真実の愛に気付いたと言われてしまったのですが

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済みです!!!】 かつて王国の誇りとされた名家の令嬢レティシア。王太子の婚約者として誰もが認める存在だった彼女は、ある日、突然の“婚約破棄”を言い渡される。 ――理由は、「真実の愛に気づいてしまった」。 その一言と共に、王家との長年の絆は踏みにじられ、彼女の名誉は地に落ちる。だが、沈黙の奥底に宿っていたのは、誇り高き家の決意と、彼女自身の冷ややかな覚悟だった。 動揺する貴族たち、混乱する政権。やがて、ノーグレイブ家は“ある宣言”をもって王政と決別し、秩序と理念を掲げて、新たな自治の道を歩み出す。 一方、王宮では裏切りの余波が波紋を広げ、王太子は“責任”という言葉の意味と向き合わざるを得なくなる。崩れゆく信頼と、見限られる権威。 そして、動き出したノーグレイブ家の中心には、再び立ち上がったレティシアの姿があった。 ※日常パートとシリアスパートを交互に挟む予定です。

【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?

しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。 王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。 恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!! ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。 この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。 孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。 なんちゃって異世界のお話です。 時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。 HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24) 数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。 *国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

処理中です...