【完結】転生先で婚約者の自爆を待つ

ユユ

文字の大きさ
8 / 24

ジャンヌ王太子妃

しおりを挟む

【 ジャンヌ視点 】




3年半前に私はレオナルド第一王子と婚姻した。

その後王太子妃となった。まだ子に恵まれていない。

私とレオナルド様は政略結婚だった。

は分かっていたけれど、すぐに妊娠は嫌だった。

2年間避妊薬を飲み続け、そろそろ限界かなと思い飲むのを止めて1年半。避妊などしなければ良かった。

原因がレオナルド様にあるのか、私にあるのか。
避妊薬が原因か、神の悪戯か。
後1年半の内に懐妊しなければ、レオナルド様は他の令嬢を迎えなければならない。
男児が生まれない場合も同じだ。

焦り出した頃レオナルド様が重篤になったが、ある令嬢の進言により他国の薬で助かった。
陛下がその令嬢に興味を示し、レオナルド殿下も回復するとクロエ様に令嬢の事を聞き出していた。

その後、令嬢とその周辺について調べるように命じていることを知った。

クロエ様をお茶に誘い令嬢のことを聞いた。

『私の婚約者の妹なの。とても可愛いのよ!
今、1年生で1か月以上前に事故にあってね。
それが婚約者のレイノルズの長男が絡んでいるらしいの!許せないでしょう!

ニーナちゃんが惚れて婚約が整ったのだけど浮気しているみたいだし。縁が無くなるのも遠くないわね。もう冷めたらしいわ』

つまり、令嬢が卒業する頃迄に私が懐妊しないと彼女を娶る可能性があるわ。

『次はお義父様の選んだ家のためになる人と婚約するって言うのだけど、そんなことさせたくないわ!伯爵家は富豪だし、お嫁になんか行かなくてもいいの!』

クロエ様がそんなことを言い出す程の令嬢なの!?


益々不安になった私の耳に入ったのは、調査結果を聞いた陛下とレオナルド様が激怒なさったことだった。

陛下の後ろ盾も得たのね。





そして登城の日。何人かメイドや侍従を見聞きさせて報告に来させていた。

『王太子殿下はご令嬢と、王太子殿下の応接間に入られて人払いをなさいました』

………。

『王太子殿下はエリオット殿下を呼び、学校で令嬢を助けるよう頼まれました』

………。

『“お兄ちゃん”と呼ばせておりました』

………。

『再度国王陛下と伯爵様の元へ戻り、好きな物を買ってやると仰いました。

週に1度遊びに来いと。

来週は泊まりだと王太子殿下が押し切りました』

………。

『まるで仲の良い幼馴染や従兄妹のようでした。身分の差など感じさせず、王太子殿下も嬉しそうに抱きしめて頭を撫でておられました』

………。

今日会ったばかりなのにそこまで!?

侍従が報告に来た。

『戦争を回避なさったのは伯爵令嬢です。
褒美に何を望むか聞かれた時に………』

これは、ただの令嬢ではない。
年頃が近かったら私は娶られなかった。

帰ると情報を得て、急いで近くから覗ける場所へ行き、窓越しに確認をした。

彼女は寵妃になる!


部屋へ戻りお茶にブランデーを混ぜ飲んだ。

侍女が語りかける。

『ジャンヌ様。敵対はお止めください。相手が悪すぎます。

来週、遊びにいらしたら歓迎して、ジャンヌ様かクロエ様のお部屋にお泊めなさってください。

女性は時間のかかることが多くございます。
ドレスの着せ替えをしてもよろしいですし、丁寧なマッサージなどを施してもよろしいのです。

王太子殿下より可愛がって、手元に寄せるのです』

『私にできるかしら』

『ジャンヌ様が王太子殿下を愛していて嫉妬なさるというわけではないのならば大丈夫です』

『引き摺り降ろされないかしら』

『例えご令嬢を娶られたとしても、味方につければ前に出ることを躊躇います。
未来の王妃様はジャンヌ様。未来の国王夫妻に可愛がられる第二妃。そうもって行きましょう』

『子は…』

『ジャンヌ様がご懐妊なさらないとなりませんから、を得ることが大事です』

『そうね。回復なさったし、そろそろ閨の再会を……』

その時、ノックと共に殿下の侍従が現れた。

『王太子殿下が大事な話があるのですぐ来るようにとのことです』

もう決められたのね。





その後、レオナルド様から聞いた話は信じ難い内容だった。

レオナルド様の魂はもう居らず、別の魂が入っている!?

ニーナ嬢に入っている魂が実の妹!?

相談しようにも他言出来ない。
信じていいのかも分からない。

だけど明確なことはある。

レオナルド様がニーナ嬢をとても大事に思っていて、誰よりも何よりも優先させるということ。

例え妹の魂であっても、今は血縁も無く外見も違う少女に惹かれているということ。



彼女を亡き者にするなら完璧でないと私を含む一族が処刑される。

意地悪をすれば私が冷遇され、子を生まなければそのまま離宮へ追いやられる。

令嬢に嫌われれば、子を授かるまで取り上げられて……。

崖の上で綱渡りを始めたような絶望感が私を襲った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。

秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」 「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」 「……え?」  あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。 「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」 「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」  そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。

「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ

ゆっこ
恋愛
 その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。 「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」  声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。  いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。  けれど――。 (……ふふ。そう来ましたのね)  私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。  大広間の視線が一斉に私へと向けられる。  王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。

『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!

志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」  皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。  そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?  『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!

【完結】よりを戻したいですって?  ごめんなさい、そんなつもりはありません

ノエル
恋愛
ある日、サイラス宛に同級生より手紙が届く。中には、婚約破棄の原因となった事件の驚くべき真相が書かれていた。 かつて侯爵令嬢アナスタシアは、誠実に婚約者サイラスを愛していた。だが、サイラスは男爵令嬢ユリアに心を移していた、 卒業パーティーの夜、ユリアに無実の罪を着せられてしまったアナスタシア。怒ったサイラスに婚約破棄されてしまう。 ユリアの主張を疑いもせず受け入れ、アナスタシアを糾弾したサイラス。 後で真実を知ったからと言って、今さら現れて「結婚しよう」と言われても、答えは一つ。 「 ごめんなさい、そんなつもりはありません」 アナスタシアは失った名誉も、未来も、自分の手で取り戻す。一方サイラスは……。

【完結】真実の愛に気付いたと言われてしまったのですが

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済みです!!!】 かつて王国の誇りとされた名家の令嬢レティシア。王太子の婚約者として誰もが認める存在だった彼女は、ある日、突然の“婚約破棄”を言い渡される。 ――理由は、「真実の愛に気づいてしまった」。 その一言と共に、王家との長年の絆は踏みにじられ、彼女の名誉は地に落ちる。だが、沈黙の奥底に宿っていたのは、誇り高き家の決意と、彼女自身の冷ややかな覚悟だった。 動揺する貴族たち、混乱する政権。やがて、ノーグレイブ家は“ある宣言”をもって王政と決別し、秩序と理念を掲げて、新たな自治の道を歩み出す。 一方、王宮では裏切りの余波が波紋を広げ、王太子は“責任”という言葉の意味と向き合わざるを得なくなる。崩れゆく信頼と、見限られる権威。 そして、動き出したノーグレイブ家の中心には、再び立ち上がったレティシアの姿があった。 ※日常パートとシリアスパートを交互に挟む予定です。

【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?

しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。 王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。 恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!! ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。 この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。 孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。 なんちゃって異世界のお話です。 時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。 HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24) 数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。 *国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

処理中です...