【完結】転生先で婚約者の自爆を待つ

ユユ

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ロバートを追い返す

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ニーナの現状をバラして以来、ロバートに調査員を付けている。記録と証拠の確保の為だ。

週に2度宿へ寄り、週に1度パトリシアの家に行き、週に1、2度貴族街でパトリシアと買い物をしている。

伯爵家の金で浮気相手に貢ぐとは甲斐性なしの上にプライドもないのかと呆れている。

「それで、Cランチは美味いか?」

「はい殿下。美味しいですよ」

「そうか。

昨日は悪かったな」

「何がですか」

「気分を害させて」

「意見の相違です」

「反対する理由は一つしかない。狙われる程の価値がニーナ嬢にあるからだ。
貴族令嬢で、可愛くて、兄上の大事な人だ。
様々な理由で狙われてしまう。

危険な目に遭って欲しくないからダメだと言ったが、言い方が悪かった」

「私もムキになりました。申し訳ございません。殿下に対して失礼でした」

「エリオットと呼んでくれ」

「エリオット殿下」

「エリオット」

「エリオット様」

「まぁ、それでいい」

「正解は?」

「エリオット」

「妥協、ありがとうございます」

「他の令嬢とは全然違うのだな」

「まぁ、気を遣わない相手ですよね。婚約者にさえ気を遣われておりませんから」

「そうではない。何と言ったらいいのか。
長年共にいる友人のようだ」

「? それはありがとうございます」

「ありがたそうには聞こえないがな」

「ふふっ」

「…こっちのデザートも食べてみるか?」

「では半分ずつにして、交換しましょう」





翌日の午前の授業が終わってすぐ。

「イリス伯爵令嬢!」

ロバート!何で来るのよ!

「レイノルズ公爵令息様」

「話がある!」

「ここでお願いします」

「いいから来い!」

「痛い!離してください!」

「お前がさっさと来ないからだ!」

「私には話はありません!」

「生意気だぞ!!」

「その手を放せ」

「っ! 殿下」

「今すぐ放せ」

「申し訳ございません。これは婚約者同士の問題です。たとえ殿下でも口出しは無用です」

「王族を敵に回すことをレイノルズ公爵は許可なさったのか?」

「ハッ、大袈裟ですよ」

「ニーナの後ろ盾は王族だ。その手を放せ!」

「っ!」

「エリオット様、これは反撃を許されますか」

「勿論だ」

「いててててててっ!!」

私は痴漢に掴まれた時の対処法を試してみた。相手の力にのせてから振り払い、逆に手を掴んで後ろ手にして捻った。

すぐ放して手をハンカチで拭いた。

エリオット様は驚いた後、笑った。
こんな笑い方をするんだなぁ。

「お前!暴力を振るったな!!」

「先に暴力を振るったのは公爵令息です。
痛いから放してと言ったのに力を緩めるどころか強めて引っ張りました」

「お前が素直に言うことをきかないからだ!!」

「レイノルズ公爵家の言う婚約者とは奴隷のことですか?

意志も痛みも無視して言うことを無理矢理きかせるような家訓でもあるのですか?

この国ではそんなことは許されていないと思いますが?」

「生意気だぞ!!」

「それしか言葉が出てこないのですか?

そんなに嫌なら話しかけないでください。

私の瞳の色も髪の色も、気持ち悪いのですよね?支援金だけが目当ての白い結婚でしたっけ?

だったらいちいち近付かないでいただけますか?愛人候補と仲良くなさっていればよろしいではありませんか。
結婚後に閨の相手をする代わりの女を探すと仰いましたが、こんなことをしていたら逃げられますわよ?

どうしても話さなくてはならない内容がおありなら、伯爵家宛に手紙を出してください。
迷惑です!」

「なっ、お前っ!!」

「…クズだな」

エリオット様もそうおもいますよね。
教室の皆も引いてるし、今日のみんなの家の晩餐の話題はコレね。

「殿下!騙されないでください!私は…」

「嘘は述べない方が賢明だぞ?」

「っ!」

「ニーナ。食堂で手を洗おう」

「はい」




手を洗い、今日も庶民食のCランチを頼む。

「先程はありがとうございました」

「大したことではない。

しかし、とんでもない男だな」

「1年前はあんなではなかったのです。入学してから豹変しました」

「そうか。

護身術を教わっているのだな」

「はい。昔のように動けるようになるまで時間がかかると思いますが」

「転落したのだったな」

「え?、はい」

新奈の返事をしちゃったから、知らないエリオット様は勘違いしてるけど…仕方ない。

「まだ完治しないのか」

「完全にはもうちょっとかかるかと」

「医師を派遣するか?」

「大丈夫です!痣が消えるのを待っているだけですから」  

「……護衛を付けるべきだが、校内に護衛を付けられるのは王族だけだからな」

「エリオット様は付けないのですね」

「……私は…今度話そう」

「? はい。 エリオット様、どうぞ」

「私のも半分渡そう」

「得した気分になりますね。デザートが2種類ですよ」

「そうだな」

「……エリオット様、そのお野菜は私が食べます」

「そんなことはさせられない」

「お野菜が可哀想です。それに私はお野菜が好きですから。代わりに一口メインをあげますね」

「それじゃ二口だろう」

「男の子は量が足りないですからね」

「母親目線だな」

「母親ならお野菜を残させませんよ」

「…そうか。なら一口食べる」

「えっ、私、母親認定されているんですか!?」

「ハハッ!そんな訳がないだろう!」

「流石にに容姿を貶されて、エリオット様にも母親認定されたら、修道院にでも行かないといけないのかと思ってしまいます」

「ニーナ。

あいつの言うことを間に受けるな。本当は他に理由があるはずだが、言えないから思ってもいない容姿を貶したんだろう。

ニーナは間違いなく拐われかねない程に可愛い。私が保証する!」

ちょっと!こんな所で何を言い出すの!

「バカ!ニーナ!赤くなるな!」

「エリオット様こそ赤くなりましたわよ!」

「感染したんだ!」

「エリオット様が食堂で……聞こえた人達がニヤついて見ているのが分かりませんか!
もう!!」

「嘘はついていない!」

「そうじゃないんです!」

「可愛いと教えてやっただけだ!」

「ちょっと!バカ!」

「王子に向かってバカとは何だ!」

「王子殿下……おバカ様でございます」

「プッ、…余計悪い!
エリオットと呼べと言っただろう!」

「他に思いつかなかったの!
でも笑ったからお気に召されたのね」

「召すか!」





私達は知らない。翌日から食堂で、生暖かい目で見守られていたということを。


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