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お泊まりの日・久しぶりの運動
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父と母には心配された。
粗相をするなとか、思わせぶりな態度は駄目だとか、よく分からないお小言まで出てきたのですぐ出発した。
前夜にケイン兄様が羨ましそうな顔をしていた。クロエ様とお泊まり会したいのだろう。
授業が終わると、待っていたのはエリオット様と王家の馬車だった。
私の方が浮気者のように見える…そう思っていたら、馬車の中からクロエ様が出てきた。
「ニーナちゃん!」
「クロエ様!」
「迎えに来たわ!」
「ありがとうございます」
「さぁ行きましょう!エリオットも早く」
「はい」
良かった。クロエ様がいらしたから浮気疑惑は反論できる!
王宮に着くと王太子殿下が走ってきた。
「新奈!お帰り!」
「お兄ちゃん…ごきげんよう」
「“ただいま”だろう?」
「……それはちょっと」
「まぁいい。早く行こう!メイドを待たせている」
「お兄ちゃん?」
どうやらここは王太子殿下の部屋らしい。
「ニーナ様、コチラならピッタリかと」
「大立ち回りするかもしれない男の子だと思って選んでくださいませんか」
「……こちらです」
「ありがとうございました」
「着て出てくるようにと王太子殿下の仰せです」
「……」
「ニナ!俺のお下がりでも可愛いな」
「気のせいです」
「さぁ、行こう」
「もしかして?」
「そうだ」
「この体では無理です。柔軟性も筋肉もありません」
「そうか。基礎トレの一部と、出来ることから始めよう」
「え~」
到着するとクロエ様とエリオット様の他に女性がいた。王太子妃ね。
「ジャンヌ、紹介しよう。ニーナ•イリスだ。
ニナ。王太子妃のジャンヌだ」
「ご挨拶申し上げます。
イリス伯爵家の長女、ニーナと申します。
このような姿で失礼いたします」
「ジャンヌと申します。宜しくね」
「ニナ。靴は上達するまで無しだ。素材や技術が違いすぎて危ない。素足でやろう」
「本当にできないからね?」
「準備運動をしろ」
「……」
「キックミットを作らせた。体格差があるからこれで回転飛び蹴りもいけるだろう」
「お兄ちゃん。今の私には無理だよ?」
「まぁ、そのうちな。
クロード!ライアン!」
「「 はっ! 」」
「伯爵令嬢のニーナ・イリスだ。
クロードとライアンだ。躰術の講師ができる騎士だ」
「ニーナとお呼びください。先生!」
「っ! クロードと申します」
「っ! ライアンと申します」
「クロード、ライアン。ニナはある程度できるがブランクがあるし、1ヶ月以上前だが転落して3日意識を失い療養もした。
優しく教えてやって欲しい」
「ブランクでございますか?…ブランク…」
「表現は難しいが、脳は覚えているが筋肉と柔軟性が落ちきっている。
ニナ。ローキックを。
ライアン。足にミットを付けろ」
「…このままでも大丈夫です」
「ニナが痛いだろう!」
「すぐ装着します!」
「兄上…本気ですか?ニーナは細くて小さいです」
「そうよ兄様!ニーナちゃんの脚が折れてしまうわ!」
「まぁ、見てろ。
ニナ。その身体だから軽くだ。怪我をしたら困る」
「はい」
「双方いいか」
「「はい」」
「始め!」
「ライアン様、お願いします!
左腿の外側に合わせてください」
「どうぞ」
「いきます!」
トスッ!
「ニナ!角度が悪い!もう少しだけずらせ」
「いきます!」
トスッ!
「よし!腰を入れろ」
「回転?」
「飛びじゃないぞ」
「いきます!」
ドスッ!
「もう一回!」
「いきます!」
ドスッ!
「よし!
ニナ、痛くないか?」
「大丈夫。上からは?」
「力を込めるのはまだ早い。
360° は?ポーズでいい」
「多分…でも、ミットから外れたら申し訳ないから」
「ニーナ様、大丈夫です。高さを指定してください」
「お兄ちゃん。体がかたいのでミドルになると思う」
「大丈夫。トレーニングの方向性を決めたいだけだ。下がかたいから転ぶな。それだけ気を付ければいい。
ライアン。腰から脇腹に掛けた高さにしてくれ」
「フーッ、いきます!」
クルッ
パスッ
「…なるほど」
「脚があまり上がらないし、支える筋肉が無いの!バランスはまぁまぁ!」
「ごめん、ごめん。怒るな」
撫でたってダメなんだからね!
「ハハッ!拗ねるのか喜ぶのか選べないみたいだな」
「殿下、ニーナ様は…」
「詮索はするな。いろいろ出来るが、身体が追いつくのに時間がかかる。
絞め技なども出来るが、ニナが好きなのはキック系だ」
「ニナ、仰向けになれ。
クロード、ニーナの脚の間に膝をつき、顔を目掛けてナイフで振り下ろせ。フリでいい。本気の早さは出すなよ」
「……」
「兄上、令嬢に脚を開けとは」
「お前達。不純な考えで見るな。本当に襲われる時に相手はそんなことは関係無いし、襲われる令嬢も刃物を前にしてそれどころではない。何の為にお下がりを着せてると思っているんだ」
「あの、クロード様。この姿で長く待っている方が恥ずかしいです」
「!! 申し訳ございません!」
クロード様が脚の間に膝を付いた。
「クロード、ナイフを持ったフリをして頭の後ろの位置からニナの顔付近に振り下ろす真似をしてくれ」
「いきます」
「どうぞ」
クロード様が右腕を振り下ろし顔の近くに来た瞬間、クロード様の腕を私の右頭部の横に掴みつつ押し躱し左足を高く上げ、クロード様の右肩に巻き込み押さえつけ、クロード様の腕の付け根辺りを脚で挟み、伸ばした脚で胸部を押さえながら十字固めをした。
軽くね。
「うわっ!ストップ!ストップ!」
「クロード様、失礼しました」
さっと拘束を解いた。
「ニナ。偉いぞ」
「へへっ」
「という訳だ。クロード、ライアン。理解できたか」
「「 はい 」」
「よし、ストレッチから始めるぞ。柔らかくしないとな」
グイグイ押され伸ばされ。
その後は筋トレだった。
「いろいろなポーズでバランスや体幹を鍛えておくんだぞ」
「はい」
「今日はここまでだ。湯浴みをさせよう。
明日の筋肉を少しでも少なくする為にマッサージもするよう言っておく」
「クロード様、ライアン様。ありがとうございました」
「お疲れ様でした」
「次も呼んでください」
粗相をするなとか、思わせぶりな態度は駄目だとか、よく分からないお小言まで出てきたのですぐ出発した。
前夜にケイン兄様が羨ましそうな顔をしていた。クロエ様とお泊まり会したいのだろう。
授業が終わると、待っていたのはエリオット様と王家の馬車だった。
私の方が浮気者のように見える…そう思っていたら、馬車の中からクロエ様が出てきた。
「ニーナちゃん!」
「クロエ様!」
「迎えに来たわ!」
「ありがとうございます」
「さぁ行きましょう!エリオットも早く」
「はい」
良かった。クロエ様がいらしたから浮気疑惑は反論できる!
王宮に着くと王太子殿下が走ってきた。
「新奈!お帰り!」
「お兄ちゃん…ごきげんよう」
「“ただいま”だろう?」
「……それはちょっと」
「まぁいい。早く行こう!メイドを待たせている」
「お兄ちゃん?」
どうやらここは王太子殿下の部屋らしい。
「ニーナ様、コチラならピッタリかと」
「大立ち回りするかもしれない男の子だと思って選んでくださいませんか」
「……こちらです」
「ありがとうございました」
「着て出てくるようにと王太子殿下の仰せです」
「……」
「ニナ!俺のお下がりでも可愛いな」
「気のせいです」
「さぁ、行こう」
「もしかして?」
「そうだ」
「この体では無理です。柔軟性も筋肉もありません」
「そうか。基礎トレの一部と、出来ることから始めよう」
「え~」
到着するとクロエ様とエリオット様の他に女性がいた。王太子妃ね。
「ジャンヌ、紹介しよう。ニーナ•イリスだ。
ニナ。王太子妃のジャンヌだ」
「ご挨拶申し上げます。
イリス伯爵家の長女、ニーナと申します。
このような姿で失礼いたします」
「ジャンヌと申します。宜しくね」
「ニナ。靴は上達するまで無しだ。素材や技術が違いすぎて危ない。素足でやろう」
「本当にできないからね?」
「準備運動をしろ」
「……」
「キックミットを作らせた。体格差があるからこれで回転飛び蹴りもいけるだろう」
「お兄ちゃん。今の私には無理だよ?」
「まぁ、そのうちな。
クロード!ライアン!」
「「 はっ! 」」
「伯爵令嬢のニーナ・イリスだ。
クロードとライアンだ。躰術の講師ができる騎士だ」
「ニーナとお呼びください。先生!」
「っ! クロードと申します」
「っ! ライアンと申します」
「クロード、ライアン。ニナはある程度できるがブランクがあるし、1ヶ月以上前だが転落して3日意識を失い療養もした。
優しく教えてやって欲しい」
「ブランクでございますか?…ブランク…」
「表現は難しいが、脳は覚えているが筋肉と柔軟性が落ちきっている。
ニナ。ローキックを。
ライアン。足にミットを付けろ」
「…このままでも大丈夫です」
「ニナが痛いだろう!」
「すぐ装着します!」
「兄上…本気ですか?ニーナは細くて小さいです」
「そうよ兄様!ニーナちゃんの脚が折れてしまうわ!」
「まぁ、見てろ。
ニナ。その身体だから軽くだ。怪我をしたら困る」
「はい」
「双方いいか」
「「はい」」
「始め!」
「ライアン様、お願いします!
左腿の外側に合わせてください」
「どうぞ」
「いきます!」
トスッ!
「ニナ!角度が悪い!もう少しだけずらせ」
「いきます!」
トスッ!
「よし!腰を入れろ」
「回転?」
「飛びじゃないぞ」
「いきます!」
ドスッ!
「もう一回!」
「いきます!」
ドスッ!
「よし!
ニナ、痛くないか?」
「大丈夫。上からは?」
「力を込めるのはまだ早い。
360° は?ポーズでいい」
「多分…でも、ミットから外れたら申し訳ないから」
「ニーナ様、大丈夫です。高さを指定してください」
「お兄ちゃん。体がかたいのでミドルになると思う」
「大丈夫。トレーニングの方向性を決めたいだけだ。下がかたいから転ぶな。それだけ気を付ければいい。
ライアン。腰から脇腹に掛けた高さにしてくれ」
「フーッ、いきます!」
クルッ
パスッ
「…なるほど」
「脚があまり上がらないし、支える筋肉が無いの!バランスはまぁまぁ!」
「ごめん、ごめん。怒るな」
撫でたってダメなんだからね!
「ハハッ!拗ねるのか喜ぶのか選べないみたいだな」
「殿下、ニーナ様は…」
「詮索はするな。いろいろ出来るが、身体が追いつくのに時間がかかる。
絞め技なども出来るが、ニナが好きなのはキック系だ」
「ニナ、仰向けになれ。
クロード、ニーナの脚の間に膝をつき、顔を目掛けてナイフで振り下ろせ。フリでいい。本気の早さは出すなよ」
「……」
「兄上、令嬢に脚を開けとは」
「お前達。不純な考えで見るな。本当に襲われる時に相手はそんなことは関係無いし、襲われる令嬢も刃物を前にしてそれどころではない。何の為にお下がりを着せてると思っているんだ」
「あの、クロード様。この姿で長く待っている方が恥ずかしいです」
「!! 申し訳ございません!」
クロード様が脚の間に膝を付いた。
「クロード、ナイフを持ったフリをして頭の後ろの位置からニナの顔付近に振り下ろす真似をしてくれ」
「いきます」
「どうぞ」
クロード様が右腕を振り下ろし顔の近くに来た瞬間、クロード様の腕を私の右頭部の横に掴みつつ押し躱し左足を高く上げ、クロード様の右肩に巻き込み押さえつけ、クロード様の腕の付け根辺りを脚で挟み、伸ばした脚で胸部を押さえながら十字固めをした。
軽くね。
「うわっ!ストップ!ストップ!」
「クロード様、失礼しました」
さっと拘束を解いた。
「ニナ。偉いぞ」
「へへっ」
「という訳だ。クロード、ライアン。理解できたか」
「「 はい 」」
「よし、ストレッチから始めるぞ。柔らかくしないとな」
グイグイ押され伸ばされ。
その後は筋トレだった。
「いろいろなポーズでバランスや体幹を鍛えておくんだぞ」
「はい」
「今日はここまでだ。湯浴みをさせよう。
明日の筋肉を少しでも少なくする為にマッサージもするよう言っておく」
「クロード様、ライアン様。ありがとうございました」
「お疲れ様でした」
「次も呼んでください」
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