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エリオットの卒業
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エリオットと卒業パーティに来ている。
エリオットから贈られたドレスを着ている。
たくさん持っているから贈ってくれなくて良かったのに。
しかも、エリオットの瞳の色のドレスなんて…。
校長と陛下の挨拶が終わり、ダンスの時間になった。
成績の上位者のグループから踊る。
一度に全員は無理だからね。
「ニーナとダンスは初めてだな」
「そうですね」
「お忍びも何度か行ったのにな」
「お忍びでダンスはしませんよ」
「…私は妾の子だ。王族に金で買われた母は妾になってひたすら妊娠した。
出産、流産、流産、流産、出産。
最後が私で産後に死んだ。
母は愛されなかったし、人権も無かった。
子を孕み産む道具だ。
同腹の第一王女は不要な王女として、他国に送られた。私は念のための予備だ。
レオナルド兄上やクロエ姉上のように陛下に愛されなかった。
ずっと憤りと悲しみを抱えて生きて来たが、母の元専属侍女に全てを聞いて納得した。
愛されるわけがないと。
そのうち城を追い出されるだろうと思っていたらニーナが現れた。
君は差別せず私をひとりの人間として扱ってくれた。
頼り感謝もしてくれた。稀に喧嘩もしたが、楽しい日々を送れた。
毎日のランチの時間は、すぐに私の為の時間となった。心から感謝している。
側にいて守ってあげられないのがこんなに悔しくなるとは思ってもいなかった。
これからも遊びと訓練に来るのだろう?
私との時間も作って欲しい。友人ニーナ」
びっくりした。エリオット様がそんな立場で、そんなことを思っていて、そういうふうに言ってくれるとは。
「はい。是非お願いします。
だけど、エリオット様に婚約者ができたり、私がアレと縁を切って父が別の婚約者を連れて来たら、婚約者を交えた友人関係にしましょう。そうでなければ、私達もアレと同じに見られてしまいますから」
「そうだな」
なんでそんな悲しそうな顔をするの?
「エリオット様?」
「次の候補はいるのか」
「さぁ、全て父にお任せしますから」
「そうか。好きな男はいないのか」
「異性としてはおりません。
エリオット様は?」
「陛下次第になるだろうな」
「1年後にはクロエ様とケイン兄様の婚姻ですね」
「レオナルド兄上もな」
「えっ!」
「後1年以内に懐妊しなければ、どこかの令嬢を娶らなくてはならない。もし、懐妊しても産まれたのが男児でなければ娶ることになる」
「お世継ぎ問題か…お兄ちゃん大丈夫なのかなぁ」
「大丈夫だろう。王太子妃は政略結婚だ。また愛のない花嫁を迎えるだけだ」
魂が違うの!
ダンスを終え、軽く食事をしていると、
「イリス伯爵令嬢!!」
はぁ…
「(私、戦えますから見ていてください)」
「(しかし…)」
「返事くらいしろ!」
「何でしょう」
「お前はまたパトリシアを虐めたそうだな!食堂で皆のいる前で侮辱し泣かせたそうじゃないか!
しかも婚約者がいるのに、他の男とパーティに来るなどアバズレもいいところだ!!」
あ~、言っちゃったよ。
「食堂で泣かせたのは私だ。子爵令嬢が誘いをかけてきてな。レイノルズ公爵令息の手垢が隅々までついた女など気持ち悪いから断った。問題があるか?」
「なっ!」
「公爵令息様、パートナーのルールは学校が決めたものですわ。不服があるなら学校に申し立ててください。私の他にも、この会場には貴方の仰るアバズレが複数おりますのよ?学校のルールに従って」
「そんなことは関係ない!お前と私の問題だ」
「具体的には?」
「婚約者だ」
「だから?」
「不貞だろう!」
「貴方がね。そもそも先輩方の大切な記念の日となる卒業パーティで騒ぎを起こすなど、呆れますわね。
それにどうやって忍び込んだのでしょう。
貴方もパートナーになっていない限り入場出来ないはずですよ?」
「生意気な女め!躾が必要だ!来い!」
さっと伸びた手を避ける。
「このっ!」
よし、チャンス!
興奮したクズに敢えて暴力を振るわれることにした。
クズは私の髪を掴み強く引っ張って引き倒した。
「きゃあ!」
「ニーナ!大丈夫か!
貴様!」
「エリオット!ストップ!」
「ニーナ!止めるな!」
「これはどういうことだ」
国王陛下が間に入るとは…。
エリオット様に抱き起こされた。
「エリオット。説明しろ」
「おそらく無許可で侵入したレイノルズ公爵令息が、ニーナに言いがかりをつけ、興奮してニーナの髪を掴み引き倒しました。
彼の右手にはニーナから引き抜いた髪が残っています」
「っ!」
「校長」
「見ていたぞ、レイノルズ殿。正式な書面は公爵家へ届けさせるが、君は進級初日から半年間の停学だ。自宅で謹慎し、一歩も外に出るな。定期テストは私と教師で公爵邸に出向いて実施する。
テストで赤点をとったり、半年間一歩でも外に出たら退学だ。
冠婚行事は事前に許可をとれ。葬祭行事は行った下門に後日調査に出向く」
「そんな馬鹿なことを」
「馬鹿はどっちだ!其方の素行は知っている!
自分の素行を棚に上げて、学校のルールに従ってボランティアをしている己の婚約者に公衆の面前で暴力を振るった!
今日の卒業パーティは卒業生にとって一生に一度の行事だ!それを其方は台無しにしたんだ!しかも不法侵入でな!
一発退学でもいいくらいだ!」
「っ!!」
「それと、在籍期間中、学校の敷地内でイリス伯爵令嬢に接触することを禁じる!
クラスも違うし、授業が被ることはない。
そうだな、停学が解けたら伯爵令嬢とは、其方の身長の3倍の距離をとるよう命じる」
「くっ!」
「王家からは公爵家と伯爵家双方に婚約の一時停止を命じる。卒業まで婚約者を名乗らず、義務も互いに課すことのないように。
もちろん、たった今から伯爵家からの支援金は停止だ」
「陛下!!横暴です!!」
「…怖いもの知らずに育てたものだな。
大勢の前で暴力を振るった時点で婚約破棄になるのが普通だ。
どこまでおめでたい頭をしているのだ。
この愚か者を追い出せ!!」
クズが引き摺られて行くわ!さようなら~!
「校長、パーティの続きを頼む。
エリオット、ニーナ嬢。別室へ行こう」
別室へ移ると校医が来て診察してくれた。
「少しの打ち身と髪を引っ張られて、髪を少し引き抜かれたので血が少し」
「大丈夫ですわ。ありがとうございました」
「エリオット、お前が側にいながらどういうことだ!お前のパートナーをしてくれていたのだろう!」
エリオット様が拳を握りしめている!
私は陛下の前に膝をついた。
「国王陛下、口を挟むことをお許しください」
「立ってくれ。引き倒されたばかりであろう」
陛下が手を取って立ち上がらせて、ソファに座らせてくれた。
「申してみよ」
「感謝いたします。
実は、手出し無用と私がエリオット殿下に頼んだのです」
「何故だ」
「私は不誠実なレイノルズ公爵令息とは婚姻したくございません。私が望んだ婚約でしたが、婚姻すれば伯爵家の大切なお金が無駄に消えてしまいます。婚姻している間ずっとです。
ですので、どの角度から見てもレイノルズ公爵令息の瑕疵で契約をなくしたいのです。
そのために不貞を注意することを止めて、静観しております。
今回も無許可で忍び込んだだろうと思いましたので、敢えて興奮させて手を出させたのです。見事に大勢の前で暴力を振るいました。
多くの目撃者ができて満足ですわ!」
「すぐに破棄すればいいだろう」
「それだけでは生温いのです。破滅まで…自滅まで待ちます。卒業までに決着がつきますわ」
「ハハッ、生温いか」
「はい!
エリオット様は最後まで反対なさっていましたが間際に私が制してしまいました。お許しください」
「……」
「エリオット様だってご友人との大切な学園生活を送りたかったはずですのに、私と出会ってしまったが為に、この半年程、毎日学食を共にし、不義理な婚約者と、その浮気相手から守ってくださいました。
毎日、食事代を払ってくださり、ご自身のデザートもくださいました。
とても心強くて楽しい半年が過ごせました。
そしてこれから半年、公爵令息のいない平和な学校生活を約束されたのです。
卒業まで、近寄ることができない素晴らしい罰も課していただけました。
優しくて素敵な殿下と共に過ごす事を、陛下と王太子殿下がお許しくださったおかげでございます。ありがとうございました。
ただ、今思うと、エリオット殿下のお立場を考えれば、手出し無用などと強いてしまった事を反省しております。浅慮でございました」
「よく分かった。
エリオット、すまなかった。
ニーナ嬢の為にあの場を我慢したのだな。
毎日守っていたのか。よくやったぞ」
「後1年、側で守れたらと悔しくてなりません」
「留年するわけにはいかないから仕方ない。
後のことは任せて、ニーナ嬢を送って来い」
「エリオット殿下の卒業パーティが…」
「ダンスは終わった。もう居なくていい。送るよ」
「…お言葉に甘えさせていただきます。
陛下、失礼致します」
「明日にでも、再度医師に診てもらえ」
「はい。そう致します」
馬車の中で。
「ごめんなさい、エリオット様」
「謝るな。私の方が感謝している」
「?」
「ニーナが大袈裟に言ってくれたおかげで、初めて陛下から謝られ、褒められた」
「大袈裟じゃないわ」
「デザートは半分交換だ。全部あげていない」
「ふふっ、細かいわね」
「でも、もうニーナが暴力を振るわれるのを黙って見ているなんてしない」
「嫌な思いをさせてごめんなさい」
「あれで最後にしてくれ」
「分かったわ。アイツ限定だけど」
「誰が相手でもだ!」
「ええ~」
エリオットから贈られたドレスを着ている。
たくさん持っているから贈ってくれなくて良かったのに。
しかも、エリオットの瞳の色のドレスなんて…。
校長と陛下の挨拶が終わり、ダンスの時間になった。
成績の上位者のグループから踊る。
一度に全員は無理だからね。
「ニーナとダンスは初めてだな」
「そうですね」
「お忍びも何度か行ったのにな」
「お忍びでダンスはしませんよ」
「…私は妾の子だ。王族に金で買われた母は妾になってひたすら妊娠した。
出産、流産、流産、流産、出産。
最後が私で産後に死んだ。
母は愛されなかったし、人権も無かった。
子を孕み産む道具だ。
同腹の第一王女は不要な王女として、他国に送られた。私は念のための予備だ。
レオナルド兄上やクロエ姉上のように陛下に愛されなかった。
ずっと憤りと悲しみを抱えて生きて来たが、母の元専属侍女に全てを聞いて納得した。
愛されるわけがないと。
そのうち城を追い出されるだろうと思っていたらニーナが現れた。
君は差別せず私をひとりの人間として扱ってくれた。
頼り感謝もしてくれた。稀に喧嘩もしたが、楽しい日々を送れた。
毎日のランチの時間は、すぐに私の為の時間となった。心から感謝している。
側にいて守ってあげられないのがこんなに悔しくなるとは思ってもいなかった。
これからも遊びと訓練に来るのだろう?
私との時間も作って欲しい。友人ニーナ」
びっくりした。エリオット様がそんな立場で、そんなことを思っていて、そういうふうに言ってくれるとは。
「はい。是非お願いします。
だけど、エリオット様に婚約者ができたり、私がアレと縁を切って父が別の婚約者を連れて来たら、婚約者を交えた友人関係にしましょう。そうでなければ、私達もアレと同じに見られてしまいますから」
「そうだな」
なんでそんな悲しそうな顔をするの?
「エリオット様?」
「次の候補はいるのか」
「さぁ、全て父にお任せしますから」
「そうか。好きな男はいないのか」
「異性としてはおりません。
エリオット様は?」
「陛下次第になるだろうな」
「1年後にはクロエ様とケイン兄様の婚姻ですね」
「レオナルド兄上もな」
「えっ!」
「後1年以内に懐妊しなければ、どこかの令嬢を娶らなくてはならない。もし、懐妊しても産まれたのが男児でなければ娶ることになる」
「お世継ぎ問題か…お兄ちゃん大丈夫なのかなぁ」
「大丈夫だろう。王太子妃は政略結婚だ。また愛のない花嫁を迎えるだけだ」
魂が違うの!
ダンスを終え、軽く食事をしていると、
「イリス伯爵令嬢!!」
はぁ…
「(私、戦えますから見ていてください)」
「(しかし…)」
「返事くらいしろ!」
「何でしょう」
「お前はまたパトリシアを虐めたそうだな!食堂で皆のいる前で侮辱し泣かせたそうじゃないか!
しかも婚約者がいるのに、他の男とパーティに来るなどアバズレもいいところだ!!」
あ~、言っちゃったよ。
「食堂で泣かせたのは私だ。子爵令嬢が誘いをかけてきてな。レイノルズ公爵令息の手垢が隅々までついた女など気持ち悪いから断った。問題があるか?」
「なっ!」
「公爵令息様、パートナーのルールは学校が決めたものですわ。不服があるなら学校に申し立ててください。私の他にも、この会場には貴方の仰るアバズレが複数おりますのよ?学校のルールに従って」
「そんなことは関係ない!お前と私の問題だ」
「具体的には?」
「婚約者だ」
「だから?」
「不貞だろう!」
「貴方がね。そもそも先輩方の大切な記念の日となる卒業パーティで騒ぎを起こすなど、呆れますわね。
それにどうやって忍び込んだのでしょう。
貴方もパートナーになっていない限り入場出来ないはずですよ?」
「生意気な女め!躾が必要だ!来い!」
さっと伸びた手を避ける。
「このっ!」
よし、チャンス!
興奮したクズに敢えて暴力を振るわれることにした。
クズは私の髪を掴み強く引っ張って引き倒した。
「きゃあ!」
「ニーナ!大丈夫か!
貴様!」
「エリオット!ストップ!」
「ニーナ!止めるな!」
「これはどういうことだ」
国王陛下が間に入るとは…。
エリオット様に抱き起こされた。
「エリオット。説明しろ」
「おそらく無許可で侵入したレイノルズ公爵令息が、ニーナに言いがかりをつけ、興奮してニーナの髪を掴み引き倒しました。
彼の右手にはニーナから引き抜いた髪が残っています」
「っ!」
「校長」
「見ていたぞ、レイノルズ殿。正式な書面は公爵家へ届けさせるが、君は進級初日から半年間の停学だ。自宅で謹慎し、一歩も外に出るな。定期テストは私と教師で公爵邸に出向いて実施する。
テストで赤点をとったり、半年間一歩でも外に出たら退学だ。
冠婚行事は事前に許可をとれ。葬祭行事は行った下門に後日調査に出向く」
「そんな馬鹿なことを」
「馬鹿はどっちだ!其方の素行は知っている!
自分の素行を棚に上げて、学校のルールに従ってボランティアをしている己の婚約者に公衆の面前で暴力を振るった!
今日の卒業パーティは卒業生にとって一生に一度の行事だ!それを其方は台無しにしたんだ!しかも不法侵入でな!
一発退学でもいいくらいだ!」
「っ!!」
「それと、在籍期間中、学校の敷地内でイリス伯爵令嬢に接触することを禁じる!
クラスも違うし、授業が被ることはない。
そうだな、停学が解けたら伯爵令嬢とは、其方の身長の3倍の距離をとるよう命じる」
「くっ!」
「王家からは公爵家と伯爵家双方に婚約の一時停止を命じる。卒業まで婚約者を名乗らず、義務も互いに課すことのないように。
もちろん、たった今から伯爵家からの支援金は停止だ」
「陛下!!横暴です!!」
「…怖いもの知らずに育てたものだな。
大勢の前で暴力を振るった時点で婚約破棄になるのが普通だ。
どこまでおめでたい頭をしているのだ。
この愚か者を追い出せ!!」
クズが引き摺られて行くわ!さようなら~!
「校長、パーティの続きを頼む。
エリオット、ニーナ嬢。別室へ行こう」
別室へ移ると校医が来て診察してくれた。
「少しの打ち身と髪を引っ張られて、髪を少し引き抜かれたので血が少し」
「大丈夫ですわ。ありがとうございました」
「エリオット、お前が側にいながらどういうことだ!お前のパートナーをしてくれていたのだろう!」
エリオット様が拳を握りしめている!
私は陛下の前に膝をついた。
「国王陛下、口を挟むことをお許しください」
「立ってくれ。引き倒されたばかりであろう」
陛下が手を取って立ち上がらせて、ソファに座らせてくれた。
「申してみよ」
「感謝いたします。
実は、手出し無用と私がエリオット殿下に頼んだのです」
「何故だ」
「私は不誠実なレイノルズ公爵令息とは婚姻したくございません。私が望んだ婚約でしたが、婚姻すれば伯爵家の大切なお金が無駄に消えてしまいます。婚姻している間ずっとです。
ですので、どの角度から見てもレイノルズ公爵令息の瑕疵で契約をなくしたいのです。
そのために不貞を注意することを止めて、静観しております。
今回も無許可で忍び込んだだろうと思いましたので、敢えて興奮させて手を出させたのです。見事に大勢の前で暴力を振るいました。
多くの目撃者ができて満足ですわ!」
「すぐに破棄すればいいだろう」
「それだけでは生温いのです。破滅まで…自滅まで待ちます。卒業までに決着がつきますわ」
「ハハッ、生温いか」
「はい!
エリオット様は最後まで反対なさっていましたが間際に私が制してしまいました。お許しください」
「……」
「エリオット様だってご友人との大切な学園生活を送りたかったはずですのに、私と出会ってしまったが為に、この半年程、毎日学食を共にし、不義理な婚約者と、その浮気相手から守ってくださいました。
毎日、食事代を払ってくださり、ご自身のデザートもくださいました。
とても心強くて楽しい半年が過ごせました。
そしてこれから半年、公爵令息のいない平和な学校生活を約束されたのです。
卒業まで、近寄ることができない素晴らしい罰も課していただけました。
優しくて素敵な殿下と共に過ごす事を、陛下と王太子殿下がお許しくださったおかげでございます。ありがとうございました。
ただ、今思うと、エリオット殿下のお立場を考えれば、手出し無用などと強いてしまった事を反省しております。浅慮でございました」
「よく分かった。
エリオット、すまなかった。
ニーナ嬢の為にあの場を我慢したのだな。
毎日守っていたのか。よくやったぞ」
「後1年、側で守れたらと悔しくてなりません」
「留年するわけにはいかないから仕方ない。
後のことは任せて、ニーナ嬢を送って来い」
「エリオット殿下の卒業パーティが…」
「ダンスは終わった。もう居なくていい。送るよ」
「…お言葉に甘えさせていただきます。
陛下、失礼致します」
「明日にでも、再度医師に診てもらえ」
「はい。そう致します」
馬車の中で。
「ごめんなさい、エリオット様」
「謝るな。私の方が感謝している」
「?」
「ニーナが大袈裟に言ってくれたおかげで、初めて陛下から謝られ、褒められた」
「大袈裟じゃないわ」
「デザートは半分交換だ。全部あげていない」
「ふふっ、細かいわね」
「でも、もうニーナが暴力を振るわれるのを黙って見ているなんてしない」
「嫌な思いをさせてごめんなさい」
「あれで最後にしてくれ」
「分かったわ。アイツ限定だけど」
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「ええ~」
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