17 / 24
ジャンヌ王太子妃②
しおりを挟む【 ジャンヌの視点
注意:夫婦の閨表現が軽くあります 】
ニーナ様を迎えてみて思った。
この子は他の令嬢とは違う。
それに今の2人は似つかないけど、確かに兄妹の雰囲気をだしている。
レオナルド様は過剰な愛情が出ているが、自分の過失で死なせてしまった妹とやり直せるなら、こうなっても仕方がないかも知れない。
でも、それを超えた感情もある気もする。
閨については、あのように言われて悩むことになってしまった。レオナルド様ではない男に抱かれるのだから。
とはいえ、王太子妃としての義務は変わらない。王家の血筋を残すこと。
覚悟を決めて伝えると閨の予定が組まれた。
そして…
確信できた。確かに中身はレオナルド様ではない別の男だ。抱き方が全く違う。
レオナルド様は優しく淡白な方だったが、彼は優しくもあるが激しさがある。
何故か彼の方が求められているという気になる。
レオナルド様の時は達したことが無かった。
事後は拭きながら“良かったよ”と声をかけてくださったが、少し経つと自室に戻られる。
彼は一度で終わることが少ない。
一度で済ませるときは、注いだ後、必ず私を快楽に導いてから拭いてくれる。
“痛くないか”、“して欲しいことはないか”と確認してから一緒に眠る。
“気が乗らない時や、不調時には正直に言ってくれ。一緒に眠りたくなければそうする”と強要しない。
レオナルド様の時は閨の予定が組まれたらよっぽど具合が悪くない限り応じなければならなかった。
無理矢理というわけではないが、当然という雰囲気を感じていた。
彼に女の快楽を教わったとき、涙が出てしまった。
嫌だったのかと心配してくれた彼は、私が初めて達したと知ると“そうか”とだけ言ってその後は何もせず、抱きしめて寝かせてくれた。
彼は格闘家という職業だったようで日々鍛錬をするようになった。食事も指示を出し、体を作る為のメニューを取り入れている。
より引き締まり、身体に厚みがでて、芸術品のように仕上がった。
鍛錬する彼の姿に鼓動が早まる。
ニーナ様も徐々に動きがよくなり、彼と楽しそうに励んでいる。
兄妹だと理解できても、外見が似つかない男と女。彼が彼女の頬を撫でると私の胸が痛むようになった。
嬉しそうに額に口付ける彼を見たくなかった。
私はいつの間にか、レオナルド様には無かった感情を彼に持ってしまった。
ニーナ様に探りを入れても彼に対して兄妹以上の感情がまるでない。
レイノルズ公爵令息を好きだったニーナ様の魂はもう存在しない。
このニーナ様が誰かを好きになってくれたらいいのにと思ってしまう。
エリオット殿下をお茶に誘ってみた。
エリオット殿下はニーナ様のことが好きだと思う。思い切って聞いてみた。
『エリオット殿下、ニーナ様のこと、早めがよろしいのでは?』
『…私は王子とはいえ、妾の子。ニーナを幸せにできるかもわかりません。
娶れたとしても、私の立ち位置次第で彼女に苦労をかけてしまいます。
それに、兄上を差し置いてどうこう出来ません』
好きだけど、将来の不安と兄への遠慮があるということね。
将来を安定させて、あの2人の秘密を知れば可能性がありそうね。
以前王妃様にそれとなく聞いた事があった。
『レオナルドの?
それは陛下とレオナルドが決めるから私は干渉しないわ。あまりにも酷い令嬢なら反対するかもしれないけど。
あまり多いのも良くないけど、後2、3人増えるくらいはあり得るかも知れないわね』
『陛下が2、3人娶っても王妃様はかまわないのですか?』
『そういうものだもの。私に危害が無ければそれでいいわ』
この人は根っからの貴族令嬢なのだと思った。
そして、今日の閨で。
二度求められ、何度か快楽を与えてくれた彼は、いつものように…
「痛くなかったか」
「はい」
「して欲しいことはないか」
「…お願いがあります」
「なんだ」
「レオ様とお呼びしていいでしょうか。
貴方はレオナルド様ではなく、レオ様なのですよね」
「…つまり、礼桜の妻だと?」
「はい」
「分かった。これからはレオと呼んでくれ。
ジャンヌを俺の妻として大事にしよう」
「ありがとうございます」
「嫌な時は嫌と言え。いいな」
「はい」
「おいで」
その後もう一度抱かれたが、レオ様はあれでも遠慮していたようだ。身体中舐めたり吸われたり、様々な体位で攻められた。
終わると抱きしめ、私のお腹を撫でながら
「何も気にすることはない。たとえ授からなかったとしても、子を産ませる為だけに女を娶る気はない。エリオットやクロエの子を俺の次代の世継ぎとして指名すればいいだけだ。
子を産むことが義務などといった考えは捨て去れ」
「……」
「そのまま泣いて忘れてしまえ。
…だけど明日の朝、酷い顔になるがな」
「!!」
「ハハッ!ピタッと止んだな!」
「世継ぎじゃなくてレオ様との子が欲しい。
女の子が欲しい」
「……なるほど。催促なんだな?
これからは予定とは別にジャンヌを抱こう」
「えっ」
「朝で、昼間でも。 嫌か?」
「ちょっと恥ずかしいです」
「嫌じゃないならいいよな」
「はい」
有言実行だった。
2日後、朝の鍛錬を終え湯浴みをした後のレオ様に私室のソファで抱かれた。
翌日の昼には食後の散歩と言いながら、奥のガゼボの裏の茂みで抱かれた。
そこから2日後、組まれた閨があり。
3日後の昼前に執務室に呼ばれて机にうつ伏せて抱かれた。
翌日の夜中に忍び込まれて手と舌での愛撫だけだった。達する寸前で弄るのを止めること数回、そのまま去っていった。
眠れぬまま夜が明けてしまい疼いてしかたない。
朝食の席ではじっと見つめられるが話しかけられることはない。
秘部が濡れておさまらない。
レオ様の休憩時間を聞き出し、執務室に訪ねて人払いをして、彼の足元に跪きレオ様のモノを取り出すと口に含んだ。
閨教育で教わったが実践したことはない。
優しく頭や頬、耳を撫でてくれた。
顎が疲れてきたなと思うと抱き上げられ、隣の仮眠室で激しく抱かれた。
本当に恥ずかしい。
私室でも執務室でもガゼボの裏の茂みでも、使用人達にはバレている。
今日も声が聞こえてしまっているだろう。
仮面をつけて歩きたいくらいだわ。
レオ様は嬉しそうにニヤニヤしてるし。
わざとなのね!!
そんな日々を送っているうちに体調を崩した。
649
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。
秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」
「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」
「……え?」
あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。
「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」
「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」
そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。
「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ
ゆっこ
恋愛
その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。
「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」
声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。
いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。
けれど――。
(……ふふ。そう来ましたのね)
私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。
大広間の視線が一斉に私へと向けられる。
王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。
『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!
志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」
皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。
そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?
『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!
【完結】よりを戻したいですって? ごめんなさい、そんなつもりはありません
ノエル
恋愛
ある日、サイラス宛に同級生より手紙が届く。中には、婚約破棄の原因となった事件の驚くべき真相が書かれていた。
かつて侯爵令嬢アナスタシアは、誠実に婚約者サイラスを愛していた。だが、サイラスは男爵令嬢ユリアに心を移していた、
卒業パーティーの夜、ユリアに無実の罪を着せられてしまったアナスタシア。怒ったサイラスに婚約破棄されてしまう。
ユリアの主張を疑いもせず受け入れ、アナスタシアを糾弾したサイラス。
後で真実を知ったからと言って、今さら現れて「結婚しよう」と言われても、答えは一つ。
「 ごめんなさい、そんなつもりはありません」
アナスタシアは失った名誉も、未来も、自分の手で取り戻す。一方サイラスは……。
【完結】真実の愛に気付いたと言われてしまったのですが
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済みです!!!】
かつて王国の誇りとされた名家の令嬢レティシア。王太子の婚約者として誰もが認める存在だった彼女は、ある日、突然の“婚約破棄”を言い渡される。
――理由は、「真実の愛に気づいてしまった」。
その一言と共に、王家との長年の絆は踏みにじられ、彼女の名誉は地に落ちる。だが、沈黙の奥底に宿っていたのは、誇り高き家の決意と、彼女自身の冷ややかな覚悟だった。
動揺する貴族たち、混乱する政権。やがて、ノーグレイブ家は“ある宣言”をもって王政と決別し、秩序と理念を掲げて、新たな自治の道を歩み出す。
一方、王宮では裏切りの余波が波紋を広げ、王太子は“責任”という言葉の意味と向き合わざるを得なくなる。崩れゆく信頼と、見限られる権威。
そして、動き出したノーグレイブ家の中心には、再び立ち上がったレティシアの姿があった。
※日常パートとシリアスパートを交互に挟む予定です。
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる