【完結】仮面の令嬢と秘密の逢瀬

ユユ

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卒業パーティ

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ついに卒業の日を迎えた。
執事のロバートには もしかしたらエレノアを連れて帰るかもしれないと伝えた。
目を輝かせたので特別な準備は要らないが、いい客室を用意して欲しいとだけ言っておいた。

シュノー公爵邸に到着すると、出迎えたのはギリアス公子だった。
心の中で大きな溜息を吐いた。

「公子、ごきげんはいかがですか」

「…君と話がしたくて人払いをした」

「何でしょう」

「先日は私が浅はかだった。よく事情を知りもしないで君がエレノアを弄んでいると思っていた。
まだまだ子どもだと思っていたエレノアはもう自分で決断のできる大人だと認められずにいた。
だが、大事な妹だとうい気持ちだけで君に不快な思いをさせた。寧ろ執着したのは妹の方だったのに。
どうか許して欲しい」

「分かっているつもりです。仲間で昼食をとるときにエレノアは貴方のことをよく話題にします。貴方がどれだけ大事にして可愛がってきたか伝わりました。ですから、俺は貴方の気持ちを蔑ろにするつもりはありません。
先日のことは忘れましょう。いつか懐かしい想い出にできたらいいなと思っています」

「パーティの後、スタンサー邸に滞在すると聞いたが」

「誘いました。ただし、公爵と夫人と公子から許しが得られればの話です」

「エレノアをよろしく頼む」

「感謝します、公子」

「私の名はギリアスだ」

「…義兄上」

「まだ早い」

「ククッ」

「早く行け。エレノアがソワソワして歩き回っているから足を傷めそうだ」

「では、失礼します。義兄上」

こんなに早く認められるとは思ってもいなかった。

中に入ると本当にエレノアは歩き回っていた。

「エレノア」

「フレデリック!」

抱き付こうとするエレノアを制して公爵夫妻に挨拶をした。

「こんばんは、シュノー公爵、公爵夫人」

「卒業おめでとう、フレデリック君」

「卒業おめでとう。素敵だわ」

「ありがとうございます。

エレノアをスタンサー邸に招待しましたが、パーティの後に連れて行ってもよろしいでしょうか」

「それは恋人宣言と取っても構わないのね?」

「はい。エレノアを愛していると宣言をさせてください」

「フレデリックっ!」

「エレノア、泣くな。これからパーティだぞ」

「っ!…はい」

「是非 宣言してくれ。侯爵にはだいぶ前にこちらの意思は伝えてある。問題は無い」

「…父とですか」

「他の令嬢に取られたら、エレノアは死ぬまで涙を流し続けるだろう。そんなことになったら私は心配で成仏できないからな。
それに、君を逃すのは最悪の選択だと思ったから、他の縁談を蹴散らそうとしたのだ。
よくは分からないが侯爵は時間を必要としているようだ」

「そうでしたか。きっと卒業パーティに来られないというのは 同じ理由なのでしょう。後日領地に行って状況を把握してきます」

「領地?私も一緒に、」

「駄目だ。今は家族との時間を大事にするんだ。行くならシュノー家の領地へ行くといい」

「フレデリック」

「何でそんな顔をするんだ?
結婚すれば住まいが変わるし、うちの領地との往復になる。
時々はシュノー家の領地へ連れて行くが、毎年ではない。今のうちに 子の立場で甘えて家族孝行をした方がいいと言っているだけだ」

「はい。そうします」

「何だか 既に夫婦みたいね」

「早いものだな」

「まだエレノアはうちの子です!」

「まあまあ、義兄上。いつでもスタンサー邸に遊びに来てください」

「まだ早いと言っただろう」

「じゃあ行ってきますね、義兄上。あ、もしかして寂しいですか?一緒に行きます?」

「早く行け」

「はい、義兄上」



公爵夫妻とエレノアと一緒に馬車に乗り会場へ向かった。

「フレデリック君、すっかりギリアスを手懐けたようだな」

「手懐けるだなんて」

「お兄様ったら…ふふっ」

「ギリアスは 弟もしくは歳が少し離れたお友達ができたと感じているんじゃないかしら」

「そう思いますか?夫人」

「思うわ」

「では、お言葉に甘えてもう少し詰め寄ってみます」



パーティ会場では祝辞が終わりダンスも終え、ジェイク達と合流した。

「ついにか?」

「エレノアと交際してる」

「いいなぁ。恋愛結婚か」

「デボラはどうするんだ?」

「お父様が決めて来ちゃったわ」

「ビクトリアは?」

「私は…」

ビクトリアがチラッとジェイクを見た。

「おめでとう、ジェイク、ビクトリア」

俺が2人にそう言うと エレノアとデボラは目を輝かせた。

「え!?いつ!いつから!?」

「何で!ずるい!」

跡継ぎだったビクトリアの弟に問題があり、ビクトリアが婿を取ることになった。そこでビクトリアがジェイクに声を掛けたという流れらしい。

「そうか、ジェイク・ローズベルになるんだな?」

「1年後にな」

「そうだ、ジェイク。今度サミュエル卿が休みで屋敷にいるときに遊びに行っていいか?」

「兄上に?」

「エレノアの兄君を連れて行くから」

「認めてもらったのか?」

「そうみたいだ。面白いから拉致して連れて行くよ」

「おまえなぁ」

「エレノア、内緒だぞ」

「はい」

「じゃあ、その日は私と過ごしましょう」

ビクトリアがエレノアを誘ってくれたので大丈夫だな。


パーティが終わると そのままエレノアを連れて帰った。




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