【完結】仮面の令嬢と秘密の逢瀬

ユユ

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ギリアスを連れ回す

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2日後、先触れ無しにシュノー邸に行った。

「スタンサー様、いらっしゃいませ。
えっと…本日は?」

「先触れはないのですが、実は義兄上は内緒でボルスト公爵邸に行くことになっています。向こうではサミュエル卿が待っています。義兄上が親友と過ごせる時間を作って差し上げたくて」

「きっと若旦那様は喜びますね。居間にご案内いたします」

居間には家族が集まっていた。

「おや、フレデリック君?今日はエレノアと約束かい?」

「今日は義兄上をお借りします」

「は?」

「ほら、義兄上、行きますよ」

「どこに行くんだよ…っていうか、私は忙しいんだ」

「暇なのは調査済みです。さあ、遊びに行きましょう。令嬢じゃあるまいし そのままでいいですよね?」

「おまえなぁ」

結局ついてきたギリアスは到着先がボルスト公爵家だと気付いた。

「え?サミュエルは知っているのか?」

「もちろんです。ジェイクを通して約束しましたから」

「何で私にはソレをしないんだよ」

「え?義兄上だから」

「普通は恋人の兄を大事にするものだろう」

「してますよ。さあ、入りましょう」

「ようこそ、シュノー様、スタンサー様」

「こんにちは、オルランさん。今日はお世話になります。これ、この間話した品です。試してください」

「よろしいのですか!?」

「ボルスト家の要であるオルランさんの健康は俺にとっても大事なことですから」

「なんと…生きてきて良かった…」

「大袈裟ですよ。効果があればいいのですが」

「有り難くちょうだいいたします。さあ、どうぞ」

ボルスト家の執事オルランは水虫に苦しんでいる。
そのことを前回訪問したときに本人から聞いて、よく聞くと言われる他国の薬を入手した。
普通は塗り薬を塗るのだが、これは足湯にする。桶にお湯を溜めて薬草の粉を溶かして30分ほど浸けながら隅々まで馴染ませる。爪の間も。説明書きを見て今夜試すだろう。


「サミュエル卿、今日はお時間をいただきありがとうございます」

「いらっしゃい、久しぶりだね。ギリアスも連れてきてくれたんだね」

「はい。寂しがり屋なので」

「誰がだ」

「ジェイク、ありがとう」

「いいけど、何でオルランが涙流しているんだ?」

「あ、オルランさんは今日は夕方に伝達事項を完了させたら解放してくれ。やるべきことがあるんだ」

「分かったよ。オルラン。今日は夕方で終わりだ」

「ありがとうございます、では失礼いたします」


ジェイクとビクトリアの話になり、結婚が1年後だと知るとギリアスは俺に詰め寄った。

「エレノアとはいつ結婚するんだ」

「父が少し待てと言うので」

「領地にいるんだったな?」

「はい。明日から領地むこうに行って聞いてこようかと」

「駄目だ、お前ではあてにならん。私も行く」

「え? 1日では着きませんよ?」

「知ってるよ。だけど“まだ待てと言われました”とか言いそうだからついて行くんだよ。
エレノアを侯爵邸に泊まらせて ヤっておいて婚約もしないなんて許さないからな」

「エレノアをスタンサー家に泊まらせたのか?」

「泊まらせた」

「ビクトリア…初夜まで待たなきゃ駄目かな」

「ビクトリアは純潔だろう?」

「交渉してみようかな」

「交渉って…閨事の婚前交渉は互いに恋人のような好意がないと無理じゃないか?性欲の捌け口にするなって激怒されて平手打ちをくらうぞ」

「フレデリック達が上手くいっているから私もいいかなと少しだけ思ったんだけどな」

「エレノアは特殊だから」

「特殊とは何だ、特別と言え」

「エレノアも義兄さんも特別ですよ」

「…ならいい」

「ギリアス…ハハハッ」

サミュエル卿に笑われてギリアスは赤くなって騒いでいた。

その隙にジェイクと話した。

のか?」

「私だって男だぞ?あの部屋で他人の性交を見せられて…たまったものではない」

「あの頃は婚約者もいなかったし、夜会で女に声を掛けるかプロに任せればよかったのに」

「私と寝てくれって声をかけるのか?」

「あ~、そっちは忘れてくれ。プロのところへ通うんだな」

ジェイクなら何も言わなくても女が寄ってくるはずだが、この感じだと その場限りでいい女と面倒くさい女の見分けがつかないだろうな。

「でももう婚約してるし、嫌われたら…」

「秘密にしておけばいいだろう」

「でもな…」

「よし、我慢しろ。というか、俺よりサミュエル卿やギリアス義兄上の方が経験豊富だぞ?」

「え!?」

「俺はあのクラブだけだが、お二人は夜会とかで引っ掛けたりしていたタイプだからな。
プロとの経験もありそうだし」

「誤解を与えるじゃないか」

「そ、そうだぞ」

メイドが二人立っているからな。サミュエル卿の奥方に話が筒抜けなのだろうか。

「でも昔、アイリ、」

「フレデリック!何か欲しいものがあるだろう?」

「ありません。昔、」

「頼む!!」

サミュエル卿はローテーブルに両手を付いて頭を下げた。

「俺の気のせいでした。名前はロザリ、」

隣のギリアスが俺の口を塞いだ。

「な、何で知っているんだよ」

「耳が良いんで聞こえちゃいました」

「噂?噂が立っていたのか!?」

「フローラ様がご懐妊中でしたね?」

「くっ!」

「…しかも相手は、」

「可愛い義弟よ、要望を聞こう」

「領地でのご活躍を期待しております」

「承知した。その件は忘れたまえ」

「その件忘れましょう」

「!!」
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