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ギリアスは振り回される
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【 ギリアスの視点 】
「俺の気のせいでした。名前はロザリ、」
慌ててフレデリックの口を塞いだ。
何で知っているんだ!噂が立っていたのか?
「フローラ様がご懐妊中でしたね?」
「くっ!」
「しかも相手は、」
こいつは間違いなく知っている!
「承知した。その件は忘れたまえ」
「その件は忘れましょう」
他にも知っているというのか!?
あれは卒業したての王宮主催の夜会だった。
王の末弟殿下と王弟妃のロザリーヌ殿下も出席なさっていた。
酔いが回ってきたので庭に出て歩いていたら突然女に抱き付かれた。
暗かったので顔がよく分からなかった。
女が身体に触れて股間を掴んだ。
だから後ろを向かせてドレスの裾を捲り上げた。
唾を付ける必要がないくらい 既に濡れていた。
そのまま欲をぶつけ、抜いて女の尻に押し付けながら吐精した。妊娠騒ぎは困るから、必ず外に出すことにしている。
せめてとハンカチで拭うと、女は振り向きながら言った。
『用心深いのね』
この時、私の人生は終止符を打たと思った。王弟殿下の妻ロザリーヌ殿下だったからだ。
『ご、ご無沙汰しております』
『何の挨拶よ。
いくらなんでも自分本位じゃない?誘ったのは私だけど少しは楽しませてよ』
『申し訳ありません……あの、王弟殿下は』
『込み入った話をしているから心配いらないわ』
『あの、私と知っていて?』
『そうよ。奥様がご懐妊中だと聞いたし、昔遊んでいたあなたなら断らないと思ったのよ』
『…よくご存知で』
『ふふっ。じゃあね』
その夜から2ヶ月ばかり生きた心地がしなかった。
フローラからは優しすぎて気持ち悪いと言われるし、父上達からは挙動不審だと言われるし。
すっかり忘れていた。
何故そのことをフレデリックが知っていたのか。
サミュエルが遮った“アイリ”は“アイリーン”だろう。あいつ、友人の婚約者と寝たんだな。
なんか雰囲気がおかしくなった時があったんだよ。
…こいつ、どんな情報網があるんだよ。
確かに敵に回さない方がいいな。
そして男旅が始まった。
旅は女と行った方がいいと思っていたが、フレデリックとの旅は気が楽だ。トイレとかタイミングを気にしなくていいし、宿も食事も男向けで選ぶことができる。
まずいな…生意気なのは変わらないのに、不快でもなければ全く苦じゃない。私はこいつに洗脳されてしまったんじゃないのか?
「あと少しで到着します」
「もう着くのか」
「そんなに残念そうな声を出さないでくださいよ。
まだ俺と馬車の旅を満喫し足りないのですか?」
「そんなわけあるか」
何でニヤニヤしてるんだよ。
領地のスタンサー邸は大きさはあるが質素な感じだった。あんなペンを収集しているくらいだから豪邸なのかと思っていた。
「え? …ようこそ、シュノー公子」
「突然お邪魔して申し訳ありません。
急遽フレデリックに同行させていただきました」
「そうですか。どうぞ中へ」
何だか侯爵は疲れているように感じた。
外側と違って中は凝った作りになっていた。調度品も値が張りそうだ。なんか見たことのある絵も飾ってある。通された応接間は夫人の趣味なのか、大きなローテーブルを囲むようにルビーピンクの一人掛けセティソファが6脚並んでいる。
侯爵は落ち着かない視線を私とフレデリックに向ける。
フレデリックは茶葉を選びながら侯爵の様子を観察している気がする。
こんなことをしていたのではエレノアが安心できないじゃないか。
「フレデリック、早く茶葉を選んで座れ」
フレデリックは選んだ茶葉をメイドに渡し、ソファに座った。
「侯爵、間違いなく何かありますね?」
「はぁ~」
大きな長い溜息をついた後、スタンサー家に起きていることを話し始めた。
「ご存知の通り、私にはフレデリックの他にモーガンという息子がおります。跡継ぎ教育をしてきましたが、思うように進みませんでした。モーガンの妻がスタンサー家で雇っていた騎士と浮気をしたことで離縁となり、モーガンは集中することが出来なくなりました。浮気のショックかと思い、気分転換に領地を回らせたところ何ヶ月も帰ってきませんでした。
今は一つの町にとどまり、教会で働きたいと通い詰めています。きっかけは、その教会で神に仕えるシスターです。本人は邪な気持ちは無いと言い張っていますが、モーガンは神に仕えたいというより、惚れた若いシスターの側にいたいだけだと思っています。今は妻が説得のために残っておりますが、無理だと思っています」
「兄上は祈るだけだと思っていそうですね」
長男は夫人によく似ていると言っていたな。
これは搾取だ。
「俺の気のせいでした。名前はロザリ、」
慌ててフレデリックの口を塞いだ。
何で知っているんだ!噂が立っていたのか?
「フローラ様がご懐妊中でしたね?」
「くっ!」
「しかも相手は、」
こいつは間違いなく知っている!
「承知した。その件は忘れたまえ」
「その件は忘れましょう」
他にも知っているというのか!?
あれは卒業したての王宮主催の夜会だった。
王の末弟殿下と王弟妃のロザリーヌ殿下も出席なさっていた。
酔いが回ってきたので庭に出て歩いていたら突然女に抱き付かれた。
暗かったので顔がよく分からなかった。
女が身体に触れて股間を掴んだ。
だから後ろを向かせてドレスの裾を捲り上げた。
唾を付ける必要がないくらい 既に濡れていた。
そのまま欲をぶつけ、抜いて女の尻に押し付けながら吐精した。妊娠騒ぎは困るから、必ず外に出すことにしている。
せめてとハンカチで拭うと、女は振り向きながら言った。
『用心深いのね』
この時、私の人生は終止符を打たと思った。王弟殿下の妻ロザリーヌ殿下だったからだ。
『ご、ご無沙汰しております』
『何の挨拶よ。
いくらなんでも自分本位じゃない?誘ったのは私だけど少しは楽しませてよ』
『申し訳ありません……あの、王弟殿下は』
『込み入った話をしているから心配いらないわ』
『あの、私と知っていて?』
『そうよ。奥様がご懐妊中だと聞いたし、昔遊んでいたあなたなら断らないと思ったのよ』
『…よくご存知で』
『ふふっ。じゃあね』
その夜から2ヶ月ばかり生きた心地がしなかった。
フローラからは優しすぎて気持ち悪いと言われるし、父上達からは挙動不審だと言われるし。
すっかり忘れていた。
何故そのことをフレデリックが知っていたのか。
サミュエルが遮った“アイリ”は“アイリーン”だろう。あいつ、友人の婚約者と寝たんだな。
なんか雰囲気がおかしくなった時があったんだよ。
…こいつ、どんな情報網があるんだよ。
確かに敵に回さない方がいいな。
そして男旅が始まった。
旅は女と行った方がいいと思っていたが、フレデリックとの旅は気が楽だ。トイレとかタイミングを気にしなくていいし、宿も食事も男向けで選ぶことができる。
まずいな…生意気なのは変わらないのに、不快でもなければ全く苦じゃない。私はこいつに洗脳されてしまったんじゃないのか?
「あと少しで到着します」
「もう着くのか」
「そんなに残念そうな声を出さないでくださいよ。
まだ俺と馬車の旅を満喫し足りないのですか?」
「そんなわけあるか」
何でニヤニヤしてるんだよ。
領地のスタンサー邸は大きさはあるが質素な感じだった。あんなペンを収集しているくらいだから豪邸なのかと思っていた。
「え? …ようこそ、シュノー公子」
「突然お邪魔して申し訳ありません。
急遽フレデリックに同行させていただきました」
「そうですか。どうぞ中へ」
何だか侯爵は疲れているように感じた。
外側と違って中は凝った作りになっていた。調度品も値が張りそうだ。なんか見たことのある絵も飾ってある。通された応接間は夫人の趣味なのか、大きなローテーブルを囲むようにルビーピンクの一人掛けセティソファが6脚並んでいる。
侯爵は落ち着かない視線を私とフレデリックに向ける。
フレデリックは茶葉を選びながら侯爵の様子を観察している気がする。
こんなことをしていたのではエレノアが安心できないじゃないか。
「フレデリック、早く茶葉を選んで座れ」
フレデリックは選んだ茶葉をメイドに渡し、ソファに座った。
「侯爵、間違いなく何かありますね?」
「はぁ~」
大きな長い溜息をついた後、スタンサー家に起きていることを話し始めた。
「ご存知の通り、私にはフレデリックの他にモーガンという息子がおります。跡継ぎ教育をしてきましたが、思うように進みませんでした。モーガンの妻がスタンサー家で雇っていた騎士と浮気をしたことで離縁となり、モーガンは集中することが出来なくなりました。浮気のショックかと思い、気分転換に領地を回らせたところ何ヶ月も帰ってきませんでした。
今は一つの町にとどまり、教会で働きたいと通い詰めています。きっかけは、その教会で神に仕えるシスターです。本人は邪な気持ちは無いと言い張っていますが、モーガンは神に仕えたいというより、惚れた若いシスターの側にいたいだけだと思っています。今は妻が説得のために残っておりますが、無理だと思っています」
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長男は夫人によく似ていると言っていたな。
これは搾取だ。
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