【完結】転生令嬢は遠慮いたしません!

ユユ

文字の大きさ
12 / 38

ミスラの獲物 2

しおりを挟む
マリエッタを成敗できてティーティア未来は喜んだ。

「これで、セイン王子殿下やダリウス兄様達は勘当されずに済みます!」

王「これで話は本当だと分かった。

今後、重要人物に接触しそうな外国人には飲ませようと思う」

「グルルルル…」

「ミスラ?」

ミスラが立ち上がり天井に向けて唸り出した。

王「ミスラを放て」

「ミスラ、行って」

ミスラが疾走してすぐに天井がバタバタと音を立てた。

公爵は笛を吹いている。

王「さあ、逃げ切れるかな?」

「楽しそうですね」

王「私の犬だったら最高に楽しかっただろう」

廊下から悲鳴が聞こえてきた。

そして笛で厳戒態勢の敷かれた部屋に現れたのは獲物を咥えたミスラだった。

「あ~また汚れちゃった」

王「第一声はソレか」

「ミスラ、放して」

「た、助けて…」

そこに更に別の人物が。

「ティーティア!!」

「セイン王子殿下」

すんごい息切れしてる。

「怪我は!」

「ない」

「何で一日に二度も狙われるんだ!」

そう言いながらギュウギュウと抱きしめられるが苦しい。

バチバチバチバチ!

ティーティアがセインの脇腹を叩くと解放された。

「ミスラ、良くやった。お前は最高だ!」

「フンッ」

「珍しい、ミスラが私以外の人に返事した」

「ミスラ~好きなものは何だ?買ってやるからな」

王「セイン」

「失礼しました」

公「血塗れで分かり難いですが多分、上級書記のベスラーじゃないでしょうか」

騎士「ナイフ、自害用の丸薬、偽の身分証明書、ワルスベルトの身分証、我が国の身分証、あと手紙?

……これは殿下からヴェリテ伯爵令嬢宛の手紙です」

「返してくれ!」

王「手紙と身分証を持ってきてくれ」

騎士「はっ!」

「父上!」

王「煩い」

国王が身分証を確認し、手紙を読むとセインを見て溜息をついた。

王「団長、その男を尋問室に連れて行き、洗いざらい話させたら教えてくれ」

公「かしこまりました」

王「ティーティア、其方はもう一種類剣術があったな?」

父伯爵め~!

伯「すまん」

「剣舞ですか」

王「それにも王命が必要か」

「でしたら、陛下も何かひとつ見せてください」

王「私がか」

「はい!」

王「そんなに期待された顔をされても困る」

公「ティーティア、私も何かやるから剣舞見せてくれないか」

「いいですよ」

「ティーティア、また一日背負うから、」

王「駄目だ。何か披露しなさい」

「分かりました」

「公爵様、短いサーベルみたいなのありますか、湾曲があまり無いといいのですが。
子供用の模造刀もあればお願いします」

「分かった」

「セイン王子殿下の準備の間にミスラを洗います」



ミスラを洗い終えて戻ると、まずはセインが披露した。

ヴァイオリンだった。よくは分からないがマスオさんとは雲泥の差だった。

「すごい!」

「ティーティアみたいに剣じゃなくて…」

「優劣はありません。それに普通に剣術は習っているんですよね」

「そうだが」

伯「ティーティア、荷物が届いたらしい」

「着替え部屋をご用意願えますか」

王「案内させる」




お下がりではなくて綺麗な布で仕立てたガウチョパンツにひらひらリボンがついたブラウス、胸にはピンで的を付けた。

髪を一纏めにして謁見の間に戻った。

王「これはこれは。ドレスでなくても品がある。なかなかいいものだな」

「ありがとうございます。

ベストは誰が着てくださいますか」

王「私が着よう」

公「陛下!?」

王「体感してみたい」

「後ろに紐を置きました。出てしまったら失格です。突くのは的だけ。防具がありませんので無理をすると怪我をさせてしまいます」

王「鎧を、」

「私が動けませんし、こんな小さな鎧は無いですよね?

では公爵様、短く笛を吹いてください」

「用意! 始め!」

ピッ

シュッ

「うおっ!」

陛下が唖然としている間に、私は胸の的を取り外して靴を脱いだ。

そして短めのサーベルを受け取り剣舞を舞った。

王「これは凄いな」

レ「美しい」

公「流れるようだな」

伯「衣装次第では芸術ですね」



終えると四人が喜んでいた。

王「剣舞は攻撃に転用できるのか」

「はい、習いはしませんでしたが」

王「やってみることは可能か」

「臨機応変な剣捌きの方がおられましたら。
息が合わないと怪我をするかもしれません。
あと、あまり身長差があると……」

公爵が騎士に指示をした。

公「今しばらくお待ちください」



模造剣などを持った甲冑を着た小柄の若い男の子が現れた。

公爵が模造剣を渡したのが小さな少女だったのを見て“本気ですか?”と目で訴えている。

「私はティーティア・ヴェリテ、10歳です。よろしくお願いします」

「フェランと申します。17歳です。ご指示願います」

「独特な攻撃をします。私は剣に当てるだけです。最後は急所に寸止めします。防具は念のためです。

できるだけ受けてください。絶対に攻撃はしないでください」

「分かりました」

「手を伸ばして剣を向けてください」

「はい」

「始めます」

軽く剣を合わせると少し離れ、すぐに接近して下から剣を打ち払った。

フェランは後ろに体制を崩したが踏み止まる。そこに振り抜いたまま回転していたティーティアは左斜め下から剣を打ち、剣が傾いたところに大きく踏み込んで喉元に剣先を付けた。

王「あの剣舞がこんな風になるのか」

公「これは……」

「フェラン様、ありがとうございました」

「貴女は何者ですか」

「伯爵家の子供です」

王「ティーティア、充分戦力じゃないか」

「これが真剣同士なら通用しないかもしれません。私は充分に振れませんし、打ち弾いてもびくともしない可能性が高いと思います」

公「騎士団で講義を、」

「しません」

公「ティーティア」

「絶対しません!
さあ、陛下と公爵様の番ですよ」


その後、陛下は弓で的当てを。公爵様は意外にも花冠を作ってくれた。しかもティアラっぽい。

「これすごいですね!輪になっただけのは見たことも作ったこともありますがティアラ風は初めて見ました!」

公「喜んでもらえて良かったよ」

王「意外だな」

公「野宿の時にちょっと」


そして私たちは屋敷に戻った。





一方、夜、セインの私室に国王がいた。

「あの手紙は恋文のように感じたが」

「そうお感じになられても不思議ではありません」

「第二妃か側妃にするつもりか」

「それは叶わないと思います」

「ならどうしようと思って書いたんだ」

「仲良くなりたくて」

「結婚までの恋人にするつもりか?
10歳の子供だぞ?」

「そこまで望んだわけではありません。
ただ私のことを考えたり思い出したりして欲しいのです。他の男ではなくて」

「ヴェリテ家に侵入した殺し屋と謁見の間の天井から盗み聞きしていた男はワルスベルトが送った者達だ」

「まさか」

「メイドなどではなく上級書記官が間者となると寄越したのは王族だろう。国王か王女か。

明らかに殺意はティーティアだけに向けられていたし、あの手紙を持っていた」

「だとしたら、娶ればとんでもないことになります」

「その通りだ。
どうやって破談に持っていくかが問題だ」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

最愛の人に裏切られ死んだ私ですが、人生をやり直します〜今度は【真実の愛】を探し、元婚約者の後悔を笑って見届ける〜

腐ったバナナ
恋愛
愛する婚約者アラン王子に裏切られ、非業の死を遂げた公爵令嬢エステル。 「二度と誰も愛さない」と誓った瞬間、【死に戻り】を果たし、愛の感情を失った冷徹な復讐者として覚醒する。 エステルの標的は、自分を裏切った元婚約者と仲間たち。彼女は未来の知識を武器に、王国の影の支配者ノア宰相と接触。「私の知性を利用し、絶対的な庇護を」と、大胆な契約結婚を持ちかける。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

これが普通なら、獣人と結婚したくないわ~王女様は復讐を始める~

黒鴉そら
ファンタジー
「私には心から愛するテレサがいる。君のような偽りの愛とは違う、魂で繋がった番なのだ。君との婚約は破棄させていただこう!」 自身の成人を祝う誕生パーティーで婚約破棄を申し出た王子と婚約者と番と、それを見ていた第三者である他国の姫のお話。 全然関係ない第三者がおこなっていく復讐? そこまでざまぁ要素は強くないです。 最後まで書いているので更新をお待ちください。6話で完結の短編です。

処理中です...