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ベレニスとジョルジーヌ 

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【 ベレニスの視点 】

初めて娼館に来た時、私はまだ11歳だった。

『ベレニス、ジョルジーヌ。お前達は今日からこの娼館で働いて暮らす。
まずは下働きから始めてもらう』

館の主人だろうか。

『デボラ、仕込んでやれ』

『かしこまりました』

中年の叔母さんに連れられて館内を案内された。

『ここは高級娼館だからお客様は貴族様や富豪しかいない。絶対に失礼があってはならないよ。お前達の命など簡単に無くなってしまうからね』

『ショウカンってなんですか』

『男が金を払い、女の体で欲を吐き出すところだよ。ゆっくり教えていくからね』

私とジョルジーヌは同室に入れられた。

『私はジョルジーヌ、13歳よ。

母子家庭だったんだけど母が死んで叔父の家に引き取られたんだけど、そこの16歳の息子が私を好きになったみたいで……。
夜中に部屋に来て触り始めたの。

何回目かに叔父の奥さんに見つかって、私が誘惑したんだろうって。

それでここに売られちゃった』

『私はベレニス、11歳です。

借金の取り立てが来て、返せなくて、パパが私を……ううっ』

『分かったわ。ベレニス。
敬語は要らないわ。これから二人で支え合って生きていこう』

『うん』

しばらくは慣れない仕事に精一杯で体も頭も疲れ切っていた。

『二人とも、ここが何をする所か、よく見なさい。今日覗くのはの客だよ』

そう言われて監視穴から覗いた光景は男女の情交だった。

私は男女がああいうことをするなんて知らなくて衝撃的だった。

ジョルジーヌも途中までは知っていたがその先があるとは知らなかった。

そして翌日は、

『今日はな客だよ』

覗くと女の人が縛られていた。

その後も何日か見させられた。
乱暴な者、赤ちゃんみたいに振る舞う者、中には叩く者や首を締める者もいた。

『今日は女の穴じゃなくて肛門を使う客だよ』

その夜はなかなか眠れなかった。

その後、男女の体の仕組みや体位、破瓜、愛撫など様々なことを教わった。

三ヶ月程経ったある日、私は熱が出た女性の看病を命じられジョルジーヌとは別行動だった。その番、ジョルジーヌは部屋に戻らなかった。

『デボラ様、ジョルジーヌを知りませんか』

『……せっかくの機会だから教えておこう。ついてきなさい』

後をついて行った先は奥の部屋だった。
中に入るとジョルジーヌは眠っていた。
唇は切れていて瘡蓋が新しい。頬が少し腫れている。よく見ると涙の跡があった。

『今は睡眠薬で眠らせているよ』

『ジョルジーヌ…』

『ジョルジーヌは昨日、禁止された場所に足を踏み入れた。客から見える場所に姿を現してしまった。

が好みの貴族様がジョルジーヌを見つけてしまったんだよ』


その後のはなしはこうだった。

その貴族様はジョルジーヌを指名した。

支配人は年齢を告げて断ったが大金を見せてこう言った。“私を不快にさせるよりコレを受け取った方がいい。終わったら美味いものでも食べさせてやれ”と。

彼は高位貴族だった。これ以上店は逆らえなかった。

ジョルジーヌは泣いて抵抗したようで、大人しくなるまで叩かれたようだ。直ぐに大人しくなった。。

二時間後に貴族様が出てくると“娘を専属に。他の客に充てがうな。直ぐに医者を派遣する”

当日の内に使いの者が医者を連れてきた。帰りに大金を置いて行った。

ジョルジーヌの性器は裂傷と腫れが酷く、医者の許可が出るまで一ヶ月かかった。
デボラ様が言うには医者が不憫に思い少し猶予をくれたのだろうと言うことだった。

復帰明けの指名後、ジョルジーヌは声を押し殺して泣いていた。


私はデボラ様に申し出た。

『ジョルジーヌの代わりをします。だから少し休ませてあげてください』

『ジョルジーヌだって早過ぎたのにベレニスはもっと駄目だ』

跪いて懇願すると後悔するよと言いながら引き合わせてくれた。

『私は開き掛けの蕾が好きなんだ。それを自分の色に染めるのが好きなんだ。
君は硬い蕾だし、タイプじゃない。

ジョルジーヌが嫌だと?』

『いえ、姉は感謝していましたが、熱が出てしまい……姉は体が強くなくて、その…』

『似てないな』

『同じ日に来て同じ部屋で過ごしてから姉妹のように生きてきました』

『まずはお前の話が本当か確かめよう。ジョルジーヌを連れて来てくれ』

熱なんて嘘なのにどうしよう。私はどうなってもいいけど、私の嘘にジョルジーヌを巻き込むわけにはいかない。いざとなったら…

『ジョルジーヌを連れて参りました』

背負われて降ろされたジョルジーヌは顔が赤く汗ばんでいた。

貴族様が近寄り額を触る。

『ふむ、本当だったようだ。今日は他の者を指名しよう。

ジョルジーヌ、ベレニス、いい子にしていなさい』

そう言って帰って行った。





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