【完結】些細な呪いを夫にかけ続けている妻です

ユユ

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そんなつもりは

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登城翌日は勤務初日だった。
採用された侍従2人、侍女2人、メイド5人。護衛騎士4人は流石に新人とはいかず命じられて配置された者達だ。

だけど、私とメイド1人と護衛以外はクビになった。ミカエル殿下がクビにしてしまった。

メイドは魔法を使えなくても貴族籍でなくても構わないということになり、補充された。

「ミカエル殿下、そろそろ授業のお時間です」

「何の役に立つのさ。呪いの一族の僕に必要ないだろう」

「呪いの一族なんて存在しません。
術者は1人だけでした。もし一族が呪いを扱えるというのならミカエル殿下の母君は自分で術を掛ければ済んだことです」

「……」

「ミカエル殿下が王子教育を終えたら、私の秘密をお伝えします」

「セシルの秘密なんて大したことないんだろう?」

「いえいえ。ミカエル殿下がその秘密を漏らせば、陛下から呼び出されます。そして私は異動になってしまうでしょう。できれば私はミカエル殿下のお側に置いていただきたいので秘密にしてくださると嬉しいです」

「ふん!」

ミカエル殿下は教科書を持って授業を受ける部屋へ向かった。 


可愛い。不敬だけど凄く可愛い。
毎日拝めるなんて 侍女に応募して良かったとニコニコしていたら、殿下は不審そうな顔をした。

「なんだよ」

「ミカエル殿下のお側でお仕えできて嬉しいのです」

「っ!! 昇給なんかしないからな」

「写撮機を使わせていただけるだけで結構です」

「なんだソレは」

「時を刻む記録のようなものです。この瞬間を切り取って、ミカエル殿下の可愛らしい…尊いお姿を残すことができるのです。出来れば行事毎、シチュエーション毎に撮らせていただければと、」

「とにかく持ってこい」

「では夜に」

「は?」

パシャリ


翌朝。

「こちらが尊いミカエル殿下の寝姿です」

テーブルの上に昨夜写したものを乗せた。

「なっ!!」

「可愛らしい寝相とお顔が素敵です。歳を重ねると変化しますので定期的に撮りますね」

「変態か!」

「では、お着替えのお時間ですね、失礼します」

「待て。ソレはどうするつもりだ」

「私の部屋に飾ります」

「止めろ。返せ」

「殿下。こちらは私の所有物です」

「僕が写っているだろうが!」

「そうですよ?」

「せ、せめて飾るのは止めろ」

「では引き継き撮ってもいいですね? わぁ 嬉しい!」

「いいとは言っていない」

「飾ります?」

「いい度胸だな セシル。お前の寝姿も写して寄越せ」

「淑女の寝姿を写したものを所持なさると陛下から呼び出されますがよろしいですか?」

「ずるいぞ!」

「世の中は狡さで溢れていますわ 殿下」

「覚えていろよ!」

「はいはい」

「“はい”は一回だ!」

「はい、殿下」


こんな感じでミカエル殿下とは楽しく過ごし、数年後、成人後に王子教育を終えた殿下に秘密を教えた。

「お、お前!化け物級じゃないか!!」

「シッ!人払いはしましたがドアの外には護衛がいるのですよ」

「何故隠しているんだ。何にでもなれたじゃないか」

「ええ。ミカエル殿下の大事な侍女になれましたわ」

「何故 僕なんか…」

「実は私はずっと判定道具に反応せず、魔力も属性も無い出来損ないとして生きて参りました。婚約からは疎まれ、学園では虐めの対象となり辛い思いをしました。婚姻後も夫は私を嫌ったままでした。そんな時、異例の覚醒が起こったのです。最初はそれが覚醒故の高熱だとは思いませんでした。19歳の覚醒は記録にありません。魔法が使えると悟った後も判定道具には反応しませんでした。
魔術研究所の兄に魔法の使い方を教わり、魔導具を作る手助けもしていました。夫に殴られた顔を撮影して兄に見せに行ったときにリオネル殿下とお会いして、呪いの話を聞きました。私の何かが呪いに効いているようだと知って、解術を試みたのです。私が過度に呪い返しをしたせいでミカエル殿下の叔父君は亡くなりました。公にしなくてはならなくなったのも私のせいです」

「侍女に応募したのは同情ではなく贖罪だったというわけか?」

「ですが お会いしましたら、殿下のあまりの可愛さに贖罪を忘れて私の生き甲斐になっておりました。
ミカエル殿下、私のせいで申し訳ございません」

「……セシル、お前は今も純潔か?」

「はい?」

「純潔かと聞いている」

「そうです。殿下一筋、殿方に現を抜かす隙などございません。毎夜ミカエル殿下を撮影したコレクションを眺めてから眠りについております」

「見事な変態っぷりだな」

「お褒めのお言葉をありがとうございます」

「お前はクビだ」

「え?」

「クビだ」

「……やはりそうですよね。仇のような私では、」

「一緒に来い」

「え?この後殿下は陛下への定期報告のお時間です」

「だから来い!」

ミカエル殿下は私の手を引いて陛下の執務室へ入室した。

「ミカエル、…侍女連れか」

「この者は先程クビにしました」

「ん?侍女が罪でも犯したのか」

「父上。僕はセシルを妻に迎えます」

「はい!?」

「…ミカエル、彼女は歳上過ぎる。セシル、其方は幾つだ」

「28歳です」

「僕はもうすぐ卒業です。今から婚約し卒業した翌日に婚姻し、直ぐに子作りをします」

「なっ!ミカエル殿下っ!!」

「…ミカエルの希望か?」

「はい。人妻の過去はあれど純潔です。婚家に懸命に仕えた淑女です。そしてずっと僕を支えてくれました。彼女無しに今の僕は存在しません。これから先も彼女がいなければ生きていけません!」

「ミカエル殿下、お熱があるのですね?」

「セシル、お前は隣で僕を見つめていればいいんだ!分かったな!チュッ」

「!!!」

ミカエル殿下は国王陛下や側近達の前で私にキスをした。

「ハハッ!真っ赤だ!口付けも初めてか!」

「っ!!」

「いいか セシル。逃げようなどと試みるなよ?地の果てまで追いかけるからな。
捕まえたら足枷を付けて鎖でベッドに繋いでやる」

育て方を間違えた?

「へ、陛下、どうか駄目だと言ってください」

「ん~、其方がこんな風に育てたも同然だろう。他に侍女も乳母も居らず、其方だけが側にいたのだから。其方に責任をとってもらうしかあるまい。今すぐ純潔の検査を受けて来るように」

「へ、陛下!?」

「僕も直に確認したいから行こう。では父上、失礼します」

「はぁ」

陛下の大きな溜息が聞こえてきたけど、ミカエル殿下に担がれてどうにもできなかった。
ミカエル殿下のベッドに降ろされ、宮廷医が到着すると、医者とミカエル殿下が純潔の証を確認していた。
医療助手達は私を押さえ付けていた。

「これが証か」

「そうです、殿下。形は様々。ハーゼル殿の場合は処女膜がしっかりしているので破瓜の際は手間取るでしょう」

「つまり?」

「痛みで暴れるかもしれません。ゆっくり押し破ればそれはそれで痛いですし、一気に突き破るのも痛いです。破らない限り奥を解せませんし」

「どれ」

「ひゃっ!」

「本当だしっかりした証だ」

ミカエル殿下は中指を口に加えて唾を付けると膣内に挿れて純潔の証に触れた。

「で、殿下っ!!」

「大事なことだ。しっかり脚を開いて確認させろ」

「っ!!」

やっぱり育て方を間違えたわ!こんなこと教えていない!!
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