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サルト領と帝国の王子達(食材)
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数日かけてサルト領に到着した。
双子とハヴィエルが話している間にレオンはロランに話しかけた。
「ロラン殿下はシーナ嬢に一目惚れをして以来側にいると聞いた」
「………」
「人にはそれぞれ好みがある」
「ミーシェ姉様ですか」
「それもちょっとだけ違う。
シーナ嬢も可愛らしいし、ミーシェにも驚いた。だが私は今まで容姿が好みだからと恋人にしたことも娶ったこともない」
「身体だけ摘み食いをしたってことですよね、それ」
「……私にはシーナ嬢は幼すぎる。娘のような気分になる。そんな大きな子供はいないがな」
「どうしてサルト領に?」
「羨ましかったからだ。
子供の頃、動物と戯れたいと願っても父上が許さなかった。ずっと城にいてはそんな機会はやってこない。
しかもサルトは豊かな観光地だと聞く。
数ヶ月で私は帝王の座に着く。
参考にしたいと望んでは駄目か?」
「何があっても自己責任でお願いしますね」
「分かってる」
「あと、ライアン兄様とアネット様には逆らわないでください」
「努力しよう」
「大事なルールがあります。
熊とウサギに危害を加えてはいけません」
「熊も?」
「はい。熊やウサギを痛めつけたりするとシーナが悲しみます」
「襲われなければ何もしない」
「参考までに。
熊は走るのも早いです。木登りもできます。
穴掘りも得意です。泳げます。
一撃で顔半分吹き飛ばされます。お気を付けて」
「どうやって身を守れと?」
「遭遇しないように気を付け、常に退路を確保し、屋敷までの距離を把握し、熊が視界に入ったら少しずつ屋敷の方へ後ろ向きに下がります」
「サルト家の護衛と仲良くなることにするよ」
ひとまずロランの警戒を緩めたレオン達は護衛達に声をかけて回った。
屋内だけになるので休みの者や外番の者は後に挨拶をした。
その後、直ぐに晩餐の時間となった。
ハ「レオン王太子殿下とアクエリオン殿下には素朴に感じるかもしれませんが、お召し上がりください」
レ「美味しそうだ。いただこう」
食べ進めていくと二人は目を合わせた。
アク「味が違いますね」
レ「王宮だから良い物を回してもらって食べているはずなのに野菜は味が濃くて新鮮だ。
肉は臭みがない。魚も臭みがなくて、生魚は初めてだがクセになりそうだ」
ハ「土が豊かな土地は王都から遠いことが多いでしょう。いくら収穫した時に良いものでも運搬中に傷みます。
振動、気温、湿気、日差し、雨、雪、時間。
後は加重です。全てを平置きにはできませんから重みで下の物は傷みます。
肉は生きたまま運ばねば劣化は著しいです。
生きていても運搬中のストレスが何日かかるかでまた肉質が落ちます。
動物も何を食べてどう生活したかで味が全く変わります。
野菜もいい土と水で美味しく育つのです。
魚は顕著です。
綺麗な海で、直ぐに血抜きをして氷を敷き詰めた箱に入れて持って来させています。
予め捕獲していた魚を海の中で囲い、夜に食べると連絡をすればそれに合わせて血抜きをして調理開始時間までに届けてくれるのです」
アク「領内はその魚を届けてもらえるのですか」
ハ「別料金がかかるのですが、それが魚代より高いのです。ですから余程裕福な家か高級な宿と食事処しか頼めないでしょう」
レ「ライアンとミーシェがサルト領を愛する理由の一つを知りました。
こんなに美味しい食事をしていたら外に出たくはありませんね」
アク「ここを出てからの食事を考えると帰りたくありませんね」
ハ「ありがとうございます」
アク「生魚のソースはドレッシングですか?」
ハ「似たようなものです」
デザートになると、
ア「今日は何のソースなの?」
菓子担当「本日は三種類のベリーソースでございます。ブルーベリー、カシス、野苺で完熟させておりますので酸味は抑えてあります。一口目はチーズケーキだけをお召し上がりください」
ア「ありがとう、マヌエル」
アク「美味い、味が濃厚で風味もいいです」
レ「滑らかで美味しい。ソースも良い」
ハ「やはり牛もストレスを減らしてあげて、美味い餌を与えると味に反映します。
そのミルクで作るチーズもとても美味しくなります」
レ「私は王族に生まれたくなかった。
サルト家のような温かな家庭に生まれ育ちたかった。人として生まれたのに何故こんなに違うのか」
ハ「私は昔、病にかかり、ほとんど目が見えなくなり、当時の妻に捨てられた男です。
アネットも申し分のない家に生まれ美しい容姿に恵まれましたが、その容姿から狙われることが多く、子供の頃から自由が無く、面識がなくても何もしなくても夫人や令嬢が嫌がらせをして、令息達が言い寄ってきたそうです。
時には命を狙われて、最後は大怪我を負わされて王都を出ました。
双子も順風満帆ではありません。
ミーシェはアネット似の美しさで自由はありません。愛する人を亡くし心を閉ざしたこともあります。
ライアンはいつもミーシェやサルト家のために生きていて、ライアン自身の幸せを求め欲しいと願っています。
多くの人間は何かしら抱えているのではないでしょうか。
レオン王太子殿下がどのような憂いがあるのかは存じ上げませんが、これから帝位に就く殿下は未来をご自身で作り上げることができるのではありませんか?
お父上の影響次第かもしれませんが。
私は目が不自由になったことで色々なことがあり、人の嘘や悪意に敏感に感じ取れる様になりました。貴方からは嫌な感じがない。
気遣いや優しさも感じられます。
きっと良き帝王になられることでしょう」
レ「励みになります。ありがとう」
ミ「確かにいい人ですよね」
シ「そうなの?」
ミ「私もちょっと助けて貰ったの」
シ「サルト領へようこそ」
レ「ありがとう、シーナ嬢」
アク「受け入れてもらえて嬉しいよ」
双子とハヴィエルが話している間にレオンはロランに話しかけた。
「ロラン殿下はシーナ嬢に一目惚れをして以来側にいると聞いた」
「………」
「人にはそれぞれ好みがある」
「ミーシェ姉様ですか」
「それもちょっとだけ違う。
シーナ嬢も可愛らしいし、ミーシェにも驚いた。だが私は今まで容姿が好みだからと恋人にしたことも娶ったこともない」
「身体だけ摘み食いをしたってことですよね、それ」
「……私にはシーナ嬢は幼すぎる。娘のような気分になる。そんな大きな子供はいないがな」
「どうしてサルト領に?」
「羨ましかったからだ。
子供の頃、動物と戯れたいと願っても父上が許さなかった。ずっと城にいてはそんな機会はやってこない。
しかもサルトは豊かな観光地だと聞く。
数ヶ月で私は帝王の座に着く。
参考にしたいと望んでは駄目か?」
「何があっても自己責任でお願いしますね」
「分かってる」
「あと、ライアン兄様とアネット様には逆らわないでください」
「努力しよう」
「大事なルールがあります。
熊とウサギに危害を加えてはいけません」
「熊も?」
「はい。熊やウサギを痛めつけたりするとシーナが悲しみます」
「襲われなければ何もしない」
「参考までに。
熊は走るのも早いです。木登りもできます。
穴掘りも得意です。泳げます。
一撃で顔半分吹き飛ばされます。お気を付けて」
「どうやって身を守れと?」
「遭遇しないように気を付け、常に退路を確保し、屋敷までの距離を把握し、熊が視界に入ったら少しずつ屋敷の方へ後ろ向きに下がります」
「サルト家の護衛と仲良くなることにするよ」
ひとまずロランの警戒を緩めたレオン達は護衛達に声をかけて回った。
屋内だけになるので休みの者や外番の者は後に挨拶をした。
その後、直ぐに晩餐の時間となった。
ハ「レオン王太子殿下とアクエリオン殿下には素朴に感じるかもしれませんが、お召し上がりください」
レ「美味しそうだ。いただこう」
食べ進めていくと二人は目を合わせた。
アク「味が違いますね」
レ「王宮だから良い物を回してもらって食べているはずなのに野菜は味が濃くて新鮮だ。
肉は臭みがない。魚も臭みがなくて、生魚は初めてだがクセになりそうだ」
ハ「土が豊かな土地は王都から遠いことが多いでしょう。いくら収穫した時に良いものでも運搬中に傷みます。
振動、気温、湿気、日差し、雨、雪、時間。
後は加重です。全てを平置きにはできませんから重みで下の物は傷みます。
肉は生きたまま運ばねば劣化は著しいです。
生きていても運搬中のストレスが何日かかるかでまた肉質が落ちます。
動物も何を食べてどう生活したかで味が全く変わります。
野菜もいい土と水で美味しく育つのです。
魚は顕著です。
綺麗な海で、直ぐに血抜きをして氷を敷き詰めた箱に入れて持って来させています。
予め捕獲していた魚を海の中で囲い、夜に食べると連絡をすればそれに合わせて血抜きをして調理開始時間までに届けてくれるのです」
アク「領内はその魚を届けてもらえるのですか」
ハ「別料金がかかるのですが、それが魚代より高いのです。ですから余程裕福な家か高級な宿と食事処しか頼めないでしょう」
レ「ライアンとミーシェがサルト領を愛する理由の一つを知りました。
こんなに美味しい食事をしていたら外に出たくはありませんね」
アク「ここを出てからの食事を考えると帰りたくありませんね」
ハ「ありがとうございます」
アク「生魚のソースはドレッシングですか?」
ハ「似たようなものです」
デザートになると、
ア「今日は何のソースなの?」
菓子担当「本日は三種類のベリーソースでございます。ブルーベリー、カシス、野苺で完熟させておりますので酸味は抑えてあります。一口目はチーズケーキだけをお召し上がりください」
ア「ありがとう、マヌエル」
アク「美味い、味が濃厚で風味もいいです」
レ「滑らかで美味しい。ソースも良い」
ハ「やはり牛もストレスを減らしてあげて、美味い餌を与えると味に反映します。
そのミルクで作るチーズもとても美味しくなります」
レ「私は王族に生まれたくなかった。
サルト家のような温かな家庭に生まれ育ちたかった。人として生まれたのに何故こんなに違うのか」
ハ「私は昔、病にかかり、ほとんど目が見えなくなり、当時の妻に捨てられた男です。
アネットも申し分のない家に生まれ美しい容姿に恵まれましたが、その容姿から狙われることが多く、子供の頃から自由が無く、面識がなくても何もしなくても夫人や令嬢が嫌がらせをして、令息達が言い寄ってきたそうです。
時には命を狙われて、最後は大怪我を負わされて王都を出ました。
双子も順風満帆ではありません。
ミーシェはアネット似の美しさで自由はありません。愛する人を亡くし心を閉ざしたこともあります。
ライアンはいつもミーシェやサルト家のために生きていて、ライアン自身の幸せを求め欲しいと願っています。
多くの人間は何かしら抱えているのではないでしょうか。
レオン王太子殿下がどのような憂いがあるのかは存じ上げませんが、これから帝位に就く殿下は未来をご自身で作り上げることができるのではありませんか?
お父上の影響次第かもしれませんが。
私は目が不自由になったことで色々なことがあり、人の嘘や悪意に敏感に感じ取れる様になりました。貴方からは嫌な感じがない。
気遣いや優しさも感じられます。
きっと良き帝王になられることでしょう」
レ「励みになります。ありがとう」
ミ「確かにいい人ですよね」
シ「そうなの?」
ミ「私もちょっと助けて貰ったの」
シ「サルト領へようこそ」
レ「ありがとう、シーナ嬢」
アク「受け入れてもらえて嬉しいよ」
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