【完結】ずっと好きだった

ユユ

文字の大きさ
135 / 173

結局バレる

しおりを挟む
「それで?
エヴァンはそのまま受け入れたと?」

「可愛いミーシェだよ?拒絶なんてしたら天罰が降るだろ」

「はぁ」

「母上もため息ついていた」

「嬉しそうに言うな」

朝方、寮に連絡が入り、ライアンが事情を聞くために王宮へ寄ったが出てきたのはエヴァンだけだった。

学園へ向かう馬車の中でライアンに詰められたエヴァンだが、いつもとは違ってニヤニヤしている。

結局ミーシェは階段が危なっかしいので学園を休むことになった。

「ちゃんと寝てるかな心配だ」

「責任とれよ」

「いいのか!?」

「ミーシェも何考えてるんだか」

「寂しかったんだって言ってた」

「女は謎なのか、ミーシェが謎なのか」

「身体を重ねると違うものだな。
騎士達が言っていた。身体の関係が有るか無いかで違うって。何だか今後喧嘩しても閨で仲直りできそうだ、イテッ!」

ライアンの手刀がエヴァンの頭に落ちた。

「夫婦になったらにしろ、そんな話は」

「ミーちゃんって呼ぼうかな」

「手刀じゃ効かないか?」

「少しくらい浮かれても良いだろう。
王太子殿下達とサックス家とサルト領に一緒に行かれて、どれだけ苛立ったか」

「引き留めに来なかったし、帰ってきたミーシェに感情をぶつけたりしなかったのは偉かった」

「やっぱり私にはライアンが必要なんだ。
私はライアンも愛してるんだ」

「……具体的に」

「兄弟愛だ」

「ならいい」





一方ミーシェは。

「まったく」

「えへっ」

「で、どっち目的で泊まりに来てるの?」

「だって、男の人はすぐ溜まって出したくなるから、手っ取り早くメイドや言い寄ってくる令嬢に手を付けたり娼館に行ったりするって。特に若いと我慢できないって。

あと腕が鈍るのが嫌です」

「だとしたらとっくにお手付きしてるわよ」

「急に操り人形のように下半身の言いなりになるって」

「誰がそんなことを言ったの」

「観光客です」

「サルト領に来た観光客?
もう、馬鹿なことを聞いたわね」

「間違いですか?」

「人によるかしら。
女性だってそういう人はいるのよ?
女性も性欲があるのだから」

「残ってた閨の授業、受けてみます」

「まだ恋人という間柄なのに骨抜きにするつもりなの?充分でしょう」

「恋人ですか。
こういうことも言っていました。
マンネリという言葉があって浮気するらしいです」

「夫婦でも婚約者でもないのだから恋人でしょう。まあ、貴女達は普通の恋人達と同じ様にデートしたり出来ないけど。

貴女達はマンネリという言葉を使うのは早過ぎるわ。まだ始まったばかりじゃないの。
しかしエヴァンは相当信用がないのね」

「男の人は誠実だと思っても油断しちゃダメだって。
“愛してる”を挨拶みたいに複数人に言える人もいるって」

「もう。変なこと聞いてきて」

「まだまだありますよ。
男性不信になりそうです」

言葉だけだとちょっとしたお説教の時間だと思うが、ミーシェはステファニー王女に膝枕され、頭を撫でながら会話をしている。

ステファニーはアネットにそっくりのミーシェにも弱かった。
だから息子よりミーシェの味方なのだ。
勿論シーナよりミーシェ。

「ミーシェ、子供を産むときはエヴァン似ではなくアネットやミーシェに似た子を産むのよ?性別はどっちでもいいから」

「それは神の領域では」

「やれることはやるの。今日から毎日祈りなさい。私も祈るから」

「え~」

「もうテオドールも王宮こっちに住まわせようかしら。そうしたら貴女はここに居られるし実績も作れるわ」

「さすがにそれは……」


「王女殿下、デザイナーが到着しました」

「今行くわ。

ミーシェ、起きて。行くわよ」

「 ? 」

「頻繁にお泊りするのだから買い揃えないと。いつも隠密服では駄目よ」




採寸などを済ませて楽なワンピースドレスを数着、下着やナイトドレスなども多数選んだ。

その後は鍛錬に出ていった。




その間にステファニーは。

「「………」」

「分かりますわ、お父様、シオン。
あんなに揉めたと思っていたのに直ぐに身体を重ねてるなんて。呆れるのはわかります。

ですが破談にならなそうでホッとしましたわ」

「一番怒っていたのはステファニーであろう」

「ミーシェを虐めたからですわ。
ミーシェが嫌ならエヴァンを離そうとしただけです。

当然ミーシェに家族になってもらいたいから上手くいくならいって欲しいですわ」

「分かった。また内定をだすのか?」

「公認の恋人で宜しいかと。
それとミーシェが泊まる時は夫婦の間を使わせようかと思っております」

「夫婦の間?」

「ミーシェが夜に外からエヴァンの部屋に忍び込んでいるのですよ?
危険ですわ。だからといって薄着で廊下を歩かせるよりは、あの辺りの人員を固定して秘密にするのです」

「ミーシェ嬢は積極的だなぁ」

「それがね、シオン。どうも浮気者の男の話や男の欲の話を小耳に挟んだようなの」

「つまりエヴァンの浮気防止で夜這いをかけているのか?」

「そうみたい。可愛いでしょう?」

「エヴァンは知っているのか?」

「ミーシェの気まぐれだと思っているわ」

「まったく困った孫達だ。

はぁ。純粋なシーちゃんに会いたい」

「「………」」












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは、聖女。 ――それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王によって侯爵領を奪われ、没落した姉妹。 誰からも愛される姉は聖女となり、私は“支援しかできない白魔導士”のまま。 王命により結成された勇者パーティ。 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い。 そして――“おまけ”の私。 前線に立つことも、敵を倒すこともできない。 けれど、戦場では支援が止まれば人が死ぬ。 魔王討伐の旅路の中で知る、 百年前の英雄譚に隠された真実。 勇者と騎士、弓使い、そして姉妹に絡みつく過去。 突きつけられる現実と、過酷な選択。 輝く姉と英雄たちのすぐ隣で、 「支えるだけ」が役割と思っていた少女は、何を選ぶのか。 これは、聖女の妹として生きてきた“おまけ”の白魔導士が、 やがて世界を支える“要”になるまでの物語。 ――どうやら、私がいないと世界が詰むようです。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー編 32話  第二章:討伐軍編 32話  第三章:魔王決戦編 36話 ※「カクヨム」、「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...