【完結】ずっと好きだった

ユユ

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帝国 王太子レオン(色狂いの帝王)

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【 帝国王太子レオンの視点 】


帰国した翌日、帝王父上に報告をした。

ガブリエルの亡骸は不要と返答したらしい。
父上この人らしい。

「レオン、双子を連れて来い」

は?

「返事はどうした」

「双子ですか」

「惚けるな。双子を移住させろ」

「何故でしょう」

「兄の方は軍へ。妹の方は側妃にする」

「側妃?誰のですか」

「余の側妃に決まっているだろう。
聞いたぞ。信じられないほど美しい母親に似ているとか。昔、母親の噂を聞いたことがあったが真偽が分からず表にもでないから噂止まりだと思っていた。

あの国の王族や親戚が隠していたようだな。
娘の方はまだ婚姻していないから娶れるし、歳頃だからすぐに可愛がってやれる」

「娘も王族の庇護があります」

「従属国だぞ?
よこさねば攻め入るのみ。
その時は其方が指揮を取れ」

「父上は数ヶ月で退位なさるではありませんか!」

「だからだ。だから欲しいのだ、レオン」

「承服しかねます!」

「お前がやらなければ他の者に行かせるまで。その時は王太子の交代だ」

「分かりました。求婚状と贈答品リストをご用意願います」

「元は男爵家だろう」

「今は侯爵家。男爵家だったとしてもとても裕福な家門です。貧相な物を用意すればその程度かと帝国が恥をかきます」

「どれほどだ」

「さあ。夫人の普段使いの指輪は国宝級でしたが」

「は?」

「では、失礼します」






宮に向かって廊下を歩いているとアクエリオンに出会した。

「兄上、」

「時間を置け」

「かしこまりました」


ただならぬ雰囲気に通りかかる者全てが脇に寄り頭を下げる。

王太子宮の敷地の前ですれ違った側妃も驚いていた。

「父上、」

「ユゲット、ボドワンを退がらせろ」

「失礼しました。
ボドワン、お父様はお忙しいのです。
部屋に戻りなさい」

今日は側妃ユゲットとの間にできた王子ボドワンの誕生日だった。

帝国では生まれる王族が多い為、一々国で祝うことはない。せいぜい父親が宮内で祝うかどうかだ。
特に正妃の子でないと贈り物を与えるだけが一般的になっていた。

ただレオンの場合は毎年時間を取り祝いの食事をしていた。
そのレオンが声を掛けることもなく、誕生日の息子を退がらせた。
そして殺気立った夫の癪に触ることを恐れ、側妃は息子と部屋へ戻った。


レオンは自身の宮庭に出ると護衛以外一時間近寄るなと命じてガゼボの椅子に座った。

作られすぎた庭で面白みがない。それにこんなに心地が悪い椅子だったか?
ガゼボ全体が豪華な作りをしているだけのつまらないものに感じた。

「ブリアック、アクエリオン、ヤニックを呼んで茶を出し人払いをしてくれ。
護衛も距離を置かせてくれ」

「かしこまりました」


しばらくすると弟達が揃い騎士もメイドも遠くに下がった。


レ「少し前に父上からある国の女とその兄を移住させろと命じられた。兄は軍へ、妹は父上の側妃にしたいそうだ。

退位の迫った父上に側妃の必要性を尋ねたら、だからこそ欲しいらしい」

ア「暇になるから女で遊ぶと?」

レ「そうだ。

その相手が難しい相手だ。
父上は従属国なのだから従わせろと。
逆らうのなら攻め入れといった」

ブ「戦争をしろと? 余生に女を抱く為だけに?」

レ「そうだ」

帝王には現在、閨の相手をする側妃2人、愛人が4人いる。
正妃とは閨は既に無く、これまでの側妃も子を産み終えて帝王が飽きれば慰労金を出して離縁した。
愛人も飽きれば入れ替えていた。

今残っている側妃はとっくに子を産み終えているが残された女達だった。


レ「まだ学園に通っていて、王子が婚姻したがっている令嬢だ」

ア「まさか、その兄妹は、」

レ「サルト兄妹だ」

ア「馬鹿なことを」

ヤ「話が見えないのですが」


アクエリオンが双子について、王族との関わりについて説明した。

ア「帝国の恥晒しだ。

従属国とはいえ、他国の王族の婚約者と言っていい者を抱きたいからと戦争を起こせというのだから。

まだ若い帝王なら分かる。世継ぎのためだからな。
たが父上は退位間近。色狂いと周辺諸国から軽蔑される。ただでさえ法を変えて合法にしてまで飽きた女達を入れ替えてきた。
とても承服できない」

ブ「戦争になるとどうなりますか」

レ「勝てるか分からない」

ブ「帝国うちがですか!?」

ア「私も王太子殿下もメディも双子に勝てなかった、双子の圧勝でした」

ブ「双子って……まさか令嬢にも兄上、失礼しました、王太子殿下やメディが敵わなかったと?」

レ「もうガブリエルがいないから好きに呼べばいい。

完敗だ。
まあ、ハンデはあるがな」

ブ「どんなハンデですか?」

ア「令嬢が怪我の後遺症で片腕が少し不自由なのです。加重に耐えられないので力を加減してあくまで技で勝負するのです」

ブ「我々には難しいハンデですね。
ですが実戦では負けないのでは?
加減をしなくていい分自由に攻められますし、受け切れないのなら何の問題もありません」

レ「攻撃をさせてもらえたらの話だ。
とにかく早い。
もし攻撃させてもらえても避けられたら死ぬ」

ブ「令嬢ですよね?」

レ「剣筋が特殊なんだ。

これ以上双子の情報を出す前に、お前達に意志の確認をしたい。

もし、私が王太子の座を降りると言ったら次の王太子に就きたい者はいるか?

条件は双子を手に入れること。場合によっては戦争をしてでもということになる。
指揮をとり全責任を負う。

しかも理由が理由だ。
勝てて、王太子になれて、帝王になったとしても後ろ指を刺されて二代に渡る愚王として歴史に刻まれるだろう。

希望者がいるなら譲りたい。誰かいるか?」

ア「私は兄上だから仕えようと思うのです」

ヤ「私もその気はありません。今の役目にやり甲斐があります」

ブ「……兄上は……始末なさるおつもりですね」

レ「ブリアック、王太子になるか?

先ずは求婚をしなければならない。書簡や贈答品リストを作らせて時間を稼いでいる。
仕上がればすぐに発だねばならない。
今日なのか、明日なのか、一週間後なのか。
今日なら今日、決断を迫られる。

生きて帰れるか分からないから出陣前には兄弟で集まろう」

ブ「兄上、止めてください。
そんなつもりはありません」

レ「いや、遠慮しなくていい。
私にとっては生き恥、死に恥晒しの行為だ。
もうこれ以上は耐えられない。

やりたい者がやればいい。
お前が戦えなくなったらアクエリオンやヤニックに話が行くだろう。

皆辞退すれば王命になるだろうな。その時は私に話が来る。いっそのこと双子に息の根をとめてもらうさ」

ブ「兄上、根源を絶ちましょう」



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