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タダ働きは嫌です
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ゴトゴトゴトゴト…
はぁ~
「お名前とご用件を、…失礼しました。お通りください」
ゴトゴトゴトゴト…
ふぅ~
「帰りはお送りしますので屋敷へお戻りください」
「お嬢様」
御者がどうしたらいいのか困惑していた。
「仰る通りにしてちょうだい。ヨーゼ、気を付けて帰ってね」
「かしこまりました」
王城まで私を乗せて来た馬車が帰って行く。
「ネルハデス伯爵令嬢、ご案内いたします」
着いて行くとんでもない場所に着いた。
「隊長、お連れしました」
「入ってくれ」
なかなか豪華な部屋だけど私物が少なくて飾り気もあまりないし書類や書籍だらけ。
「リヴィア嬢、遅かったな。迎えをやろうと思っていたところだ」
「隊長が時間の指定をなさらなかったからですわ」
「そうか。君は令嬢だったな。アレがどんな効果があるのか知っていても受け取るのは初めてだったか」
「つまり?」
「ここに時間が書いてある」
「こんな、柄に潜ませるなんて」
今日の日付けで9時にと絵柄の中に隠し文字があった。
「年寄りには酷なやり方ですわね」
「何故」
「年寄りは細かな文字は見え難くなるものです」
「そうか。次からは考慮しよう。
まあ、座ってくれ」
「何処にでしょう」
「あそこに隙間がある。君なら座れるだろう?」
よく見ると、書類が積まれたソファに少しだけ座れるスペースがあった。
「整理整頓はなさらないのですか」
「触らせられないんだよ。機密案件ばかりでね」
「ご自身がなさればよろしいではありませんか。
それに、私が見てしまえるではないですか。
他の部屋でお話しをするのはいかがですか?」
「そうなのだが、防音が施されている部屋は王族が使う一部の部屋か、ある拷問部屋か、この部屋しかないのでね。聞かれたくないだろう」
「何を?」
「リヴィア・ネルハデスの秘密をだよ」
「好きな食べ物は新鮮な魚料理、嫌いな食べ物は気持ち悪いもの。子供の頃に、」
「ストップ。それも興味深いが、聞きたい秘密は別にあるのは分かっているよな」
「不公平だから嫌です」
「不公平?」
「何故私が隊長に秘密を話さねばならないのですか。特務部だからといって何でもありではありませんよね」
「“特務部”」
「っ!」
どうしよう。うっかり口を滑らせてしまったわ。
「どうしたら話してくれるのかな」
「私のことなど忘れてください」
「それは答えじゃないな」
そんな目で見たって駄目よ。
「……お名前を教えてください」
「もう求婚か。早いな」
「!!」
「伯爵に挨拶に行かねばな」
「違います!そもそも既婚者だと仰ったではありませんか」
「王子妃でもないのだから、求婚だろう。それに私は1人しか娶れないわけではないから合法だ」
「現在どちらでもない私は何も話すことは無いということです」
「特務部を知っているのに?」
「私が誰かから聞いた証拠が無ければ私の妄想が偶然当たっただけのことだと思います」
「頭の回転が速いのか、君が持ち得ないはずの知識がそうさせるのか、勘の鋭さと運か分からないが、君は明らかに嘘をついている。
顔や声がサインを出しているんだ、嘘をついていますって。きっと根が素直なのだろう」
「気のせいですわ」
「私がここの隊長をしているのはコネでも運でもない。実力だ。誤魔化せないぞ」
「拷問でもして聞き出すつもりですか」
「そうしてもいいが、難しいな」
拷問なら慣れているわ。
貴方のやり方とは違うでしょうけどね。
「……リヴィア嬢、悪かった。
本気で言ったわけじゃない。許して欲しい」
え?
「はい」
「話は変わるが、君が見抜いた7人は会話で感じるのか?見て分かるのか?」
「見て分かります。表情に現れるのです」
「私はどうかな」
「大丈夫です」
「陛下や団長は?」
「大丈夫でした」
「これから変装して特務部の皆に菓子を配ってくれないか」
「就学前の子供ですよ?」
「菓子店の子が配りに来ると言ってある」
「決まりなんじゃないですか」
「大丈夫じゃない者を教えて欲しい」
「私に対してですよ?」
「かまわない」
「報酬は何でしょう」
「有料か」
「当然ですわ。これが目的だったんですね。
身支度、移動なども含めると既に3時間以上費やしていますから」
「何が欲しいのかな」
「きっと私が欲しいものをくださいませんわ」
「聞いてもいいかな?」
「貴方の持っているカードです」
「カードとは?」
「銀色のカードに赤い石が3つ嵌め込まれた特別なカードです」
「君が持っていても捕まるだけだ」
「私の名前になっていたら別ですわ」
「第二希望は?」
「放っておいてください」
「つまり?」
「詮索しないでと言っているのです」
「いいだろう」
「本当に?」
「詮索しない」
「分かりましたわ」
はぁ~
「お名前とご用件を、…失礼しました。お通りください」
ゴトゴトゴトゴト…
ふぅ~
「帰りはお送りしますので屋敷へお戻りください」
「お嬢様」
御者がどうしたらいいのか困惑していた。
「仰る通りにしてちょうだい。ヨーゼ、気を付けて帰ってね」
「かしこまりました」
王城まで私を乗せて来た馬車が帰って行く。
「ネルハデス伯爵令嬢、ご案内いたします」
着いて行くとんでもない場所に着いた。
「隊長、お連れしました」
「入ってくれ」
なかなか豪華な部屋だけど私物が少なくて飾り気もあまりないし書類や書籍だらけ。
「リヴィア嬢、遅かったな。迎えをやろうと思っていたところだ」
「隊長が時間の指定をなさらなかったからですわ」
「そうか。君は令嬢だったな。アレがどんな効果があるのか知っていても受け取るのは初めてだったか」
「つまり?」
「ここに時間が書いてある」
「こんな、柄に潜ませるなんて」
今日の日付けで9時にと絵柄の中に隠し文字があった。
「年寄りには酷なやり方ですわね」
「何故」
「年寄りは細かな文字は見え難くなるものです」
「そうか。次からは考慮しよう。
まあ、座ってくれ」
「何処にでしょう」
「あそこに隙間がある。君なら座れるだろう?」
よく見ると、書類が積まれたソファに少しだけ座れるスペースがあった。
「整理整頓はなさらないのですか」
「触らせられないんだよ。機密案件ばかりでね」
「ご自身がなさればよろしいではありませんか。
それに、私が見てしまえるではないですか。
他の部屋でお話しをするのはいかがですか?」
「そうなのだが、防音が施されている部屋は王族が使う一部の部屋か、ある拷問部屋か、この部屋しかないのでね。聞かれたくないだろう」
「何を?」
「リヴィア・ネルハデスの秘密をだよ」
「好きな食べ物は新鮮な魚料理、嫌いな食べ物は気持ち悪いもの。子供の頃に、」
「ストップ。それも興味深いが、聞きたい秘密は別にあるのは分かっているよな」
「不公平だから嫌です」
「不公平?」
「何故私が隊長に秘密を話さねばならないのですか。特務部だからといって何でもありではありませんよね」
「“特務部”」
「っ!」
どうしよう。うっかり口を滑らせてしまったわ。
「どうしたら話してくれるのかな」
「私のことなど忘れてください」
「それは答えじゃないな」
そんな目で見たって駄目よ。
「……お名前を教えてください」
「もう求婚か。早いな」
「!!」
「伯爵に挨拶に行かねばな」
「違います!そもそも既婚者だと仰ったではありませんか」
「王子妃でもないのだから、求婚だろう。それに私は1人しか娶れないわけではないから合法だ」
「現在どちらでもない私は何も話すことは無いということです」
「特務部を知っているのに?」
「私が誰かから聞いた証拠が無ければ私の妄想が偶然当たっただけのことだと思います」
「頭の回転が速いのか、君が持ち得ないはずの知識がそうさせるのか、勘の鋭さと運か分からないが、君は明らかに嘘をついている。
顔や声がサインを出しているんだ、嘘をついていますって。きっと根が素直なのだろう」
「気のせいですわ」
「私がここの隊長をしているのはコネでも運でもない。実力だ。誤魔化せないぞ」
「拷問でもして聞き出すつもりですか」
「そうしてもいいが、難しいな」
拷問なら慣れているわ。
貴方のやり方とは違うでしょうけどね。
「……リヴィア嬢、悪かった。
本気で言ったわけじゃない。許して欲しい」
え?
「はい」
「話は変わるが、君が見抜いた7人は会話で感じるのか?見て分かるのか?」
「見て分かります。表情に現れるのです」
「私はどうかな」
「大丈夫です」
「陛下や団長は?」
「大丈夫でした」
「これから変装して特務部の皆に菓子を配ってくれないか」
「就学前の子供ですよ?」
「菓子店の子が配りに来ると言ってある」
「決まりなんじゃないですか」
「大丈夫じゃない者を教えて欲しい」
「私に対してですよ?」
「かまわない」
「報酬は何でしょう」
「有料か」
「当然ですわ。これが目的だったんですね。
身支度、移動なども含めると既に3時間以上費やしていますから」
「何が欲しいのかな」
「きっと私が欲しいものをくださいませんわ」
「聞いてもいいかな?」
「貴方の持っているカードです」
「カードとは?」
「銀色のカードに赤い石が3つ嵌め込まれた特別なカードです」
「君が持っていても捕まるだけだ」
「私の名前になっていたら別ですわ」
「第二希望は?」
「放っておいてください」
「つまり?」
「詮索しないでと言っているのです」
「いいだろう」
「本当に?」
「詮索しない」
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