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憂い
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10時から王太子殿下と一緒に場内観光を始めた。内部だけでジェルメーヌ王女は疲れてしまい、外はティータイムを兼ねて案内することになった。
隅々までではないのだけど、ドレスにヒールでは辛かったと思う。
王子達の昼食が済んで、私の休憩になった。私も昼食をとったあと一旦自分の部屋に戻り ある物を持って戻った。
「ジェルメーヌ王女殿下、少しよろしいでしょうか」
「いいわよ」
「私と王女殿下は身長も同じですし、もしかしたらサイズが合うかと思いまして。
宜しければ使ってみてください。予備に購入していた物で未使用です」
王女は箱を開けると顔を綻ばせた。
「いいの!?」
「女性は何かと辛いことがございます。その内の一つが靴です。最早拷問です。せめて室内では大切なおみ足をおいたわりください」
「見て、お兄様!こんな素敵な贈り物は初めてよ!」
「ルームシューズか。こちらの国ではこんなに凝ったデザインなのか?」
「特注です。
ルームシューズに履き替えたいということは疲れている証拠。ですから、履いて少しでも癒されるように刺繍やリボンをつけてもらいました。ここまで装飾すれば高貴な方々が履かれても自室で堂々としていられますから」
「他にも誰かに?」
「はい。婚姻後のコーネリア王太子妃殿下に贈りました」
「仲が良いのだな」
「友人と名乗ることを許していただいております」
「いろいろな物をいただく機会はあるけど、純粋に私のことを心配して私の立場に立った贈り物をくれるなんてことは記憶にないわ。すごく嬉しい。王太子妃殿下は幸せ者ね」
「コーネリア王太子妃殿下は聡明なお方です。お側で職務を果たしながら 友情を深めることをお許しいただいている私の方が幸せをいただいております」
「そ、そうなのね」
「では、2時半にお迎えに上がります。それまではごゆっくりどうぞ」
客室を出て、ガゼボの様子を見に行った。
おもてなしの準備は着々と進んでいる。
「こちら側に天蓋を付けてもらえる?」
古い天蓋を外してきてもらって、ガゼボの半分ほどに付けてもらった。今日は日差しがあるから少しは日除けになるだろう。ついでに ジェルメーヌ王女達が座れば二つの雰囲気を楽しめる。そのままの景色とベール越しの景色で感じ方も違うはず。
「付けた側に物を置いたり火を使ったりしないでね。あと、外れて殿下方の上に落ちては大変だから気を付けてね」
「かしこまりました」
菓子専門の厨房に行き、菓子の確認をしてコーネリア様の部屋に向かった。
コーネリア様の手招きのまま、隣に座った。
「ジェルメーヌ王女殿下は問題無しなのよね」
「今のところはそうですね」
「では、彼女が卒業するまでに王子を産まなければジェルメーヌ王女殿下に仕える身になるのね」
「かもしれませんが、まだ分かりませんわ」
王女が望まないかもしれないし、在学中に恋に落ちるかもしれない。だけどシュヴァールの国王に命じられているかもしれない。
迂闊な言葉をコーネリア様にかけることはできない。
「私が殿下から寵愛を受けていたら違ったかしら」
「……」
「ごめんなさい、余計なことを口にしたわ。
兄様達も上手くいっていないみたいでナーバスになってしまって」
「そうなのですか」
「ハンナが悩みの手紙を送ってくるのだけど、王太子妃になったからって私にはどうしようもできないわ。兄様に“仲良くしなさい”とか“優しくしてあげなさい”とか“デートにでも誘いなさい”と命じるわけにはいかないし、きいてくださる兄様じゃないもの。
そもそも、恋愛婚じゃないのだからハンナが期待し過ぎなのよ。侯爵家では教えなかったのかしら」
「……」
「ふふっ 意外って顔をしているわね。
元々兄様は婚約者も婚約者候補も冷たくあしらって何人も辞退させた人よ。特別だったのはリヴィアだけよ。
兄様も相変わらず同じ手紙しか送って来ないし」
「……」
「そういえば今夜、」
コーネリア様が何か言いかけたが迎えが来てしまった。
コンコンコンコン
「王太子妃殿下、ネルハデス卿、お時間です」
「分かったわ。行きましょう」
「はい」
騎士団の訓練場の後に庭園を案内し、準備をしていたガゼボに到着した。
コ「今日はこちらでお茶をいかがでしょう」
ジ「素敵ですわ!」
私「ジェルメーヌ王女殿下、コーネリア王太子妃殿下はこちら側へどうぞ」
2人は座ると装飾を見渡した。
コ「これは?」
メ「ネルハデス卿からのご指示で、天蓋を利用いたしました」
メイドが答えると、皆が私を見た。
私「本日は日差しが強いですから。ですが風は爽やかですので、ベールを使えば多少日差しは和らぎます。一部にしか付けておりませんので、直接の景色もベール越しの景色も楽しめます」
ジ「ネルハデス卿は本当に私達のことを考えてくれるのね。感激だわ」
ア「カーテンのように自由に開閉が出来れば個室気分にもなるし、雰囲気もいい」
ジ「お菓子も一口サイズだわ」
メ「ネルハデス卿のご指示で、王女殿下が一口でお召し上がりいただけるサイズでお作りするかカットいたしました」
ア「このクッキー、変わった形だな」
私「アルベリク王子殿下とジェルメーヌ王女殿下のお好みを存じ上げませんでしたのでお好きなものをこの場で乗せようと思います。
お出ししてちょうだい」
メイドが小さな器に入ったトッピングを持ってきた。
私「イチゴジャム、ブルーベリージャム、すももジャム、ブラックチェリージャム、チーズクリーム、チョコレートクリーム、コーヒークリームをご用意しました。お好きなものを乗せてお召し上がりください。
フルーツのジャムは果肉をあまり潰さないようにしました。大きすぎないようにはしておりますが、普通のジャムよりは溢れやすくなっております」
ジ「分かったわ。気を付けて食べるわね」
それぞれが好きなものを乗せて口に運んだ。
ア「これ、シュヴァールでもやりたいな」
私「レシピをご用意いたします」
ア「ありがとう、リヴィア」
ジ「どうしよう。止まらないわ」
ア「ほどほどにしないと晩餐会で困るぞ。今夜は一部の貴族も出席するからな」
ジ「だって」
コ「明日のティータイムにも、別のお菓子と一緒にお出ししますわ」
ジ「ありがとうございます。
これもネルハデス卿が?素敵な発想だわ」
私「単に私が飽きっぽくて考えた方法です。その時の気分でトッピングを選べますし、余ってもパンに付けて食べればいいだけです。ジャムによっては細かく潰してソースに化けますし、お茶に入れてもいいのです」
ジ「私もリヴィアって呼んだら駄目?」
私「光栄です、ジェルメーヌ王女殿下」
メイドが目線で合図を送った。
私「アルベリク王子殿下、護衛騎士の皆様にも果実水をお配りしてもよろしいでしょうか」
ア「構わないが…」
私「ご安心いただけるよう私が先に飲んで毒味をします」
水差しに入った冷たい果実水をグラスに注いで飲んだ。
そして、騎士の皆様の分をグラスに注いでメイドに配らせた。
私「クレマン卿、確認していただきたいものがありますのでこちらへ来ていただけますか」
ア「行ってこい」
近くの木にクレマン卿を隠した。
「どうぞ、ヘルメットをとって飲んでください」
クレマン卿は悩んだ末、脱いでグラスを受け取り果実水を半分飲んだ。汗をたくさんかいていた。
「これ、オレンジの飴です」
彼の口の中に入れた。
「噛まないで舐めてください。果実水で飲み込んでも駄目ですよ」
「……すまないな」
残りの果実水を飲むとヘルメットを被りなおした。
「戻ろう」
「はい」
隅々までではないのだけど、ドレスにヒールでは辛かったと思う。
王子達の昼食が済んで、私の休憩になった。私も昼食をとったあと一旦自分の部屋に戻り ある物を持って戻った。
「ジェルメーヌ王女殿下、少しよろしいでしょうか」
「いいわよ」
「私と王女殿下は身長も同じですし、もしかしたらサイズが合うかと思いまして。
宜しければ使ってみてください。予備に購入していた物で未使用です」
王女は箱を開けると顔を綻ばせた。
「いいの!?」
「女性は何かと辛いことがございます。その内の一つが靴です。最早拷問です。せめて室内では大切なおみ足をおいたわりください」
「見て、お兄様!こんな素敵な贈り物は初めてよ!」
「ルームシューズか。こちらの国ではこんなに凝ったデザインなのか?」
「特注です。
ルームシューズに履き替えたいということは疲れている証拠。ですから、履いて少しでも癒されるように刺繍やリボンをつけてもらいました。ここまで装飾すれば高貴な方々が履かれても自室で堂々としていられますから」
「他にも誰かに?」
「はい。婚姻後のコーネリア王太子妃殿下に贈りました」
「仲が良いのだな」
「友人と名乗ることを許していただいております」
「いろいろな物をいただく機会はあるけど、純粋に私のことを心配して私の立場に立った贈り物をくれるなんてことは記憶にないわ。すごく嬉しい。王太子妃殿下は幸せ者ね」
「コーネリア王太子妃殿下は聡明なお方です。お側で職務を果たしながら 友情を深めることをお許しいただいている私の方が幸せをいただいております」
「そ、そうなのね」
「では、2時半にお迎えに上がります。それまではごゆっくりどうぞ」
客室を出て、ガゼボの様子を見に行った。
おもてなしの準備は着々と進んでいる。
「こちら側に天蓋を付けてもらえる?」
古い天蓋を外してきてもらって、ガゼボの半分ほどに付けてもらった。今日は日差しがあるから少しは日除けになるだろう。ついでに ジェルメーヌ王女達が座れば二つの雰囲気を楽しめる。そのままの景色とベール越しの景色で感じ方も違うはず。
「付けた側に物を置いたり火を使ったりしないでね。あと、外れて殿下方の上に落ちては大変だから気を付けてね」
「かしこまりました」
菓子専門の厨房に行き、菓子の確認をしてコーネリア様の部屋に向かった。
コーネリア様の手招きのまま、隣に座った。
「ジェルメーヌ王女殿下は問題無しなのよね」
「今のところはそうですね」
「では、彼女が卒業するまでに王子を産まなければジェルメーヌ王女殿下に仕える身になるのね」
「かもしれませんが、まだ分かりませんわ」
王女が望まないかもしれないし、在学中に恋に落ちるかもしれない。だけどシュヴァールの国王に命じられているかもしれない。
迂闊な言葉をコーネリア様にかけることはできない。
「私が殿下から寵愛を受けていたら違ったかしら」
「……」
「ごめんなさい、余計なことを口にしたわ。
兄様達も上手くいっていないみたいでナーバスになってしまって」
「そうなのですか」
「ハンナが悩みの手紙を送ってくるのだけど、王太子妃になったからって私にはどうしようもできないわ。兄様に“仲良くしなさい”とか“優しくしてあげなさい”とか“デートにでも誘いなさい”と命じるわけにはいかないし、きいてくださる兄様じゃないもの。
そもそも、恋愛婚じゃないのだからハンナが期待し過ぎなのよ。侯爵家では教えなかったのかしら」
「……」
「ふふっ 意外って顔をしているわね。
元々兄様は婚約者も婚約者候補も冷たくあしらって何人も辞退させた人よ。特別だったのはリヴィアだけよ。
兄様も相変わらず同じ手紙しか送って来ないし」
「……」
「そういえば今夜、」
コーネリア様が何か言いかけたが迎えが来てしまった。
コンコンコンコン
「王太子妃殿下、ネルハデス卿、お時間です」
「分かったわ。行きましょう」
「はい」
騎士団の訓練場の後に庭園を案内し、準備をしていたガゼボに到着した。
コ「今日はこちらでお茶をいかがでしょう」
ジ「素敵ですわ!」
私「ジェルメーヌ王女殿下、コーネリア王太子妃殿下はこちら側へどうぞ」
2人は座ると装飾を見渡した。
コ「これは?」
メ「ネルハデス卿からのご指示で、天蓋を利用いたしました」
メイドが答えると、皆が私を見た。
私「本日は日差しが強いですから。ですが風は爽やかですので、ベールを使えば多少日差しは和らぎます。一部にしか付けておりませんので、直接の景色もベール越しの景色も楽しめます」
ジ「ネルハデス卿は本当に私達のことを考えてくれるのね。感激だわ」
ア「カーテンのように自由に開閉が出来れば個室気分にもなるし、雰囲気もいい」
ジ「お菓子も一口サイズだわ」
メ「ネルハデス卿のご指示で、王女殿下が一口でお召し上がりいただけるサイズでお作りするかカットいたしました」
ア「このクッキー、変わった形だな」
私「アルベリク王子殿下とジェルメーヌ王女殿下のお好みを存じ上げませんでしたのでお好きなものをこの場で乗せようと思います。
お出ししてちょうだい」
メイドが小さな器に入ったトッピングを持ってきた。
私「イチゴジャム、ブルーベリージャム、すももジャム、ブラックチェリージャム、チーズクリーム、チョコレートクリーム、コーヒークリームをご用意しました。お好きなものを乗せてお召し上がりください。
フルーツのジャムは果肉をあまり潰さないようにしました。大きすぎないようにはしておりますが、普通のジャムよりは溢れやすくなっております」
ジ「分かったわ。気を付けて食べるわね」
それぞれが好きなものを乗せて口に運んだ。
ア「これ、シュヴァールでもやりたいな」
私「レシピをご用意いたします」
ア「ありがとう、リヴィア」
ジ「どうしよう。止まらないわ」
ア「ほどほどにしないと晩餐会で困るぞ。今夜は一部の貴族も出席するからな」
ジ「だって」
コ「明日のティータイムにも、別のお菓子と一緒にお出ししますわ」
ジ「ありがとうございます。
これもネルハデス卿が?素敵な発想だわ」
私「単に私が飽きっぽくて考えた方法です。その時の気分でトッピングを選べますし、余ってもパンに付けて食べればいいだけです。ジャムによっては細かく潰してソースに化けますし、お茶に入れてもいいのです」
ジ「私もリヴィアって呼んだら駄目?」
私「光栄です、ジェルメーヌ王女殿下」
メイドが目線で合図を送った。
私「アルベリク王子殿下、護衛騎士の皆様にも果実水をお配りしてもよろしいでしょうか」
ア「構わないが…」
私「ご安心いただけるよう私が先に飲んで毒味をします」
水差しに入った冷たい果実水をグラスに注いで飲んだ。
そして、騎士の皆様の分をグラスに注いでメイドに配らせた。
私「クレマン卿、確認していただきたいものがありますのでこちらへ来ていただけますか」
ア「行ってこい」
近くの木にクレマン卿を隠した。
「どうぞ、ヘルメットをとって飲んでください」
クレマン卿は悩んだ末、脱いでグラスを受け取り果実水を半分飲んだ。汗をたくさんかいていた。
「これ、オレンジの飴です」
彼の口の中に入れた。
「噛まないで舐めてください。果実水で飲み込んでも駄目ですよ」
「……すまないな」
残りの果実水を飲むとヘルメットを被りなおした。
「戻ろう」
「はい」
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