笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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諦めて就寝

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灯りを小さくしてメイド達は退室した。

「いい香りがするな」

「ひっ!!」

すぐそばにヒューゴ様がいた。

どうやらメイド達と入れ違いに入って来たらしい。
多分 バスローブの下は裸だろうか、濡れた髪を拭いていた。

ベルを鳴らそうとしたら止められた。

「メイドを呼んでも板挟みで可哀想だろう。これは4対1の結果だ」

「何がですか」

「反対しているのはクリスティーナだけ」

「その1は4に勝るのですよ!」

「まあまあ、もう遅いから」

「私が別の部屋に案内します」

「あのときだってしただろう?だから今夜も大丈夫だ」

「嫌です」

「寒くなったな。冷えるよな」

「……」

「ティアラがベッドで待っているぞ」

「……」



何故 私は受け入れてしまったのか。
確かに即暖だった。

「で、父上がな、俺を天才だと言ったんだ」

「パパと呼んだだけで天才と呼ばれて良かったですね」

「3ヶ月半だぞ?」

「あの、ヒューゴ物語はどのくらい続くのですか?」

「俺が眠くなるまで」

「ソファで凍えていいですよ」

「聞いてくれよ」

「もう1時間近く話してやっと3ヶ月半ですよ?現在まで辿り着くのに数日かかるじゃないですか」

「じゃあ、?」

「何をですか?」

「眠れるように」

「だから何をですか」

「セックス」

「コロス」

「い、言い方がストレート過ぎたかな?
愛の営み、花の交わり、蜜の交換?」

「どんなエロ小説読んでるのよ!」

「ローランド達が、俺が未経験なのを知ってるから、そっち系の小説とか指南書とかいろいろ寄越すんだよ」

「ふ~ん。女性も寄越したんじゃない?」

「…ちゃんと断ったよ」

「はいはいはいはい」

「怒るなって。本当に他の女とヤってないから」

「怒っていません」

「怒っているときだけ敬語止めるんだな。ずっと止めてくれ。ああ、大人の階段を登らせればもっと親しげに甘えた話し方をしてくれるか?」

「明日の夜からヒューゴ様にはよく眠れるようお薬を混入しておきますね」

「眠った後の俺に何するつもりだよ」

「何もしませんよっ!って何か当たってる」

「健康だからな」

「変な感じ…何コレ」

「あっ」

「ひっ!」

思わず握ってしまったらヒューゴ様が変な声を出した。

「ひ、人の手首が生えてる!!」

だってヒューゴ様の右手は頭を起こすために使ってるし、左手は私のお腹の上に乗っているのだもの。
私が掴んだものは第三の手首…

「て…手首じゃない。アレだ」

「アレ?」

「女に付いてなくて 男には付いているアレだよ」

「ひやっ!!握っちゃったじゃない!!」

「勝手に握ったんだろう。それに磨き上げて来たから汚くない」

「だって…なんなのソレ…ソレを!?大怪我しちゃうじゃない!」

「子を産む場所だぞ?このくらい入るようにできてるんだよ」

「そんな…もっと小さいものだと思っていたのに…」

「その思い違いは俺限定じゃないよな?」

「は?」

「俺のだけ小さいだろうとか思っていたわけじゃないよな?」

「い、一般的によ。閨教育と人体図は小さかったもの」

「それは通常時だろうな。
興奮したりするとこうなる」

「だから講師は痛いって言ったのね」

「大丈夫。1回目で快くなる女もいるらしい。大抵は3回目くらいには慣れるし、重ねるごとに快くなるから」

「経験あるんじゃない」

「ローランド達がそう言っていたんだよ」

「あ~、ジュアン公子達の印象が…」

「そりゃ 知ってる方が普通だろう。3人とも妻がいるし」

「……」

「で、どうする? 頑張って気持ち良くするぞ?」

「そうだわ。不埒な男に襲われかけたらアレを蹴り上げるか握り潰すといいと教わったわ」

「……ちょっとトイレ」

ヒューゴ様はガウンを羽織ってトイレに行き、しばらくして戻ってきた。

「さあ、寝るぞ」

「“ご迷惑をお掛けしました”でしょう」

「この羽毛布団、最高だな。タウンハウスもコレなんだろう?俺、セルヴィー邸で暮らすわ」

「早く寝て」

「また明日遊ぼうな」

「おやすみなさい」

「チュッ おやすみ」

ちょっと!


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