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ジネットの出会い
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【 ジネットの視点 】
エルザとは物心つく前に顔合わせをした。その瞬間から私達はピンときていた。今表現するなら生き別れの双子に再会した感じ。もちろん現実には全く違う。親も違えば生まれた日も場所も違う。顔も髪や瞳の色も違う。だけど運命を感じていた。
気にいる物や気に入らない物も同じで、そうなると部屋には互いに似たようなものが揃っていた。お母様達は“不思議ね”と笑った。
でも成長して私はあえて趣向を変えることにした。それはエルザと私が第二王子殿下の婚約者候補になったことがきっかけだった。口には出さなかったけど、私は殿下が特には好きではなかったからエルザも好きなはずはないと思った。だけどピンときた。殿下は候補者の中でエルザが好みなのだろうと。
髪飾りもドレスも今までの好みと少し変え、そして少しガサツな感じを出した。殿下と候補者のお茶会も愛想良くしなかった。結果、早々に候補から外れてエルザの応援に回った。エルザは私がわざと外れるようにしたことを当然気付いていてぶつぶつ言っていた。ウィロウ家はエルザが王子妃になるかもしれないことを喜んでいて、エルザは私と同じ策を取ることが出来なかった。
その後すぐモルゾン公爵家から縁談をもらった。あのモルゾンだ。貴族の中ではトップの嫁ぎ先だ。しかも跡継ぎのゼイン公子だった。当時、モルゾン公爵家は殿下の婚約が決まるまでゼイン様の婚約を決めないという方針だった。王子の婚約者候補になりそうな令嬢達もゼイン様を狙った令嬢達も、婚約を遅らせたので、令息達も同様に遅れることになった世代だった。サリモア公女は幼い時に早々に外れたと聞いている。それは王家が当時のサリモア公爵にはっきり告げたらしい。何をしでかしたらそんなことになるのか不思議だったが、今となっては納得だ。
私は候補から外れた身なのでもう再度候補に上がることはない。だからだと思ったけど、それにしても早くも候補から外れる令嬢は欠点か何かがあると思わないのだろうかと不思議に思っていた。その理由が分かるのはお見合いの時だった。
『あの、政略的な何かがあるのですか?モルゾン公子の妻の座は私には不相応だと思います。歳ももう少し近いご令嬢の方がよろしいのではないでしょうか』
『君で間違いないよ。友人のために身を引いてサポートに回っただろう?』
殿下の婚約者候補のこと?
『どちらかというと殿下がエルザを好んでいると感じたので効率を考えました』
『効率?』
『決まるまで無駄に呼び出されますし、他の令嬢方との摩擦もありますし。エルザを一人にするのは心配でしたけど、間違ってゼオロエンが選ばれた場合のことを考えると仕方がなかったのです』
『そういうところが好ましいんだ』
『正直気が進みません』
『嫌いじゃないんだろう?』
『お慕いはしていませんが』
『よし決まりだ』
結局私に決定権はなかった。
私とエルザはこうして別の道を歩み出したのだけど、学園で2回目の運命の出会いがあった。クリスティーナ・セルヴィー伯爵令嬢だった。
彼女は一見大人しい子に見えた。国一と言っていいほどの美男子と婚約していて、彼女は遠くから彼を見つめていた。婚約者なのだから一緒に食事をすればいいのにと思ったけど相手の令息は友人や他の令嬢たちを侍らせていた。そして令嬢達から嫌がらせを受けていた。彼女はやり返したり文句を言ったりせずに何事もなかったかのように振る舞った。
3日目、その彼女が怒った。
『階段の上から突き飛ばしたら下にいる人を巻き込むでしょう!そんなことも分からないのなら学園など辞めてしまいなさい!迷惑よ!』
婚約者に見惚れて過ごし、嫌がらせを受けても何も言い返せないお人形のような人だと思っていたのにそうじゃなかった。
凛とした怒り顔と瞳の輝きの強さと、はっきりとした主張をする彼女に目が離せなかった。それはやっぱりエルザも同じだった。
『エルザって呼んで』
『ジネットって呼んで。クリスティーナって呼んでいい?』
『は、はい』
それからは彼女を守るように一緒にいた。彼女の婚約者がいるときはボーッとしてるけど、それ以外は興味深かった。
『え?店を出しているの!?』
『うん。明日は新商品の発売日だからごめんね』
休みの日にお茶に誘ったら断られた。翌日、エルザと見に行くと本当だった。既に混雑していてクリスティーナが大声で“新商品は完売しましたー!ありがとうございましたー!次の入荷は10日後になりまーす!”と言っていた。
『ねえ、エルザ』
『分かっているわ、ジネット』
私達はキラキラ光る生きた宝石を見つけた。
『もっと仲良くなりたいのに』
『伯爵家と侯爵家の壁を崩しそうにないわね』
『そういえばエステル様が肌のことで悩んでいたわ。公爵家を紹介したら、侯爵家なんて気にならなくなるかも』
クリスティーナをモルゾン邸に連れて行きエステル様に会わせた。クリスティーナは令嬢でもなんでもなく、体調不良の患者の状態を聞く医者のようにエステル様に問診をし続けた。エステル様は細かな質問に少し怠さを感じていたように見えた。
エルザとは物心つく前に顔合わせをした。その瞬間から私達はピンときていた。今表現するなら生き別れの双子に再会した感じ。もちろん現実には全く違う。親も違えば生まれた日も場所も違う。顔も髪や瞳の色も違う。だけど運命を感じていた。
気にいる物や気に入らない物も同じで、そうなると部屋には互いに似たようなものが揃っていた。お母様達は“不思議ね”と笑った。
でも成長して私はあえて趣向を変えることにした。それはエルザと私が第二王子殿下の婚約者候補になったことがきっかけだった。口には出さなかったけど、私は殿下が特には好きではなかったからエルザも好きなはずはないと思った。だけどピンときた。殿下は候補者の中でエルザが好みなのだろうと。
髪飾りもドレスも今までの好みと少し変え、そして少しガサツな感じを出した。殿下と候補者のお茶会も愛想良くしなかった。結果、早々に候補から外れてエルザの応援に回った。エルザは私がわざと外れるようにしたことを当然気付いていてぶつぶつ言っていた。ウィロウ家はエルザが王子妃になるかもしれないことを喜んでいて、エルザは私と同じ策を取ることが出来なかった。
その後すぐモルゾン公爵家から縁談をもらった。あのモルゾンだ。貴族の中ではトップの嫁ぎ先だ。しかも跡継ぎのゼイン公子だった。当時、モルゾン公爵家は殿下の婚約が決まるまでゼイン様の婚約を決めないという方針だった。王子の婚約者候補になりそうな令嬢達もゼイン様を狙った令嬢達も、婚約を遅らせたので、令息達も同様に遅れることになった世代だった。サリモア公女は幼い時に早々に外れたと聞いている。それは王家が当時のサリモア公爵にはっきり告げたらしい。何をしでかしたらそんなことになるのか不思議だったが、今となっては納得だ。
私は候補から外れた身なのでもう再度候補に上がることはない。だからだと思ったけど、それにしても早くも候補から外れる令嬢は欠点か何かがあると思わないのだろうかと不思議に思っていた。その理由が分かるのはお見合いの時だった。
『あの、政略的な何かがあるのですか?モルゾン公子の妻の座は私には不相応だと思います。歳ももう少し近いご令嬢の方がよろしいのではないでしょうか』
『君で間違いないよ。友人のために身を引いてサポートに回っただろう?』
殿下の婚約者候補のこと?
『どちらかというと殿下がエルザを好んでいると感じたので効率を考えました』
『効率?』
『決まるまで無駄に呼び出されますし、他の令嬢方との摩擦もありますし。エルザを一人にするのは心配でしたけど、間違ってゼオロエンが選ばれた場合のことを考えると仕方がなかったのです』
『そういうところが好ましいんだ』
『正直気が進みません』
『嫌いじゃないんだろう?』
『お慕いはしていませんが』
『よし決まりだ』
結局私に決定権はなかった。
私とエルザはこうして別の道を歩み出したのだけど、学園で2回目の運命の出会いがあった。クリスティーナ・セルヴィー伯爵令嬢だった。
彼女は一見大人しい子に見えた。国一と言っていいほどの美男子と婚約していて、彼女は遠くから彼を見つめていた。婚約者なのだから一緒に食事をすればいいのにと思ったけど相手の令息は友人や他の令嬢たちを侍らせていた。そして令嬢達から嫌がらせを受けていた。彼女はやり返したり文句を言ったりせずに何事もなかったかのように振る舞った。
3日目、その彼女が怒った。
『階段の上から突き飛ばしたら下にいる人を巻き込むでしょう!そんなことも分からないのなら学園など辞めてしまいなさい!迷惑よ!』
婚約者に見惚れて過ごし、嫌がらせを受けても何も言い返せないお人形のような人だと思っていたのにそうじゃなかった。
凛とした怒り顔と瞳の輝きの強さと、はっきりとした主張をする彼女に目が離せなかった。それはやっぱりエルザも同じだった。
『エルザって呼んで』
『ジネットって呼んで。クリスティーナって呼んでいい?』
『は、はい』
それからは彼女を守るように一緒にいた。彼女の婚約者がいるときはボーッとしてるけど、それ以外は興味深かった。
『え?店を出しているの!?』
『うん。明日は新商品の発売日だからごめんね』
休みの日にお茶に誘ったら断られた。翌日、エルザと見に行くと本当だった。既に混雑していてクリスティーナが大声で“新商品は完売しましたー!ありがとうございましたー!次の入荷は10日後になりまーす!”と言っていた。
『ねえ、エルザ』
『分かっているわ、ジネット』
私達はキラキラ光る生きた宝石を見つけた。
『もっと仲良くなりたいのに』
『伯爵家と侯爵家の壁を崩しそうにないわね』
『そういえばエステル様が肌のことで悩んでいたわ。公爵家を紹介したら、侯爵家なんて気にならなくなるかも』
クリスティーナをモルゾン邸に連れて行きエステル様に会わせた。クリスティーナは令嬢でもなんでもなく、体調不良の患者の状態を聞く医者のようにエステル様に問診をし続けた。エステル様は細かな質問に少し怠さを感じていたように見えた。
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