【完結】笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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ミステリーアート

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ある意味ジョアンさんがミステリーだと思う。

あれから絵画展を主催しているテイラーさんに頼まれてジョアンさんの描きためた絵画を全て確認すると、全てにおいてが見つかったのだ。ジョアンさんは描いていてそのつもりはなく、指摘されるまでわからなかったらしい。ただ風景をキャンバスをうつしているだけなのだとか。だから見つけて欲しいと言われて見つけた。それは30点以上もあり、それぞれが描かれていた。

7人家族の絵に15本の腕、廃屋の壁板の割れ目から覗く顔、屋敷の2階の窓ガラスの向こうの異常に背の高い痩せこけた夫人、洞窟の壁に人のかたちをした黒い影、岩崖の間の骨状の脚、沼の横の木の根に飛沫血痕、薪割りの男性が持つ手斧に血が、更には市場の浮遊霊たちなど全てが不吉。ある意味感心する。この異物に気付かずに描き上げるなんて非凡とも言えるのでは?
シャルル様は驚きというよりは呆れて無言の笑み。テイラーさんは“こいつはバカか?”という顔をしていた。

[ 実在する よく見ると怖い絵 ]という絵画展を開いた。入場は大人のみ。指をさしたり声を出してはいけないルール。破ると即退場となり返金無し。
うちの店で前宣伝をしておいたからお客様は多かったけど…

「お、」

王子妃様と言おうとしたら先に言われてしまった。

「私はエルザよ」

「エルザ様、このようなところにいらしては」

「ううっ…結婚すると他人行儀になるなんて。私達の絆は、」

「エルザ」

「なぁに?」

「嘘泣きが上手かったのね」

「ふふん。そうよ」

子どもみたい。

「うっかり昨日話したら来たいってきかなくて。王子妃はなよめ教育を中止にさせちゃうのよ」

「ジネットだけティナとデートなんて許せるわけないでしょう」

従者や兵士に並ばせて一番乗りしたのはエルザとジネット。私は主催者招待なので並ばなくていい。それにシャルル様もいるんだけどな。

テイラーさんは近衞騎士を見て最初は摘発かと思ったらしく“悪魔の絵ではありません!錯覚するものを描いただけなんです!現地に行けばわかります!”などと言い訳をしていた。テイラーさんに“こちらのお方はエルザ王子妃様ですよ。彼らは護衛です”と説明をすると10秒くらい驚愕したままかたまった。エルザが“クリスティーナとは親友なの”と言うと我にかえり挨拶をして中に入り大騒ぎしながら“高貴なお方がいらしたぞ!気を引き締めてくれ!”と従業員に指示をしていた。

鑑賞し終わった後のエルザとジネットは…

「面白かったわ。見つけられない作品もあったけど、こういうのいいわね」

「よくない。何で崖の途中に人の手が出てるの!赤い涙を流す老婆は何なの!もう1人で寝られないじゃない!」

エルザには刺激が強かったみたい。

「大丈夫。エルザには一緒に寝てくれる人がいるじゃない」

「ちょっと…恥ずかしいからやめて」

エルザが頬を染めた。

「新婚って甘い雰囲気ダダ漏れねぇ」

「本当よねぇ」

「もう!」

2人が帰り、その後は  アフレックとサリー様も来た。ユーグ様はお姉様と来ていた。

「ありがとうございます。お陰様で大盛況です」

テイラーさんは満面の笑みだ。

「でしたらジョアンさんに作品をたくさん描いてもらわないといけませんね」

「はい、すぐに描かせに行きます」

「では僕達は帰らせてもらいますね」

「ありがとうございました」

その後はうちに来てシャルル様はゆっくり過ごしてから帰った。

翌日、第二王子殿下からメッセージカードと外国の茶葉が送られてきた。

“ありがとう。エルザと毎日一緒に眠ることができそうだ。次の絵画展も教えて欲しい”

いえいえ、どういたしまして…

“もう少し早めにわかると助かる”

ああ、やっぱり無理矢理来たのね。でも私は教えてないんだけど。絵画展も急だったし…

“見つけられなかった絵がいくつかあるらしい。持ってきてくれないか”

それは駄目ですよ。他の人たちも見てしまうし、これはお金儲けなのだから…

“頼む”

そう言われても。特にジョアンさんにお金が渡るようにしないと絵描きの旅に出られないもの…

カサッ

ん?

お、王家発行の小切手!!

“お持ちします”と返事を書いた。

今回ばかりはジョアンさんに向けた依頼と言ってもいい。あの絵をテイラーさんが買い上げたわけじゃないから。
テイラーさんにそう伝えて、この小切手はジョアンさんのものになると告げたら悲壮感を出していた。
ジョアンさんは優しい人だ。王族に会うための服を選んでくれたり、馬車を出したり荷物を積んだり、一緒についてきてマナーを教えてくれたら折半にしてもいいと提案した。テイラーさんは満面の笑みで引き受けた。絵の中の豚の顔が自分の顔に似ていると知ったときのあの殺気はまったくない。
小切手の額はなかなかの金額だった。
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