名探偵の条件

ヒロト

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12事情聴取

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なんとか話を変えるとほっと一息つく。冬弥の興味も他に移った。

「で、羽鳥さんはどうしてこんなところにいるんですか?」

「え、そのなんだ。知り合いの見舞にきたんだが、どうやら部屋を間違えちまったようだ。
じゃあ、また。」

「・・・暑中見舞、もうそろそろ出さなきゃな。」
低い声で呟きながら、なにやら胸元から手帳を取り出す。


「えっと、は行・・・」

「・・・正直に言うから、ホント許してください。」

「冬弥って・・・やっぱり、やばい人?」

「いや。僕は嘘つきな知り合いにさえ暑中見舞を出す、心の暖かい人。」

また、さっきの会話に戻ってしまった。
・・・ 話を変えねば。

「それで・・・羽鳥刑事でしたっけ。
どうしてこの部屋にいらしたんですか。」
 
冬弥が半眼で羽鳥さんを見ている。
『もう嘘は許さないよ』と目が語っていた。


「この病院で事件が起こったんだ。」
 しぶしぶといった表情で羽鳥刑事が答える。

「なるほどね。そしてあなたがきているということは当然・・・」
「ああ、殺人事件とみて間違いないだろうな。」
 もはや隠してもしかたがないと思ったのか今度はあっさりと教えてくれる。


「なるほど、それで入院者のアリバイ確認ってわけですね。」

「まあそういうことだ。君たちは6時から8時まではどこにいたんだ。」
「答える前に二言程いいかな。」

「・・・ああ。」
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