名探偵の条件

ヒロト

文字の大きさ
27 / 44

27 外部犯? 内部犯?

しおりを挟む
「・・・さて」

暗くなった部屋の雰囲気を変えるように、冬弥が明るい声で話し出す。
「情報屋からの話はこれで終わり。次は、弘幸の話の続きを頼むよ。」

「・・・OK。まあ、ここからは確認って感じなんだけどね。
まずは、冬弥が『ネットで調べられる範囲の事件か事故』が、この病院であったかを調べた理由からでいいかな。

これは、『見立て殺人』という視点で考えれば、冬弥が『ネットで調べられる範囲』にこだわった理由はすぐにわかったよ。
つまり・・・

『病院外部の人間でも、見立て殺人ができたのかどうか』

それを、冬弥は知りたかったんじゃないかな?」

「正解」

冬弥は短く答えた。このくらいは当てて当然・・・といったそっけなさだ。


「結果的には、少年の事故については『誰でも知ることのできる情報』だったから、この情報からは犯人像は絞れなかった。

でも・・・冬弥はそのことをたいして残念に思ってないだろう?」

「なぜ、そう思う?」

「冬弥には、今回の犯人が『外部犯』か『内部犯』か・・・
最初から、見当がついていたと思うからさ。
違うかい?」


「まあ・・・多分『内部犯』だろうね。」

肩をすくめながら冬弥は答え、そのまま話を続け出した。

「犯行現場に、凶器の鉈(なた)が残されていた。
もし、犯人が『外部犯』なら・・・逃げる時に凶器も持っていくだろう。
凶器を持ち込む時に使った入れ物に、犯行後もう一度凶器を入れて持ち出せばいいだけのことだからね。

たとえ、凶器がホームセンターかどこかで買った『足のつきにくい』モノだとしても・・・『絶対に犯人につながらない』という保障はないんだ。

凶器は犯人にとって『危険な証拠』・・・持ち出せるものなら、きっと持ち出したはずだと思うよ。」

「僕もそう思う。
だから犯人は、凶器を持ち出さなかったんじゃなく、持ち出せなかったんじゃないかな。

おそらく・・・時間のしばりがあって。


時間さえあれば、遠くまで凶器を捨てに行くことができる。そうすれば、今言った『外部犯』の可能性も残せるんだ。

でも・・・犯人はその手を使わなかった。いや、使えなかった。
そんなに長い時間、病院から離れていたら逆に疑われてしまうから・・・。


つまり、犯人は病院の時間にしばられた者・・・『内部犯』・・・」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...