バビロニア・オブ・リビルド『産業革命以降も、神と科学が併存する帝国への彼女達の再構築計画』【完結】

蒼伊シヲン

文字の大きさ
78 / 79
-epilogue-

69『月世乃旅人』

しおりを挟む
 再構築計画リビルド・コードの後…ギルガメッシュは、帝国の再開発の為に王として奔走している。
忙しなく移動するなか…ギルガメッシュは腕時計を見て、時刻を確認する。

「しまった…もうこんな時間か…」
時計が午後2時を過ぎている事を意識したギルガメッシュは、強い空腹感に襲われる。
そして、ふと周囲を見渡す。

「ほぉ、屋台か…助かる。」
ギルガメッシュの視線の先には…赤いのれんに『ナガサキ』と書かれた屋台がある。

「親父、一杯良いか、急いでいるから堅めで頼む。」
その屋台の席に座り注文する。
「あいよ…」
背を向けて調理する、店主の声が気になったギルガメッシュの動きが一瞬、止まる。

「へい、チャンポンお待ち…ほぉ、久しぶりじゃないか王様。」
「ふん…聞き覚えのある声だと思えば…お前か【風来坊アトラ】…」
アヌの使徒の一人である【アトラ・ハーシス】が、店主として立っている。

「アトラ…お前、何しに来た?」
ギルガメッシュが、出されたチャンポンをすすりながら問い掛ける。
「久しぶりにこっちの方を旅するついでに、あの少女2人がやらかした件について調査しに来たんだよ。」
白い調理衣姿の飄々としたアトラが、話した後にしまったという表情を見せる。

「やらかしたとは…どういうわけだ?」
箸が止まったギルガメッシュの視線が、鋭くなる。
「いやぁ…何のことかな?」
アトラが明後日の方向を見て誤魔化そうとするが…目の前の王は逃さない。

「アヌの使徒が、このメソポタミアに限っての通り名なのは知っている…同時に複数存在する世界の歪みを監視し…時には、その問題点に介入する組織『月世乃旅人つきよびと』が本当の名前なのだろ?」
そう問い詰めたギルガメッシュは、再び麺をすする。

「はっはは…流石は、星を良くる国の王様だね…僕たちは正式には【月世乃旅人つきよびと】と呼ばれているよ。」
誤魔化せないと思ったアトラが真実を告げる。

「まぁ、最高神エンリルから王権を授かった俺だからこそ知っている事実だがな…俺以外は知る者はいないと思うぞ。」
ギルガメッシュが話す様に促す。

「機密規定があるから詳しくは話せないけど…源南花君とアリサ・クロウ君によって、魔術が更に影の存在になり、科学がより突出する世界が生じたと言う事だよ…悪いが、これ以上は言えないな。」
今までの飄々とした雰囲気とは変わり、アトラが真面目な口調で答える。

「そうか…エンキやモルガーナが喜びそうな世界だな…安心してくれ俺とお前だけの話だ。」
チャンポンを完食し立ち上がった、ギルガメッシュが続ける。

「俺は、この世界で…このメソポタミアの地で、バビロニアの王としての『権利ノブレス』と『責務オブリージュ』を全うするだけだ…どうせ、また会うことになりそうだな…またな…」
その言葉を最後に、ギルガメッシュは去っていく。

屋台を後にするギルガメッシュを、遠くから見る一人の錬金術師はベンチに座っている…

「実は私も知っているんだよね…『月世乃旅人つきよびと』のことは…」
そう呟いたモルガーナ・ピルグリムは、立ち上がり…帝国東圏側B区にある博物館へと歩みを進める。

ーーー

帝国博物館の関係者以外立ち入り禁止の札が掛けられたエリアの先に、モルガーナは入っていく…
その手には、エンキドゥが封印されていたトランクと同じ物が握られている。

そして、一回り大きな本棚の目の前に立ったモルガーナは決められた場所に、そのトランクを床に置く…
すると、歯車が回る様な音と共に、本棚が右回りに半回転し…別の空間への入り口が開く。

トランクを再び手にしたモルガーナが、その入り口を通過すると…何事もなかったかの様に閉まり、元の本棚に戻る。

自室である…黄昏時の書斎に帰って来たモルガーナは、複数並ぶ本棚の中のうちの一つの前に立ち止まる。
その本棚に納められている本の一つを手に取り開く…

開かれたページには、星を模した球を手で転がす猫のマークが装飾された栞が挟まれている。

何かを確認したモルガーナは、再びその本を戻す。
その戻された本の背表紙には…

『ハイカラ・オブ・リビルド』と記されている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

生きるために逃げだした。幸せになりたい。

白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。 2020/9/19 第一章終了 続きが書け次第また連載再開します。 2021/2/14 第二章開幕 2021/2/28 完結

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。  私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。  けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?  関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。  竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。 『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』 ❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。 *乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。 *表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。 *いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。 *他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。

処理中です...