53 / 83
第五章 サザンポール亜大陸にて
5ー5 同行者の災難 その二
しおりを挟む
前を行く隊商の馬車の修理のため橋のたもとで待機を余儀なくされましたが、それが住んでようやく次の宿場町ヴェルディシュに向かい始めて、半時ほどが過ぎました。
ヴェルディシュまでは未だ半時ほどもかかるでしょう。
丘陵地帯を登りきったところでヴェルディシュの街並みが見えるはずですが、マルコはその丘陵の頂上付近に怪しい気配を感じ取りました。
そうして探索範囲を広げたところ、東方向へ緩やかに伸びる坂道の南北にも怪しげな気配が窺え、既に隊商を含めた六台の馬車(隊商三台、子爵の馬車二台、マルコ達の馬車)が包囲されつつあることを感じ取りました。
今から引き返しても襲撃をかわすのは無理そうです。
前方の丘陵頂上付近に約40名、この坂道の両側にある緩斜面に約40名、合わせて80名ほどの勢力です。
マルコは、取り敢えず盗賊と判断しましたが、念のため隠ぺいを掛けたドローンを飛ばし、最寄りの緩斜面に潜んでいる怪しげな人物達を確認しました。
見かけは盗賊様の風体ですが、少し違和感を覚えます。
これまで見て来た野盗の類は、いずれも汚れの目立つ服装に身体にも垢がこびりついていて、ある意味で汚い連中なのですが、ドローンで得られる映像ではかなり身綺麗なのです。
多数居る中の一人、二人ならばおかしくありませんけれど、南側緩斜面の藪に潜んでいる20人程が全員綺麗な格好をしているのはおかしな話です。
危険を承知で鑑定を掛けました。
「危険」というのは人物鑑定を掛けると、魔力察知に優れた人物が気づく恐れもあるからですし、ある意味で礼儀に反する行為なので無暗にはしない方が良いのですが、相手が盗賊ならば遠慮はいりません。
鑑定の結果は驚くような内容でした。
南側斜面の20名中17名が傭兵でした。
元傭兵ではなくって、現状で傭兵という表示がされているということは、誰かから依頼を受けて任務遂行中ということです。
そうして南側斜面に居る残り3名が、マッセリング伯爵家家臣となっています。
同様に北側斜面の者にも鑑定を掛けましたなら、19名中18名が傭兵で、1名のみがマッセリング伯爵家家臣でした。
この情報だけで臆断するのは早計ですが、マッセリング伯爵家の何者かの指示により、傭兵を雇い、家臣団の一部が同行してこの6台の馬車を襲撃するつもりなのでしょう。
前方に待ち構える連中も同じ手合いと思われます。
マルコ達もおそらく前を行く隊商も、伯爵の家臣に狙われるような覚えはないでしょうから、おそらくはバウマン子爵がらみの貴族の紛争に違いありません。
面倒ごとに巻き込まれるのは避けたいところですが、かといって放置もできません。
マルコは、マルコ達の警護をするゴーレム六体に即応体制を取らせました。
その上で、居間にいる義父様と義母様に情報を伝えて注意喚起です。
義父様と義母様についてはマルコの馬車に居る限り安全ですが、後刻、何らかの形で子爵への拝謁の可能性もあるので、情報を共有しておく必要があるのです。
もう一つ、伯爵家の家臣であるならば、魔法師が含まれている可能性もあり、その対応についても準備しなければなりません。
マルコは、自作のコンポジットボウを準備しています。
要すれば屋根の上から援護射撃をする予定なのです。
魔法の射程というものは魔法師の能力によっても異なりますが、ニオルカンの第一学院の比較的優秀な魔法教師で50m程度の的を攻撃できる程度の筈です。
従って、50m程度まで接近する魔法師が居れば、その魔法師を馬車の屋根から狙撃する算段なのです。
この世界の魔法師は、魔法発動に詠唱が必要の様であり、そのための魔力を注ぎ始めるとマルコにはその動きが察知出来ます。
従って、未発動の状況で狙撃できれば魔法は発動せずに終わるでしょう。
魔法師が居ない場合、80名の傭兵と騎士が相手であれば、6体のゴーレムで十分に片づけられます。
問題は、子爵の馬車が魔法で狙われると危ないことですよね。
大量に人員を動員していることから見て、前子爵夫人、現子爵夫人及びその娘の捕獲が目的じゃないかと思うのですが、命を狙いに来ているなら馬車ごと魔法の標的にする可能性もあります。
貴族の馬車はそれなりの強度を持つ素材で作られていますので、破壊できるほどの魔法が放てる者が果たしているかどうかは不明です。
これまでマルコが出遭った魔法師にそれほど優秀な魔法師はいませんでしたけれど、用心は必要ですよね。
別の話ですけれど、馬車の大きさは旅客用と貨物用で多少異なります。
隊商用の馬車は、長さが約6m、二頭曳きで幅が約150センチですが、旅客用で貴族の馬車になると、長さはほぼ同じで3人掛けができるよう180センチほどの幅があります。
マルコ達の馬車も貴族用の馬車に準拠していますので、馬を含めて六台の馬車が連ねていると、一台当たり約10mほどの間合いになりますので、隊列は約60m程になります。
その先頭が頂上付近に近づくと、その進路を塞ぐように道路脇の木立の中からわらわらと野盗風の男たちが飛び出しました。
総勢で35名です。
因みに木立に身を隠している者が5名居ますね。
ご丁寧に、丸太を組み合わせて作った馬止めを道路に二段重ねで引き出しています。
進むには前方の野盗を排除し、なおかつ、馬止めを除去しなければなりません。
隊商についていた護衛16名が前方に集結し、襲撃に備えます。
一方で、子爵の馬車を警護する騎士は、子爵の馬車を中心に周囲を警護します。
マルコ達の背後では藪に潜んでいた者達が順次道路に現れ始めました。
その数、35名、藪に未だ潜んでいる4名は伯爵家家臣のようです。
彼らは指揮を執るだけで、戦闘には参加しないのかもしれません。
いや、訂正ですね。
前方に潜む5名の中には魔法師が三名も含まれています。
数で押して警護についている者達を排除できなければ魔法で押してくるつもりなのでしょうか?
もしくは緒戦から魔法を使う?
マルコは、用心のために御者台経由で馬車の屋根に上り、身を低くしました。
勿論、コンポジットボウも携えています。
後方の敵に対する守りはゴーレム三体で十分です。
残り三体は遊撃で必要に応じて、子爵の馬車を守らせます。
隊商の護衛が16名、子爵の騎士が20名、マルコ達の護衛ゴーレムが6体で、外見上は護衛は32名にしか過ぎませんから、見えている数だけで70名対32名で圧倒的に不利に見えますね。
それでも護衛の冒険者たちは健気に防戦の構えですけれど、生憎と彼らのランクは、中級クラス低位の赤銅と、初級クラス高位の重鉄クラスです。
それに比べると傭兵たちは、中級クラス上位の青銅以上の力量とみられる一等兵以上で揃えられていますので、前に立ち塞がる35名の傭兵にに対して冒険者はやや力不足です。
一方で子爵の馬車警護の騎士達は、相応の力量を持っていそうですけれど、生憎と倍する敵を圧倒できるだけの力はなさそうです。
止むを得ませんので、護衛ゴーレムのカタヒとルアを前方に行かせました。
前方の傭兵相手なら二体のゴーレムで十分なはずです。
そうして魔法の発動が無いままに車列の前後で一気に戦闘が始まりました。
前方後方共にゴーレム達が獅子奮迅の働きで、野盗紛いの傭兵たちを蹴散らしています。
マルコからは命を奪っても良いが、半分は生かしておくようにと指示を出しています。
そのうちに形勢不利とみたのか、指揮者であろう前方の5名の内三名に魔法発動のための詠唱を感じ取りました。
マルコは、馬車の屋根から片膝立てでの射撃を開始します。
立て続けに放った五本の矢は間違いなく木立に隠れている者達の急所に当たります。
即死はありませんが、放置すれば死に至ることになるでしょう。
人を襲うなら盗賊であろうとなかろうと罪は一緒です。
そうして背後に潜む藪の中の敵4人も射撃で動きを停めました。
マルコが放った矢は、風魔法を付与されているために、途中の障害物を避けながら標的とされた人物に当たるのです。
いかな腕達者と言えどもこの射撃には避けようがありません。
戦闘が始まって四半時もしないうちに、剣戟は収まりました。
生きている者は、荒縄で縛られ始めています。
死んだ者は、道路わきの溝に取り敢えず積み重ねられて行きます。
おそらくはヴェルディシュから役人なりを派遣して処理させることになるでしょう。
野盗紛いの者達は全員数珠つなぎの二列となって、ゴーレムの馬二頭に曳かれて、隊列の中ほど子爵の馬車の前を歩かせることになりました。
魔法師三名については、特にゴーレム二体が両脇についていて、いつでも抜刀できるようにしています。
魔法の詠唱がなされれば例え小声であっても直ちに斬ると脅してあります。
さてさて、ヴェルディシュなりヴェルコフなりでどのような処分になるのかですけれど、伯爵家臣下の一人、ヨナス・フェニングは自決を図りましたので、ゴーレムがその場で殴って意識を失わせています。
貴族の騒動は面倒ですよね。
おそらくはトカゲのしっぽ切りで終わるのでしょうけれど、マッセリング伯爵としては非常にまずい立場に追い込まれたかもしれません。
因みにこれからの旅行予定先にそのマッセリング伯爵の領地もあるんですけれど、これは避けた方が良いかもしれませんね。
バウマン子爵の領地は、マッセリング伯爵の領地と接しているのです。
その日夕刻近くになって一行は無事にヴェルディシュに到着しました。
今日は宿屋泊まりになりそうですが、その日の宿場町は大騒ぎになっていました。
何せ、近場で盗賊と思われる約79名が出現し、その半数以上の43名が討ち取られ、残り36名もかなりの重傷を負っているのです。
幸いにして襲撃された方に被害はほとんどありません。
警護の冒険者三名が軽傷を負っただけで済んだのです。
その裏には、マルコ達の護衛ゴーレム六体の活躍があったことが喧伝されてしまいましたが、これは止むを得ません。
その日酒場で3人づつが交代で顔を出してやることにしました。
酒場では大もてに持てたと聞いています。
ゴーレムは酒で酔うこともありませんけれどね。
酔っ払いに適当に対応できるだけの能力はあるんですよ
マルコ達は宿屋でおとなしくするつもりでいましたが、子爵側から夕食のお誘いがあり、カラガンダ夫妻とマルコがお邪魔しました。
どうやら老女様は隣のマッセリング伯爵との確執は重々ご承知の様で、今回の襲撃もその所為と感づいているようですね。
マルコもカラガンダ義父様も、そのような話には触れず、お話はもっぱらステラ義母様に任せました。
但し、ハンナ嬢からマルコに質問がありましたよ。
どうやらハンナ嬢は、マルコが屋根から弓を放ったのをしっかりと見ていたようです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2月6日、一部の字句修正を行いました。
By サクラ近衛将監
ヴェルディシュまでは未だ半時ほどもかかるでしょう。
丘陵地帯を登りきったところでヴェルディシュの街並みが見えるはずですが、マルコはその丘陵の頂上付近に怪しい気配を感じ取りました。
そうして探索範囲を広げたところ、東方向へ緩やかに伸びる坂道の南北にも怪しげな気配が窺え、既に隊商を含めた六台の馬車(隊商三台、子爵の馬車二台、マルコ達の馬車)が包囲されつつあることを感じ取りました。
今から引き返しても襲撃をかわすのは無理そうです。
前方の丘陵頂上付近に約40名、この坂道の両側にある緩斜面に約40名、合わせて80名ほどの勢力です。
マルコは、取り敢えず盗賊と判断しましたが、念のため隠ぺいを掛けたドローンを飛ばし、最寄りの緩斜面に潜んでいる怪しげな人物達を確認しました。
見かけは盗賊様の風体ですが、少し違和感を覚えます。
これまで見て来た野盗の類は、いずれも汚れの目立つ服装に身体にも垢がこびりついていて、ある意味で汚い連中なのですが、ドローンで得られる映像ではかなり身綺麗なのです。
多数居る中の一人、二人ならばおかしくありませんけれど、南側緩斜面の藪に潜んでいる20人程が全員綺麗な格好をしているのはおかしな話です。
危険を承知で鑑定を掛けました。
「危険」というのは人物鑑定を掛けると、魔力察知に優れた人物が気づく恐れもあるからですし、ある意味で礼儀に反する行為なので無暗にはしない方が良いのですが、相手が盗賊ならば遠慮はいりません。
鑑定の結果は驚くような内容でした。
南側斜面の20名中17名が傭兵でした。
元傭兵ではなくって、現状で傭兵という表示がされているということは、誰かから依頼を受けて任務遂行中ということです。
そうして南側斜面に居る残り3名が、マッセリング伯爵家家臣となっています。
同様に北側斜面の者にも鑑定を掛けましたなら、19名中18名が傭兵で、1名のみがマッセリング伯爵家家臣でした。
この情報だけで臆断するのは早計ですが、マッセリング伯爵家の何者かの指示により、傭兵を雇い、家臣団の一部が同行してこの6台の馬車を襲撃するつもりなのでしょう。
前方に待ち構える連中も同じ手合いと思われます。
マルコ達もおそらく前を行く隊商も、伯爵の家臣に狙われるような覚えはないでしょうから、おそらくはバウマン子爵がらみの貴族の紛争に違いありません。
面倒ごとに巻き込まれるのは避けたいところですが、かといって放置もできません。
マルコは、マルコ達の警護をするゴーレム六体に即応体制を取らせました。
その上で、居間にいる義父様と義母様に情報を伝えて注意喚起です。
義父様と義母様についてはマルコの馬車に居る限り安全ですが、後刻、何らかの形で子爵への拝謁の可能性もあるので、情報を共有しておく必要があるのです。
もう一つ、伯爵家の家臣であるならば、魔法師が含まれている可能性もあり、その対応についても準備しなければなりません。
マルコは、自作のコンポジットボウを準備しています。
要すれば屋根の上から援護射撃をする予定なのです。
魔法の射程というものは魔法師の能力によっても異なりますが、ニオルカンの第一学院の比較的優秀な魔法教師で50m程度の的を攻撃できる程度の筈です。
従って、50m程度まで接近する魔法師が居れば、その魔法師を馬車の屋根から狙撃する算段なのです。
この世界の魔法師は、魔法発動に詠唱が必要の様であり、そのための魔力を注ぎ始めるとマルコにはその動きが察知出来ます。
従って、未発動の状況で狙撃できれば魔法は発動せずに終わるでしょう。
魔法師が居ない場合、80名の傭兵と騎士が相手であれば、6体のゴーレムで十分に片づけられます。
問題は、子爵の馬車が魔法で狙われると危ないことですよね。
大量に人員を動員していることから見て、前子爵夫人、現子爵夫人及びその娘の捕獲が目的じゃないかと思うのですが、命を狙いに来ているなら馬車ごと魔法の標的にする可能性もあります。
貴族の馬車はそれなりの強度を持つ素材で作られていますので、破壊できるほどの魔法が放てる者が果たしているかどうかは不明です。
これまでマルコが出遭った魔法師にそれほど優秀な魔法師はいませんでしたけれど、用心は必要ですよね。
別の話ですけれど、馬車の大きさは旅客用と貨物用で多少異なります。
隊商用の馬車は、長さが約6m、二頭曳きで幅が約150センチですが、旅客用で貴族の馬車になると、長さはほぼ同じで3人掛けができるよう180センチほどの幅があります。
マルコ達の馬車も貴族用の馬車に準拠していますので、馬を含めて六台の馬車が連ねていると、一台当たり約10mほどの間合いになりますので、隊列は約60m程になります。
その先頭が頂上付近に近づくと、その進路を塞ぐように道路脇の木立の中からわらわらと野盗風の男たちが飛び出しました。
総勢で35名です。
因みに木立に身を隠している者が5名居ますね。
ご丁寧に、丸太を組み合わせて作った馬止めを道路に二段重ねで引き出しています。
進むには前方の野盗を排除し、なおかつ、馬止めを除去しなければなりません。
隊商についていた護衛16名が前方に集結し、襲撃に備えます。
一方で、子爵の馬車を警護する騎士は、子爵の馬車を中心に周囲を警護します。
マルコ達の背後では藪に潜んでいた者達が順次道路に現れ始めました。
その数、35名、藪に未だ潜んでいる4名は伯爵家家臣のようです。
彼らは指揮を執るだけで、戦闘には参加しないのかもしれません。
いや、訂正ですね。
前方に潜む5名の中には魔法師が三名も含まれています。
数で押して警護についている者達を排除できなければ魔法で押してくるつもりなのでしょうか?
もしくは緒戦から魔法を使う?
マルコは、用心のために御者台経由で馬車の屋根に上り、身を低くしました。
勿論、コンポジットボウも携えています。
後方の敵に対する守りはゴーレム三体で十分です。
残り三体は遊撃で必要に応じて、子爵の馬車を守らせます。
隊商の護衛が16名、子爵の騎士が20名、マルコ達の護衛ゴーレムが6体で、外見上は護衛は32名にしか過ぎませんから、見えている数だけで70名対32名で圧倒的に不利に見えますね。
それでも護衛の冒険者たちは健気に防戦の構えですけれど、生憎と彼らのランクは、中級クラス低位の赤銅と、初級クラス高位の重鉄クラスです。
それに比べると傭兵たちは、中級クラス上位の青銅以上の力量とみられる一等兵以上で揃えられていますので、前に立ち塞がる35名の傭兵にに対して冒険者はやや力不足です。
一方で子爵の馬車警護の騎士達は、相応の力量を持っていそうですけれど、生憎と倍する敵を圧倒できるだけの力はなさそうです。
止むを得ませんので、護衛ゴーレムのカタヒとルアを前方に行かせました。
前方の傭兵相手なら二体のゴーレムで十分なはずです。
そうして魔法の発動が無いままに車列の前後で一気に戦闘が始まりました。
前方後方共にゴーレム達が獅子奮迅の働きで、野盗紛いの傭兵たちを蹴散らしています。
マルコからは命を奪っても良いが、半分は生かしておくようにと指示を出しています。
そのうちに形勢不利とみたのか、指揮者であろう前方の5名の内三名に魔法発動のための詠唱を感じ取りました。
マルコは、馬車の屋根から片膝立てでの射撃を開始します。
立て続けに放った五本の矢は間違いなく木立に隠れている者達の急所に当たります。
即死はありませんが、放置すれば死に至ることになるでしょう。
人を襲うなら盗賊であろうとなかろうと罪は一緒です。
そうして背後に潜む藪の中の敵4人も射撃で動きを停めました。
マルコが放った矢は、風魔法を付与されているために、途中の障害物を避けながら標的とされた人物に当たるのです。
いかな腕達者と言えどもこの射撃には避けようがありません。
戦闘が始まって四半時もしないうちに、剣戟は収まりました。
生きている者は、荒縄で縛られ始めています。
死んだ者は、道路わきの溝に取り敢えず積み重ねられて行きます。
おそらくはヴェルディシュから役人なりを派遣して処理させることになるでしょう。
野盗紛いの者達は全員数珠つなぎの二列となって、ゴーレムの馬二頭に曳かれて、隊列の中ほど子爵の馬車の前を歩かせることになりました。
魔法師三名については、特にゴーレム二体が両脇についていて、いつでも抜刀できるようにしています。
魔法の詠唱がなされれば例え小声であっても直ちに斬ると脅してあります。
さてさて、ヴェルディシュなりヴェルコフなりでどのような処分になるのかですけれど、伯爵家臣下の一人、ヨナス・フェニングは自決を図りましたので、ゴーレムがその場で殴って意識を失わせています。
貴族の騒動は面倒ですよね。
おそらくはトカゲのしっぽ切りで終わるのでしょうけれど、マッセリング伯爵としては非常にまずい立場に追い込まれたかもしれません。
因みにこれからの旅行予定先にそのマッセリング伯爵の領地もあるんですけれど、これは避けた方が良いかもしれませんね。
バウマン子爵の領地は、マッセリング伯爵の領地と接しているのです。
その日夕刻近くになって一行は無事にヴェルディシュに到着しました。
今日は宿屋泊まりになりそうですが、その日の宿場町は大騒ぎになっていました。
何せ、近場で盗賊と思われる約79名が出現し、その半数以上の43名が討ち取られ、残り36名もかなりの重傷を負っているのです。
幸いにして襲撃された方に被害はほとんどありません。
警護の冒険者三名が軽傷を負っただけで済んだのです。
その裏には、マルコ達の護衛ゴーレム六体の活躍があったことが喧伝されてしまいましたが、これは止むを得ません。
その日酒場で3人づつが交代で顔を出してやることにしました。
酒場では大もてに持てたと聞いています。
ゴーレムは酒で酔うこともありませんけれどね。
酔っ払いに適当に対応できるだけの能力はあるんですよ
マルコ達は宿屋でおとなしくするつもりでいましたが、子爵側から夕食のお誘いがあり、カラガンダ夫妻とマルコがお邪魔しました。
どうやら老女様は隣のマッセリング伯爵との確執は重々ご承知の様で、今回の襲撃もその所為と感づいているようですね。
マルコもカラガンダ義父様も、そのような話には触れず、お話はもっぱらステラ義母様に任せました。
但し、ハンナ嬢からマルコに質問がありましたよ。
どうやらハンナ嬢は、マルコが屋根から弓を放ったのをしっかりと見ていたようです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2月6日、一部の字句修正を行いました。
By サクラ近衛将監
52
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。
石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません
俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。
本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。
幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。
そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。
彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。
それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』
今度もまた年上ヒロインです。
セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。
カクヨムにも投稿中です
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!
寿明結未
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。
皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。
この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。
召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。
確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!?
「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」
気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。
★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします!
★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる