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第一章 二重生活
1ー4 ゴブリンとの遭遇
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年が明け、出立日の1月4日、ほぼ快晴の天気で、絶好の旅立ちの日だった。
俺(ケント)は、爺さんや村の人たちにひとまずの別れを告げて、買い出し部隊と一緒に村を出た。
グルヌベルヌ村を朝に出て、夕刻前にはカルヴィアに着く予定だった。
だがこういう時にはつきものなのかもしれないが、峠道で魔物に遭遇したよ。
運の悪いことに、ゴブリンの群れだった。
買い出し部隊は、三十代から五十代の男が四人、それに俺が加わって五人なんだが、ゴブリンの群れは見えるだけでも二十数匹いるし、草むらに隠れている奴もいる。
ある程度は戦える連中が買い出し部隊になっているんだが、これだけ多いと、数に押される可能性はあるな。
俺(ケント)の武術も魔法も、今まで誰にも見せてはいないんだが、危なければ俺も戦闘に加わるしかない。
むしろ、俺(ケント)が戦えることを示して、四人の負担を減らしてやらねばならないだろう。
俺(ケント)はインベントリから自作の剣を取り出した。
俺(ケント)の傍に居たマクデルス爺さんが驚いて言った。
「ケント、おめぇ、剣を持っているのか?
それにどっから出した?」
「内緒。
マック爺さん、自分の身は自分で守れるから、爺さんは自由に動いていいよ。」
「お、おう・・・。
無理して怪我すんなよ。」
マクデルス爺さんこと、マック爺さんは改めてゴブリンどもに注意を向けた。
「クギャッ、グギャッ」と言いながら、ばらばらに襲い掛かってくるゴブリンたちは、体格は小柄だが力は結構強い。
錆びた刀や、槍を持つ奴もいるが、大多数の獲物は木の棒や棍棒が多いな。
但し、草むらに隠れている奴の中には雑な造りの弓を持っている奴が居た。
俺(ケント)の時空魔法で気配察知ができるから、ゴブリンの配置が分かるんだ。
それを確認して行くうちに、三体のアーチャーらしきものを見つけたわけだ。
正確なところアーチャーなのかどうかはわからないが、遠間から弓を放たれるとこちらが危ないから早目に片づける必要があるよな。
瞬時に俺(ケント)は小型のクロスボウを取り出し、発射した。
既に矢を取り付けてあるクロスボウであり、30m程度の標的なら確実に当てられる。
そいつをとっかえひっかえ三連射して、アーチャーらしきゴブリン三匹を片付けた。
取り敢えず弓の脅威は無くなっただろう。
次いで襲い掛かってくるゴブリンを剣でなぎ倒す。
身体強化がかかっている筋力は、かなり強く、一なぎでゴブリンの胴体が剪断(せんだん)されたな。
実のところ、切った俺(ケント)の方がびっくりしてるんだが、次の奴が襲い掛かって来るんで、動きを止めているわけには行かない。
無属性魔法の身体強化は、動体視力にも影響を与えるのかもしれん。
ゴブリンの動きが妙に遅いんだ。
だが、そんなことに気を使っていられないから検証は後回しで、とにかくゴブリンを叩っ切る。
俺(ケント)の目の前でゴブリンが剪断されると、青い血が噴き出るんだが、それを浴びないよう避けつつ、次の獲物を切る。
そんなに時間は立っていないと思うんだが、俺(ケント)一人で20匹ぐらいを叩き切った時点で戦闘は終わっていたな。
村の買い出し部隊の四人が目を丸くして俺を見ていた。
彼らが一人当たり精々二匹から三匹程度を討伐しているうちに、俺(ケント)が残りのほとんどをやっつけたからだろうと思う。
正直なところ、俺(ケント)も身体強化をしていて戦闘に夢中だったから、村人の方を見ていなかったから気づかなかったんだ。
まぁ、それでも成人になったばかりの俺(ケント)が、この中では一番強いという事が判明したよ。
これまでも樵の手伝いをしている時に獣に鉢合わせしたことはあるが、その時はギラン爺さんが立ち向かって行ったから、俺(ケント)の出番は無かったんだ。
結果として、俺(ケント)の造った剣もなかなかのものだったな。
ゴブリンが持っていたなまくらの錆びだらけの剣なんぞは当たるを幸いに両断していたからな。
俺(ケント)の鍛冶の腕もそれなりなんじゃないかな。
名人には程遠くても、スキルが生えてれば相応の能力はありそうだ。
マック爺さんに教えられて、ゴブリンの討伐証拠で右の耳を削いでゆき、同時にゴブリンの体内から魔石を取り出す仕事が始まった。
どうも自分で倒した奴の分は、自分で処理しなければならないらしい。
臭い奴の耳を削ぎ落し、みぞおちを割いて魔石を取り出し、それぞれ別の革袋に入れて行く。
あんまり臭いんで、土で固めた箱を作って、革袋ごとそいつに入れて、更に蓋を被せて密閉したよ。
ついでにその中に冷気も入れておいたから、いくらかでも腐敗の進行を防げるだろう。
そう言えば、こっちの世界の新年は、どうも春分点にあるらしい。
健司のいる地球の春分は、三月の下旬ぐらいになるのだろうが、ケントの世界では1月1日が日中の長さと夜の長さが同じになるんだ。
そうしてこれから徐々に暖かくなる。
ケントの世界の一月(ひとつき)は30日で、一年は12カ月に加えて閏月の13月目がある。
閏月は、その年により違うんだが、概ね20日から23日ぐらいの日数があるようだ。
こっちの世界の秋分の日(?)は、7月半ば頃になるんだが、年によって多少変化することもある。
秋分の日は、収穫祭の日でもあるようだ。
いずれにせよ春分の日の1月1日だけは、不動で、この日が新年になり、皆一つ歳を取る。
で、今日は1月4日という事だな。
ゴブリンの群れに遭遇したために予定よりも少し遅れたが、俺達の一行は日没前にはカルヴィアの町に無事に着いた。
最初に宿の予約を取って、爺さんたちは買い出しの目星と値段交渉に行った。
俺(ケント)は、買い出し部隊で一番若いイダルさんと共に、この街にある冒険者ギルドへと向かう。
ゴブリンの群れが出た報告と討伐報酬を貰うためだ。
四人で十一匹を退治したのは、これまでの買い出し部隊で過去最高の記録らしいが、それに加えて俺(ケント)一人で二十三匹のゴブリンを退治したからな。
イダルさんの案内でギルドに行き、受付で、村を結ぶ街道でゴブリンの群れが出たことを報告し、そうしてゴブリンの耳を提示して討伐の報奨金を貰ったよ。
受付のお姉さんは、最初は俺(ケント)の持っていたゴブリンの耳とイダルさんの持っていた耳を一緒くたに計算しようとしていたが、イダルさんが説明して、きちんと俺と四人の分を仕分けしてくれた。
報奨金は、ゴブリン一匹について大銅貨2枚と決められているようだ。
一方で魔石は、冒険者ギルドのほか商業ギルドでも購入してくれるらしい。
大きさにもよるが、ゴブリンの場合は、概ね魔石一個で小銅貨5枚程度だから、余り稼ぎにはならんかもしれないな。
俺(ケント)の場合23匹分、小銅貨115枚分(大銅貨11枚と小銅貨5枚)になったから、大量に狩るとそれなりの収入にはなる。
ケントの世界の通貨は、1円玉程度の大きさの小銅貨が最小単位だ。
次いで小銅貨10枚で大銅貨なんだが、大銅貨は500円玉ぐらいの大きさで、新品であれば500円玉よりも少し厚みがある。
この大銅貨10枚で小銀貨(10円玉より少し小さいかな)、小銀貨10枚で大銀貨(多分直径が3センチ近くある)、大銀貨10枚で小金貨(大銀貨の半分くらいの直径)、小金貨10枚で大金貨(正確にはわからないが、4センチ以上の直径がある)になる。
この上に白金貨と紅白金貨が有るらしいが、庶民には縁の無い通貨だ。
大金貨10枚で白金貨、白金貨10枚で紅白金貨になるらしいぜ。
因みに、このカルヴィアの町のパン屋の店先で売っていた硬(かた)パン(丸っこいライ麦パン?)が、大銅貨一枚程度なので、大銅貨一枚が概ね二百円~四百円前後の価値と考えても良いかもしれない。
尤も、本場のライ麦パンは、日本では高い(500グラムで600円超)から、とても二百円程度では買えないよな。
因みに宿屋は、一泊食事付きで大銅貨十二枚~十六枚程度らしい。
勿論、上等な宿屋になれば大銀貨一枚(大銅貨百枚)程度が飛んでいくらしいぞ。
物価ってのは、所によって変わるから通貨の価値もよくわからないけれどな。
いずれにしろ、俺は、大銅貨57枚余りという臨時収入を得ることができたよ。
この金を貰ってすぐに、俺はギルドへの登録をお願いした。
登録の際に必要なのは、出身地(グルヌベルヌ村で可)、年齢、名前で、このほかに十分な能力が有るかどうか特別な魔道具による審査が有る。
それに合格すれば冒険者ギルドの会員になれるんだ。
審査はすぐに終えて、無事に冒険者ギルドの会員になれたぜ。
特別な魔道具というのは、犯罪歴と適性を調べる魔道具であり、犯罪歴があると魔道具の発光体が赤くブリンクするようだ。
無論、ケントに犯罪歴は無い。
この魔道具で引っ掛かる犯罪歴は、主として殺人や重傷の傷害を負わせた場合であり、盗犯も犯歴数が多い場合や盗んだ品物の価値が非常に高いような場合には引っ掛かるようだ。
然しながら、正当防衛で野盗を殺したような場合には、この魔道具は反応しないと受付のお姉さんが教えてくれたよ。
まぁ、正当防衛を認めてもらえなければ、隊商の護衛で襲撃してきた盗賊どもを討伐することもできなくなってしまうよな。
その辺をこの魔道具がどう判断しているのかについてはよくわかっていないんだが、少なくとも盗賊の討伐では反応しないらしい。
この装置の大本は、所謂アーティファクトという魔道具で、古代遺跡から見出された魔道具を元に作られたものらしく、製作者はどうも作動原理をよく知らないまま利用しているそうだ。
何とも妙な話ではあるけれど、それが事実だから仕方がない。
もう一つの機能である適性の方は、概ね被験者の保有している筋力と魔力を計測するようで、どちらも一定量に達していれば合格になるんだそうで、俺の場合は計測器具の水晶体が双方とも明るい青に煌めいていた。
因みに係の人の説明では、その煌めき度合いから筋力も魔力も普通の人以上に多いと判断しているそうだ。
という事で、日没前には何とか冒険者ギルドの冒険者になることができた。
因みに冒険者のグレードは、最低のGクラスだ。
Gクラスの冒険者は、概ね見習いと見なされている。
F若しくはEクラスで駆け出し、D若しくはCクラスで中堅、B若しくはAクラスが上級であり、更にその上にSクラスとSSクラスも制度的にはあるようだ。
俺(ケント)は、爺さんや村の人たちにひとまずの別れを告げて、買い出し部隊と一緒に村を出た。
グルヌベルヌ村を朝に出て、夕刻前にはカルヴィアに着く予定だった。
だがこういう時にはつきものなのかもしれないが、峠道で魔物に遭遇したよ。
運の悪いことに、ゴブリンの群れだった。
買い出し部隊は、三十代から五十代の男が四人、それに俺が加わって五人なんだが、ゴブリンの群れは見えるだけでも二十数匹いるし、草むらに隠れている奴もいる。
ある程度は戦える連中が買い出し部隊になっているんだが、これだけ多いと、数に押される可能性はあるな。
俺(ケント)の武術も魔法も、今まで誰にも見せてはいないんだが、危なければ俺も戦闘に加わるしかない。
むしろ、俺(ケント)が戦えることを示して、四人の負担を減らしてやらねばならないだろう。
俺(ケント)はインベントリから自作の剣を取り出した。
俺(ケント)の傍に居たマクデルス爺さんが驚いて言った。
「ケント、おめぇ、剣を持っているのか?
それにどっから出した?」
「内緒。
マック爺さん、自分の身は自分で守れるから、爺さんは自由に動いていいよ。」
「お、おう・・・。
無理して怪我すんなよ。」
マクデルス爺さんこと、マック爺さんは改めてゴブリンどもに注意を向けた。
「クギャッ、グギャッ」と言いながら、ばらばらに襲い掛かってくるゴブリンたちは、体格は小柄だが力は結構強い。
錆びた刀や、槍を持つ奴もいるが、大多数の獲物は木の棒や棍棒が多いな。
但し、草むらに隠れている奴の中には雑な造りの弓を持っている奴が居た。
俺(ケント)の時空魔法で気配察知ができるから、ゴブリンの配置が分かるんだ。
それを確認して行くうちに、三体のアーチャーらしきものを見つけたわけだ。
正確なところアーチャーなのかどうかはわからないが、遠間から弓を放たれるとこちらが危ないから早目に片づける必要があるよな。
瞬時に俺(ケント)は小型のクロスボウを取り出し、発射した。
既に矢を取り付けてあるクロスボウであり、30m程度の標的なら確実に当てられる。
そいつをとっかえひっかえ三連射して、アーチャーらしきゴブリン三匹を片付けた。
取り敢えず弓の脅威は無くなっただろう。
次いで襲い掛かってくるゴブリンを剣でなぎ倒す。
身体強化がかかっている筋力は、かなり強く、一なぎでゴブリンの胴体が剪断(せんだん)されたな。
実のところ、切った俺(ケント)の方がびっくりしてるんだが、次の奴が襲い掛かって来るんで、動きを止めているわけには行かない。
無属性魔法の身体強化は、動体視力にも影響を与えるのかもしれん。
ゴブリンの動きが妙に遅いんだ。
だが、そんなことに気を使っていられないから検証は後回しで、とにかくゴブリンを叩っ切る。
俺(ケント)の目の前でゴブリンが剪断されると、青い血が噴き出るんだが、それを浴びないよう避けつつ、次の獲物を切る。
そんなに時間は立っていないと思うんだが、俺(ケント)一人で20匹ぐらいを叩き切った時点で戦闘は終わっていたな。
村の買い出し部隊の四人が目を丸くして俺を見ていた。
彼らが一人当たり精々二匹から三匹程度を討伐しているうちに、俺(ケント)が残りのほとんどをやっつけたからだろうと思う。
正直なところ、俺(ケント)も身体強化をしていて戦闘に夢中だったから、村人の方を見ていなかったから気づかなかったんだ。
まぁ、それでも成人になったばかりの俺(ケント)が、この中では一番強いという事が判明したよ。
これまでも樵の手伝いをしている時に獣に鉢合わせしたことはあるが、その時はギラン爺さんが立ち向かって行ったから、俺(ケント)の出番は無かったんだ。
結果として、俺(ケント)の造った剣もなかなかのものだったな。
ゴブリンが持っていたなまくらの錆びだらけの剣なんぞは当たるを幸いに両断していたからな。
俺(ケント)の鍛冶の腕もそれなりなんじゃないかな。
名人には程遠くても、スキルが生えてれば相応の能力はありそうだ。
マック爺さんに教えられて、ゴブリンの討伐証拠で右の耳を削いでゆき、同時にゴブリンの体内から魔石を取り出す仕事が始まった。
どうも自分で倒した奴の分は、自分で処理しなければならないらしい。
臭い奴の耳を削ぎ落し、みぞおちを割いて魔石を取り出し、それぞれ別の革袋に入れて行く。
あんまり臭いんで、土で固めた箱を作って、革袋ごとそいつに入れて、更に蓋を被せて密閉したよ。
ついでにその中に冷気も入れておいたから、いくらかでも腐敗の進行を防げるだろう。
そう言えば、こっちの世界の新年は、どうも春分点にあるらしい。
健司のいる地球の春分は、三月の下旬ぐらいになるのだろうが、ケントの世界では1月1日が日中の長さと夜の長さが同じになるんだ。
そうしてこれから徐々に暖かくなる。
ケントの世界の一月(ひとつき)は30日で、一年は12カ月に加えて閏月の13月目がある。
閏月は、その年により違うんだが、概ね20日から23日ぐらいの日数があるようだ。
こっちの世界の秋分の日(?)は、7月半ば頃になるんだが、年によって多少変化することもある。
秋分の日は、収穫祭の日でもあるようだ。
いずれにせよ春分の日の1月1日だけは、不動で、この日が新年になり、皆一つ歳を取る。
で、今日は1月4日という事だな。
ゴブリンの群れに遭遇したために予定よりも少し遅れたが、俺達の一行は日没前にはカルヴィアの町に無事に着いた。
最初に宿の予約を取って、爺さんたちは買い出しの目星と値段交渉に行った。
俺(ケント)は、買い出し部隊で一番若いイダルさんと共に、この街にある冒険者ギルドへと向かう。
ゴブリンの群れが出た報告と討伐報酬を貰うためだ。
四人で十一匹を退治したのは、これまでの買い出し部隊で過去最高の記録らしいが、それに加えて俺(ケント)一人で二十三匹のゴブリンを退治したからな。
イダルさんの案内でギルドに行き、受付で、村を結ぶ街道でゴブリンの群れが出たことを報告し、そうしてゴブリンの耳を提示して討伐の報奨金を貰ったよ。
受付のお姉さんは、最初は俺(ケント)の持っていたゴブリンの耳とイダルさんの持っていた耳を一緒くたに計算しようとしていたが、イダルさんが説明して、きちんと俺と四人の分を仕分けしてくれた。
報奨金は、ゴブリン一匹について大銅貨2枚と決められているようだ。
一方で魔石は、冒険者ギルドのほか商業ギルドでも購入してくれるらしい。
大きさにもよるが、ゴブリンの場合は、概ね魔石一個で小銅貨5枚程度だから、余り稼ぎにはならんかもしれないな。
俺(ケント)の場合23匹分、小銅貨115枚分(大銅貨11枚と小銅貨5枚)になったから、大量に狩るとそれなりの収入にはなる。
ケントの世界の通貨は、1円玉程度の大きさの小銅貨が最小単位だ。
次いで小銅貨10枚で大銅貨なんだが、大銅貨は500円玉ぐらいの大きさで、新品であれば500円玉よりも少し厚みがある。
この大銅貨10枚で小銀貨(10円玉より少し小さいかな)、小銀貨10枚で大銀貨(多分直径が3センチ近くある)、大銀貨10枚で小金貨(大銀貨の半分くらいの直径)、小金貨10枚で大金貨(正確にはわからないが、4センチ以上の直径がある)になる。
この上に白金貨と紅白金貨が有るらしいが、庶民には縁の無い通貨だ。
大金貨10枚で白金貨、白金貨10枚で紅白金貨になるらしいぜ。
因みに、このカルヴィアの町のパン屋の店先で売っていた硬(かた)パン(丸っこいライ麦パン?)が、大銅貨一枚程度なので、大銅貨一枚が概ね二百円~四百円前後の価値と考えても良いかもしれない。
尤も、本場のライ麦パンは、日本では高い(500グラムで600円超)から、とても二百円程度では買えないよな。
因みに宿屋は、一泊食事付きで大銅貨十二枚~十六枚程度らしい。
勿論、上等な宿屋になれば大銀貨一枚(大銅貨百枚)程度が飛んでいくらしいぞ。
物価ってのは、所によって変わるから通貨の価値もよくわからないけれどな。
いずれにしろ、俺は、大銅貨57枚余りという臨時収入を得ることができたよ。
この金を貰ってすぐに、俺はギルドへの登録をお願いした。
登録の際に必要なのは、出身地(グルヌベルヌ村で可)、年齢、名前で、このほかに十分な能力が有るかどうか特別な魔道具による審査が有る。
それに合格すれば冒険者ギルドの会員になれるんだ。
審査はすぐに終えて、無事に冒険者ギルドの会員になれたぜ。
特別な魔道具というのは、犯罪歴と適性を調べる魔道具であり、犯罪歴があると魔道具の発光体が赤くブリンクするようだ。
無論、ケントに犯罪歴は無い。
この魔道具で引っ掛かる犯罪歴は、主として殺人や重傷の傷害を負わせた場合であり、盗犯も犯歴数が多い場合や盗んだ品物の価値が非常に高いような場合には引っ掛かるようだ。
然しながら、正当防衛で野盗を殺したような場合には、この魔道具は反応しないと受付のお姉さんが教えてくれたよ。
まぁ、正当防衛を認めてもらえなければ、隊商の護衛で襲撃してきた盗賊どもを討伐することもできなくなってしまうよな。
その辺をこの魔道具がどう判断しているのかについてはよくわかっていないんだが、少なくとも盗賊の討伐では反応しないらしい。
この装置の大本は、所謂アーティファクトという魔道具で、古代遺跡から見出された魔道具を元に作られたものらしく、製作者はどうも作動原理をよく知らないまま利用しているそうだ。
何とも妙な話ではあるけれど、それが事実だから仕方がない。
もう一つの機能である適性の方は、概ね被験者の保有している筋力と魔力を計測するようで、どちらも一定量に達していれば合格になるんだそうで、俺の場合は計測器具の水晶体が双方とも明るい青に煌めいていた。
因みに係の人の説明では、その煌めき度合いから筋力も魔力も普通の人以上に多いと判断しているそうだ。
という事で、日没前には何とか冒険者ギルドの冒険者になることができた。
因みに冒険者のグレードは、最低のGクラスだ。
Gクラスの冒険者は、概ね見習いと見なされている。
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