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4.浮気
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『ああっ、あ、サトシ⋯、もっとぉ⋯』
「――は?」
イヤフォン越しに、いつもの壱琉の可愛い声が聞こえてくる。しかしその声が自分ではない、別の男の名前を呼ぶのに、雅は一瞬何が起きたのか把握出来なかった。
『かわいいな、イチル。ほら⋯』
『んああっ』
「っ⋯!」
誰だこいつは!?
雅はガンッとハンドルを叩いた。
浮気?自分というものがありながら、壱琉がそんなことをするとは信じ難いが、現にこうして他の男との情事が聞こえてくるのだから間違いない。
雅はイヤフォンを外してエンジンをかけた。すぐさま壱琉の部屋へ引き返す。今すぐ乗り込んでやろう。2人が何をしていようが知ったことか。
運転しながら、どうして、という疑問が浮かぶ。
飽きられてしまったのだろうか。そんな素振りはなかったけれど。さっきだって、いつもと何も変わらなかった。
それとも、雅が帰った後に1人でするだけでは物足りなくなってしまったのだろうか。それならそうと言ってくれれば。
5分ほどですぐに壱琉の住むマンションに着くと、部屋へ行き合鍵で鍵を開ける。
玄関には壱琉の靴しかなかった。ご丁寧にわざわざしまっているらしい。しかし無駄なことだ。今から隠れる時間など与えない。
雅はまっすぐ寝室へ向かい、躊躇なくドアを開けた。
「壱琉!」
その瞬間、一際大きな嬌声が雅の耳に飛び込んできた。それと同時に、
「あれ? 雅、どうしたの? 忘れ物?」
呑気な壱琉の声が返ってくる。
壱琉は、ベッドにうつ伏せで寝転がり、スマホをいじっていた。部屋には他に誰もいない。
「⋯⋯え?」
『ああんっ、サトシっ、サトシぃ』
『イチル⋯、っ!』
ヘッドボードに置かれたCDデッキから、壱琉の声にそっくりの嬌声が流れている。
「――なに、え?」
思考が停止し、雅はパチパチと瞬きをして入口に立ち尽くした。
それを見た壱琉は、ゆっくりと半身を起こすと、CDを止めてくすっと雅に微笑んでみせた。
「――は?」
イヤフォン越しに、いつもの壱琉の可愛い声が聞こえてくる。しかしその声が自分ではない、別の男の名前を呼ぶのに、雅は一瞬何が起きたのか把握出来なかった。
『かわいいな、イチル。ほら⋯』
『んああっ』
「っ⋯!」
誰だこいつは!?
雅はガンッとハンドルを叩いた。
浮気?自分というものがありながら、壱琉がそんなことをするとは信じ難いが、現にこうして他の男との情事が聞こえてくるのだから間違いない。
雅はイヤフォンを外してエンジンをかけた。すぐさま壱琉の部屋へ引き返す。今すぐ乗り込んでやろう。2人が何をしていようが知ったことか。
運転しながら、どうして、という疑問が浮かぶ。
飽きられてしまったのだろうか。そんな素振りはなかったけれど。さっきだって、いつもと何も変わらなかった。
それとも、雅が帰った後に1人でするだけでは物足りなくなってしまったのだろうか。それならそうと言ってくれれば。
5分ほどですぐに壱琉の住むマンションに着くと、部屋へ行き合鍵で鍵を開ける。
玄関には壱琉の靴しかなかった。ご丁寧にわざわざしまっているらしい。しかし無駄なことだ。今から隠れる時間など与えない。
雅はまっすぐ寝室へ向かい、躊躇なくドアを開けた。
「壱琉!」
その瞬間、一際大きな嬌声が雅の耳に飛び込んできた。それと同時に、
「あれ? 雅、どうしたの? 忘れ物?」
呑気な壱琉の声が返ってくる。
壱琉は、ベッドにうつ伏せで寝転がり、スマホをいじっていた。部屋には他に誰もいない。
「⋯⋯え?」
『ああんっ、サトシっ、サトシぃ』
『イチル⋯、っ!』
ヘッドボードに置かれたCDデッキから、壱琉の声にそっくりの嬌声が流れている。
「――なに、え?」
思考が停止し、雅はパチパチと瞬きをして入口に立ち尽くした。
それを見た壱琉は、ゆっくりと半身を起こすと、CDを止めてくすっと雅に微笑んでみせた。
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