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3.仕返し
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見つけてしまった。
壱琉は、ヘッドボードに隠すように付けられていたそれを見て、しばらく呆然としていた。
盗聴器だ。
いったい誰がこんなものを、と思っても、心当たりは1人しかいない。この部屋には、彼以外入ったことがないのだから。
もちろん、自分が知らないうちに誰かが家に侵入したなんてことも100%ないとは言い切れないが、空き巣に入られた形跡があったこともないし、ストーカー被害にあったこともない。となれば、やっぱり1番怪しいのは雅だった。
不思議と怒りは沸かなかった。戸惑いはあるが、これで気持ちが冷めたかとか嫌いになったかとか聞かれれば、当然否だ。
それよりも何よりも恥ずかしいという気持ちが勝る。
こんなところに付けられていたということは、雅が帰った後に、自分が一人でしていたのも聞かれていたのだろう。というかそれが目的だったに違いない。
いつから? どうしてバレたのか?
壱琉は枕に突っ伏して足をバタバタさせる。
あれを聞かれていたなんて、恥ずかしすぎて死にそうだ。
しばらくそうして悶えた後、ふと、これは怒ってもいいことだよなと思い至る。
恐らくは、雅の名前を呼びながら自慰をしていたのを聞いて、可愛いとか言いながら悶えていたんだろうが、それにしたって勝手に盗聴器を付けるなんて、下手をしたら犯罪だ。いくら恋人でもやってはいけないこともあるだろう。
とはいえ、雅と喧嘩をしたいわけではないので、何か、ちょっとした意趣返しというか、仕返し的なものはないかと、壱琉は考えを巡らせる。
「そうだ⋯!」
仕返しの方法を思いついた壱琉は、さっそくスマホを取り出し通販サイトを開くと、あるものを購入してくすっと笑った。
✦✦✦
「じゃあ、また週末な」
「うん」
いつものように壱琉の部屋でエッチをした後、雅はそう言って帰っていった。すぐに車のエンジン音が聞こえてくる。おそらくいつも、この後どこかの駐車場で盗聴器からの音声を聞いていたに違いない。
壱琉はベッドから起き上がると、ベッドの下に隠しておいたあるものを取り出した。今日は、先日購入したこれで、雅にちょっとした仕返しをしてやるつもりだった。
購入したのはCDだ。最近人気らしいBL漫画のドラマCD。
この前腐女子である妹から、壱琉に声がそっくりな声優がいるという話を聞かされた。しかもこの漫画は、その声優さんの役名がイチルなのだ。妹からは、せっかく好きなシリーズなのに名前も同じで声もそっくりでは、兄の顔がチラついてキモくて聞けないと怒られたが。とんだとばっちりだ。
とはいえ、今回の件に関しては情報をくれた妹に感謝している。自分でも聞いてみたけれど、確かにそっくりだった。
このCDを、これからここで流してみようと思う。盗聴している雅には、壱琉が他の男と寝ているように聞こえるだろう。独占欲の強い雅のことだ。他の男にとられたとなれば、真っ青になって飛んで戻ってくるに違いない。
壱琉はニヤッと笑みを浮かべると、CDをデッキにセットした。
壱琉は、ヘッドボードに隠すように付けられていたそれを見て、しばらく呆然としていた。
盗聴器だ。
いったい誰がこんなものを、と思っても、心当たりは1人しかいない。この部屋には、彼以外入ったことがないのだから。
もちろん、自分が知らないうちに誰かが家に侵入したなんてことも100%ないとは言い切れないが、空き巣に入られた形跡があったこともないし、ストーカー被害にあったこともない。となれば、やっぱり1番怪しいのは雅だった。
不思議と怒りは沸かなかった。戸惑いはあるが、これで気持ちが冷めたかとか嫌いになったかとか聞かれれば、当然否だ。
それよりも何よりも恥ずかしいという気持ちが勝る。
こんなところに付けられていたということは、雅が帰った後に、自分が一人でしていたのも聞かれていたのだろう。というかそれが目的だったに違いない。
いつから? どうしてバレたのか?
壱琉は枕に突っ伏して足をバタバタさせる。
あれを聞かれていたなんて、恥ずかしすぎて死にそうだ。
しばらくそうして悶えた後、ふと、これは怒ってもいいことだよなと思い至る。
恐らくは、雅の名前を呼びながら自慰をしていたのを聞いて、可愛いとか言いながら悶えていたんだろうが、それにしたって勝手に盗聴器を付けるなんて、下手をしたら犯罪だ。いくら恋人でもやってはいけないこともあるだろう。
とはいえ、雅と喧嘩をしたいわけではないので、何か、ちょっとした意趣返しというか、仕返し的なものはないかと、壱琉は考えを巡らせる。
「そうだ⋯!」
仕返しの方法を思いついた壱琉は、さっそくスマホを取り出し通販サイトを開くと、あるものを購入してくすっと笑った。
✦✦✦
「じゃあ、また週末な」
「うん」
いつものように壱琉の部屋でエッチをした後、雅はそう言って帰っていった。すぐに車のエンジン音が聞こえてくる。おそらくいつも、この後どこかの駐車場で盗聴器からの音声を聞いていたに違いない。
壱琉はベッドから起き上がると、ベッドの下に隠しておいたあるものを取り出した。今日は、先日購入したこれで、雅にちょっとした仕返しをしてやるつもりだった。
購入したのはCDだ。最近人気らしいBL漫画のドラマCD。
この前腐女子である妹から、壱琉に声がそっくりな声優がいるという話を聞かされた。しかもこの漫画は、その声優さんの役名がイチルなのだ。妹からは、せっかく好きなシリーズなのに名前も同じで声もそっくりでは、兄の顔がチラついてキモくて聞けないと怒られたが。とんだとばっちりだ。
とはいえ、今回の件に関しては情報をくれた妹に感謝している。自分でも聞いてみたけれど、確かにそっくりだった。
このCDを、これからここで流してみようと思う。盗聴している雅には、壱琉が他の男と寝ているように聞こえるだろう。独占欲の強い雅のことだ。他の男にとられたとなれば、真っ青になって飛んで戻ってくるに違いない。
壱琉はニヤッと笑みを浮かべると、CDをデッキにセットした。
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