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第3章・勘違いされたのは最も公平で善意の貴族令嬢。
06もう一つだけ。
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とてもおモテになる……彼女が手玉に取っている……?
いや、違う。
彼女の実家に出資をした貴族は十中八九、技術発展推進派の貴族だろう。
そして、彼女を取り巻く貴族家も同じくその派閥。
とりあえず、私はもう彼女が異世界転生者であるということを前提に動くことにいたします。
違ったのなら後で謝ります。
異世界転生者と間違えた場合の罰則規定はないですし。
そして、これは非常にまずい。
彼女の能力や知識や才覚を貴族家が狙っていると思われる。
異世界転生者と知ってのことなのか……、異世界転生保護法まで知っていた場合、知らないことにして囲い込めば言い逃れが出来る可能性がある。
判例が無さすぎて改訂されないので正直、穴があるというか裁定が難しいものなのです。
彼女へ危害を加えず新しい靴の開発を手伝って貰う程度ならば異世界転生者保護法に反すること以外、正直何も問題はない。
でも、政治的な思惑を考えるとそれだけで終わるとは思えないのです。
この国は現在、ここ数十年の政策が講じて食料自給と貿易によって国民の食糧事情がほぼ解決し、飢えがなくなりました。
それにより人口の増加が見込まれるので、増えた民が疫病や災害で減らさぬように医療面や福祉関連に力を入れることになりました。
ローズ嬢のローゼンバーグ公爵家が主導で、第二王子との婚約もこの政策を磐石にする為のものと聞き及んでおります。
ですがこの流れに、一部貴族、特に技術発展推進派の貴族が納得しておらず。
次の時代を技術革新による産業革命としたい貴族はそれなりに存在します。
先日もローズ嬢がそういった流れでトラブルに巻き込まれたと噂で聞きました。
そういった技術革新で次の時代を狙う貴族にとって異世界転生者の方は強すぎる札になる。
現状の流れを打破するほどに、圧倒的な技術革新が生まれる可能性があるのです。
まあ、公平のローグ侯爵家である私としては、皆に認められ協議された政策であれば特に言うことはありません。
しかし一部貴族が利権のために異世界転生者を利用し、裏から画策するのは公平性に欠ける。
裏ではなく明るみに出して、国家としてトラブルから異世界転生者を守りながら、協議の中でその知識の有用性を探るために。
異世界転生者保護法が存在しているのですから。
「…………さて、じゃあ私はどうする……?」
私は自問を呟く。
大前提として、ローグ侯爵家の人間である私は異世界転生者保護法に従う以外の選択肢はありません。
ただ私はたまたまエリィ・パール女史が異世界転生者だと気づき、たまたま異世界転生保護法を知っていただけのティーンエイジャーでしかない。
捜査機関に通報を行う……?
ですがほぼ間違いないという状況なだけで、エリィ女史が異世界転生者というのは推定でしかありません。
立証責任はありませんが、この案件には貴族家が絡む。
捜査機関を動かすにはある程度の確証がなければ、踏み込んだ捜査許可が下りるまで時間がかかることが考えられます。
どうにかもう少し確証を……、彼女に直接問う? しかしどうにも私は交渉や対話が得意ではないようですし……、何故か感じが悪く伝わってしまいます。そもそも私に捜査権はないのです。
取り巻く貴族子息たちに圧力をかける? いえ、そういった腹芸は出来ない……、根本的に私は普通の侯爵令嬢なのです。箱入りで世間知らず、こういったトラブルは得意ではないし小心者なのです。
私にあるのはせいぜい法に関する知識と、優秀過ぎる執事が一人……いや?
もう一つだけありました。
いや、違う。
彼女の実家に出資をした貴族は十中八九、技術発展推進派の貴族だろう。
そして、彼女を取り巻く貴族家も同じくその派閥。
とりあえず、私はもう彼女が異世界転生者であるということを前提に動くことにいたします。
違ったのなら後で謝ります。
異世界転生者と間違えた場合の罰則規定はないですし。
そして、これは非常にまずい。
彼女の能力や知識や才覚を貴族家が狙っていると思われる。
異世界転生者と知ってのことなのか……、異世界転生保護法まで知っていた場合、知らないことにして囲い込めば言い逃れが出来る可能性がある。
判例が無さすぎて改訂されないので正直、穴があるというか裁定が難しいものなのです。
彼女へ危害を加えず新しい靴の開発を手伝って貰う程度ならば異世界転生者保護法に反すること以外、正直何も問題はない。
でも、政治的な思惑を考えるとそれだけで終わるとは思えないのです。
この国は現在、ここ数十年の政策が講じて食料自給と貿易によって国民の食糧事情がほぼ解決し、飢えがなくなりました。
それにより人口の増加が見込まれるので、増えた民が疫病や災害で減らさぬように医療面や福祉関連に力を入れることになりました。
ローズ嬢のローゼンバーグ公爵家が主導で、第二王子との婚約もこの政策を磐石にする為のものと聞き及んでおります。
ですがこの流れに、一部貴族、特に技術発展推進派の貴族が納得しておらず。
次の時代を技術革新による産業革命としたい貴族はそれなりに存在します。
先日もローズ嬢がそういった流れでトラブルに巻き込まれたと噂で聞きました。
そういった技術革新で次の時代を狙う貴族にとって異世界転生者の方は強すぎる札になる。
現状の流れを打破するほどに、圧倒的な技術革新が生まれる可能性があるのです。
まあ、公平のローグ侯爵家である私としては、皆に認められ協議された政策であれば特に言うことはありません。
しかし一部貴族が利権のために異世界転生者を利用し、裏から画策するのは公平性に欠ける。
裏ではなく明るみに出して、国家としてトラブルから異世界転生者を守りながら、協議の中でその知識の有用性を探るために。
異世界転生者保護法が存在しているのですから。
「…………さて、じゃあ私はどうする……?」
私は自問を呟く。
大前提として、ローグ侯爵家の人間である私は異世界転生者保護法に従う以外の選択肢はありません。
ただ私はたまたまエリィ・パール女史が異世界転生者だと気づき、たまたま異世界転生保護法を知っていただけのティーンエイジャーでしかない。
捜査機関に通報を行う……?
ですがほぼ間違いないという状況なだけで、エリィ女史が異世界転生者というのは推定でしかありません。
立証責任はありませんが、この案件には貴族家が絡む。
捜査機関を動かすにはある程度の確証がなければ、踏み込んだ捜査許可が下りるまで時間がかかることが考えられます。
どうにかもう少し確証を……、彼女に直接問う? しかしどうにも私は交渉や対話が得意ではないようですし……、何故か感じが悪く伝わってしまいます。そもそも私に捜査権はないのです。
取り巻く貴族子息たちに圧力をかける? いえ、そういった腹芸は出来ない……、根本的に私は普通の侯爵令嬢なのです。箱入りで世間知らず、こういったトラブルは得意ではないし小心者なのです。
私にあるのはせいぜい法に関する知識と、優秀過ぎる執事が一人……いや?
もう一つだけありました。
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