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第4章・立ち上がったのは史上最凶の悪役令嬢。
11脅威はクロガネ・ノワール。
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鋭く厳しい突きの隙間に入身で間合いを潰し。
短刀取り、つまり五教の要領で短槍を掴み上げる。
そのまま杖術の操作で足掛けを狙うが、騎士は短槍ごと僕を弾き飛ばすように押し出す。
短槍に居着かないように離し、力の流れを下に逃がすように受け身で転がりつつ立ち上がりと同時に腕を掴む。
接触した点に力を収束、つまり四教の形で腕から崩そうとしたところで騎士は反応し振り払おうと腕を振る。
その反応に追従するように回転受け身で、伸びた腕に腕ひしぎで極める。
「いぎ……っ、がああああ――――――ッ!」
逆肘で腕をへし折る寸前に騎士は雄叫びを上げて、単純な腕力とは違う何か特殊な身体操作から生まれる流れを無視するような過剰な力で、固めた腕を無理矢理曲げて引き寄せ僕の腹に膝蹴りを刺す。
「ぐっぼ……っ」
臓物まで突き抜ける膝蹴りを喰らい、僕は飛ばされる。
飛ばされた勢いを受け身で流し、呼吸にてダメージを抜こうとするがかなり効いた。
脂汗が滲むが心は平らに、再び僕は騎士に半身で構える。
「…………驚いた。貴様は私の師、ヴァイオレット・キッドマンに匹敵する。まさかここまでの使い手だったとは……、私の仮説は間違っていたのかもしれない。異常なのはジュリエッタ・ディアマンテではなく、貴様の強さだったようだな」
逆肘で壊されかけた腕のダメージを確認するように手指を握っては広げながら、騎士はそんなことを言う。
「……思考更新、脅威の順位を変更する。脅威はクロガネ・ノワール、貴様だ」
ぽつりと、独り言のように漏らして騎士は静かに構える。
「殺す気でいく、捕らえたいから死ぬなよ。私は既に師を超えている」
そう言って騎士は肌がひりつく程の殺気を帯びて。
消えた。
同時に目の前に短槍の刃が現れる。
咄嗟に躱すが頬に掠め、髪を切り飛ばした。
はっええ、なんだこいつマジかよ、捕らえてえなら殺す気でくるな馬鹿、死んでしまうぞ。
反射的に短槍に追従するように間合いを詰めながら、短槍を振らせないように懐に入る。
が、踏み込みに合わせて前脚の膝を蹴られる。
蹴り抜かれる寸前で重心を後ろ脚に移して流す。あっぶねえ、今の蹴り抜かれていたら膝からへし折られていた。
蹴られた勢いのまま前脚を下げて、構えを反転、そのまま回転入身で短槍を掴む。
掴んだ瞬間に、重さが消える。またも手放された。
やはりこいつは武器に固執しない、執着しなさすぎる。強みではあるが武器を奪われた事実には変わりない。
このアドバンテージを活かす為、奪い返されないようにこの短槍を使った杖術メインの戦法に移行する。
距離を離して、僕が短槍を構える。
「欲しいならくれてやる、大事に使え」
騎士は構えた僕に対して、素手で構え直して飛び込んでくる。
脚にかけて掬って転ばそうと低く突いて迎え討とうとするが、軸ごとずらしながら鋭く間合いを潰される。
短槍を回して遮蔽にしながら下がろうとしたが、細かく右脇腹、左頬、水月と叩かれ、金的に蹴りが来そうになったのを辛うじて短槍で防いで距離をとる。
痛え……っ、くっそ、残るように打ってきやがる流しきれねえじゃねえか。
あー、わかった。
こいつ短槍使いじゃあない。
なんの武術かまではわからないけど、本来こいつは無手の達人なんだ。
人間は武器を持っていた方が単純に強くなる。
だから短槍を奪われたこいつは、さっきより相対的には弱くなってなきゃならねえ。
でもこいつは素手の方が練度が高い、武器の強みが引かれても素手が弱みにならないくらいに何かの達人なんだ。
くっそ、だったら僕も素手で相手をしたい。
杖術 は一番得意なものでもない、まだ無手同士の方が接触が生まれるのでまだ噛み合うと思う。
でもこんな化物相手に素手で立ち向かえるように僕は出来ちゃあいない。
故に。
粗く短槍を振って、僕は自ら後ろに飛んで。
「やっぱりいらねえよっ!」
上ずりながらそう叫んで、短槍を騎士に向かってぶん投げる。
短刀取り、つまり五教の要領で短槍を掴み上げる。
そのまま杖術の操作で足掛けを狙うが、騎士は短槍ごと僕を弾き飛ばすように押し出す。
短槍に居着かないように離し、力の流れを下に逃がすように受け身で転がりつつ立ち上がりと同時に腕を掴む。
接触した点に力を収束、つまり四教の形で腕から崩そうとしたところで騎士は反応し振り払おうと腕を振る。
その反応に追従するように回転受け身で、伸びた腕に腕ひしぎで極める。
「いぎ……っ、がああああ――――――ッ!」
逆肘で腕をへし折る寸前に騎士は雄叫びを上げて、単純な腕力とは違う何か特殊な身体操作から生まれる流れを無視するような過剰な力で、固めた腕を無理矢理曲げて引き寄せ僕の腹に膝蹴りを刺す。
「ぐっぼ……っ」
臓物まで突き抜ける膝蹴りを喰らい、僕は飛ばされる。
飛ばされた勢いを受け身で流し、呼吸にてダメージを抜こうとするがかなり効いた。
脂汗が滲むが心は平らに、再び僕は騎士に半身で構える。
「…………驚いた。貴様は私の師、ヴァイオレット・キッドマンに匹敵する。まさかここまでの使い手だったとは……、私の仮説は間違っていたのかもしれない。異常なのはジュリエッタ・ディアマンテではなく、貴様の強さだったようだな」
逆肘で壊されかけた腕のダメージを確認するように手指を握っては広げながら、騎士はそんなことを言う。
「……思考更新、脅威の順位を変更する。脅威はクロガネ・ノワール、貴様だ」
ぽつりと、独り言のように漏らして騎士は静かに構える。
「殺す気でいく、捕らえたいから死ぬなよ。私は既に師を超えている」
そう言って騎士は肌がひりつく程の殺気を帯びて。
消えた。
同時に目の前に短槍の刃が現れる。
咄嗟に躱すが頬に掠め、髪を切り飛ばした。
はっええ、なんだこいつマジかよ、捕らえてえなら殺す気でくるな馬鹿、死んでしまうぞ。
反射的に短槍に追従するように間合いを詰めながら、短槍を振らせないように懐に入る。
が、踏み込みに合わせて前脚の膝を蹴られる。
蹴り抜かれる寸前で重心を後ろ脚に移して流す。あっぶねえ、今の蹴り抜かれていたら膝からへし折られていた。
蹴られた勢いのまま前脚を下げて、構えを反転、そのまま回転入身で短槍を掴む。
掴んだ瞬間に、重さが消える。またも手放された。
やはりこいつは武器に固執しない、執着しなさすぎる。強みではあるが武器を奪われた事実には変わりない。
このアドバンテージを活かす為、奪い返されないようにこの短槍を使った杖術メインの戦法に移行する。
距離を離して、僕が短槍を構える。
「欲しいならくれてやる、大事に使え」
騎士は構えた僕に対して、素手で構え直して飛び込んでくる。
脚にかけて掬って転ばそうと低く突いて迎え討とうとするが、軸ごとずらしながら鋭く間合いを潰される。
短槍を回して遮蔽にしながら下がろうとしたが、細かく右脇腹、左頬、水月と叩かれ、金的に蹴りが来そうになったのを辛うじて短槍で防いで距離をとる。
痛え……っ、くっそ、残るように打ってきやがる流しきれねえじゃねえか。
あー、わかった。
こいつ短槍使いじゃあない。
なんの武術かまではわからないけど、本来こいつは無手の達人なんだ。
人間は武器を持っていた方が単純に強くなる。
だから短槍を奪われたこいつは、さっきより相対的には弱くなってなきゃならねえ。
でもこいつは素手の方が練度が高い、武器の強みが引かれても素手が弱みにならないくらいに何かの達人なんだ。
くっそ、だったら僕も素手で相手をしたい。
杖術 は一番得意なものでもない、まだ無手同士の方が接触が生まれるのでまだ噛み合うと思う。
でもこんな化物相手に素手で立ち向かえるように僕は出来ちゃあいない。
故に。
粗く短槍を振って、僕は自ら後ろに飛んで。
「やっぱりいらねえよっ!」
上ずりながらそう叫んで、短槍を騎士に向かってぶん投げる。
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