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第7章・ただひとつの仕事をしただけの原作者。
17字がきたなくてごめんなさい。
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そこから私はすっかりノンプリⅡのことは忘れていた。
仕事は他にもあったし、まさかの【芳しく舞い踊るシリーズ】がアニメ化された。しかも超人気アニメ制作会社でのアニメ化でなかなかの大ヒット。増刷がかかって、かなり忙しくなった。
さらに、同アニメ制作会社で十五年以上前のデビュー作【不思議を喰らう少女は現実に胃が凭れる】のアニメ映画化がまさかまさかで決まったり。高崎はRPG【猫スライム冒険譚シリーズ】が結構人気になって忙しくなったり。渋谷が人気声優と結婚して離婚したり。
その間にハルちゃんは二回くらい現れて、夏海と遊んで消えて。
ノンプリⅡ発売から、あっという間に四年が経ち。
夏海は十歳になった。
世の中は大流行中の感染症で、学校も休みになったりして在宅勤務が増えていた頃。
出版社からファンレターが届いた。
ダンボールいっぱいとかじゃないけど【芳しく舞い踊るシリーズ】と【不思議を喰らう少女~】のアニメ化でかなり増えた。とはいえSNSもあるしメールもあるから手書きのファンレターなんてのはかなり珍しい。
手書きのものは熱意が高いものが多い。めちゃくちゃ励みになる。
ありがたく読ませて貰っていると。
一通、気になる手紙があった。
ギリギリ読めるくらいの、大きく震えて乱れた文字。
子供が書いた……いや、どうやら違うみたいだ。
内容はアニメ化した【芳しく舞い踊るシリーズ】でも【不思議を喰らう少女~】でもなく。
ノンプリについてのものだった。
凄いなノンプリに関するお手紙なんて久しぶり過ぎる、だってノンプリってもう十三年くらい前のゲームだ。夏海も生まれてないしまだ結婚もしてない頃。
ノンプリⅡの時に何通か関係ない私の元にもご意見メールが届いたけど……それももう五年くらい前の話だ。
なんかノンプリ自体は根強いファンが未だにイベントとかやってたりするってのは聞いてたけど……いや読もう。なんかこの手紙には熱がある。
以下、手紙の内容。
拝啓、YuKiCoさま。
私は高校生の時にノンプリをプレイしてからあなたのファンです。
ゲームはもちろんノベライズもコミカライズも全部、ドラマCDもOVAも見ています。
かんしゃを伝えたくて、お手紙を送らせていただきました。
字がきたなくてごめんなさい。画すうが多い字も書けません。
私は、去年くもまっ下出血でたおれました。
死にはしませんでしたが、半身にまひがのこりました。
しゅみのフィギュア造形もできなくなって。
仕事も失って彼氏にもふられました。
正直、死んでしまえたほうが良かったんじゃないかとも思いましたが私は立ち上がれました。
ノンプリがあったからです。
とくにイザベラの存在が大きかった。
どんな困なんからも、どれだけ辛くても立ち上がったイザベラが私の中にいたから私も立ち上がることができました。
今はリハビリをして一人で歩けるようになることを目ひょうにしています。
まだこんな字しか書けませんが、資格の勉強も始めました。
なんとか生きていきます。
本当にノンプリで、私は生きることができました。
高崎プロデューサーや柿山しぶたろう先生にも、あわせてかんしゃを伝えたいです。
ありがとうございます。
皆さんのますますのごかつやくをお祈り申し上げます。
「…………これ、すごいな」
私は手紙を読んで、声を漏らす。
仕事は他にもあったし、まさかの【芳しく舞い踊るシリーズ】がアニメ化された。しかも超人気アニメ制作会社でのアニメ化でなかなかの大ヒット。増刷がかかって、かなり忙しくなった。
さらに、同アニメ制作会社で十五年以上前のデビュー作【不思議を喰らう少女は現実に胃が凭れる】のアニメ映画化がまさかまさかで決まったり。高崎はRPG【猫スライム冒険譚シリーズ】が結構人気になって忙しくなったり。渋谷が人気声優と結婚して離婚したり。
その間にハルちゃんは二回くらい現れて、夏海と遊んで消えて。
ノンプリⅡ発売から、あっという間に四年が経ち。
夏海は十歳になった。
世の中は大流行中の感染症で、学校も休みになったりして在宅勤務が増えていた頃。
出版社からファンレターが届いた。
ダンボールいっぱいとかじゃないけど【芳しく舞い踊るシリーズ】と【不思議を喰らう少女~】のアニメ化でかなり増えた。とはいえSNSもあるしメールもあるから手書きのファンレターなんてのはかなり珍しい。
手書きのものは熱意が高いものが多い。めちゃくちゃ励みになる。
ありがたく読ませて貰っていると。
一通、気になる手紙があった。
ギリギリ読めるくらいの、大きく震えて乱れた文字。
子供が書いた……いや、どうやら違うみたいだ。
内容はアニメ化した【芳しく舞い踊るシリーズ】でも【不思議を喰らう少女~】でもなく。
ノンプリについてのものだった。
凄いなノンプリに関するお手紙なんて久しぶり過ぎる、だってノンプリってもう十三年くらい前のゲームだ。夏海も生まれてないしまだ結婚もしてない頃。
ノンプリⅡの時に何通か関係ない私の元にもご意見メールが届いたけど……それももう五年くらい前の話だ。
なんかノンプリ自体は根強いファンが未だにイベントとかやってたりするってのは聞いてたけど……いや読もう。なんかこの手紙には熱がある。
以下、手紙の内容。
拝啓、YuKiCoさま。
私は高校生の時にノンプリをプレイしてからあなたのファンです。
ゲームはもちろんノベライズもコミカライズも全部、ドラマCDもOVAも見ています。
かんしゃを伝えたくて、お手紙を送らせていただきました。
字がきたなくてごめんなさい。画すうが多い字も書けません。
私は、去年くもまっ下出血でたおれました。
死にはしませんでしたが、半身にまひがのこりました。
しゅみのフィギュア造形もできなくなって。
仕事も失って彼氏にもふられました。
正直、死んでしまえたほうが良かったんじゃないかとも思いましたが私は立ち上がれました。
ノンプリがあったからです。
とくにイザベラの存在が大きかった。
どんな困なんからも、どれだけ辛くても立ち上がったイザベラが私の中にいたから私も立ち上がることができました。
今はリハビリをして一人で歩けるようになることを目ひょうにしています。
まだこんな字しか書けませんが、資格の勉強も始めました。
なんとか生きていきます。
本当にノンプリで、私は生きることができました。
高崎プロデューサーや柿山しぶたろう先生にも、あわせてかんしゃを伝えたいです。
ありがとうございます。
皆さんのますますのごかつやくをお祈り申し上げます。
「…………これ、すごいな」
私は手紙を読んで、声を漏らす。
応援ありがとうございます!
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