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第一部16・そういう生き方しかできない奴はそういう死に方をする。【全10節】
05突然も突然。
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メリッサは確かに俺とパーティ組んでた頃より、あらゆる面で強くなっていたが弱くなっていた。
強力な魔法、凄まじい腕力、クロウを模倣した戦い方。
それにメリッサ・ブロッサムは、頼りきって依存していた。
固執や執着は居着きを生む、居着きは隙を生み、隙は流れを止める。
俺やクロウやバリィがさんざっぱら叩き込んだ基本を、守ってるつもりで出来ていると勘違いしてやがった。
憂さ晴らしどころか、メリッサにさらに腹が立っちまったから剣二本で『勇者』の回復力や耐久力を超えるまで必要以上にボッコボコにしてやった。
幸いクライス君の回復魔法は本物だ。
殺さなきゃ大抵どうにでもなる、便利過ぎる奴だ。一家に一台欲しいくらいだ。
ああ、腹が立つ。
たかがスキルがちょっと良くなった程度で、弱くなってんじゃねえぞクソガキが……。
おまえはトーンで最弱の小娘だったが、一番根性があって、負けん気が強くて、足りねえ脳みそ必死で使って、仲間を信用することでミスを前提に全開で動いて。
力を超える勇気で、あらゆる困難に立ち向かっていたおまえが。
勇者なんて馬鹿みてえなもんに担ぎ上げられて疎かにするなど…………、気に入らねえ。
だが、これは俺のせいでもある。
勝手に怪我して、リタイアして、一人前になる前に離れちまったパーティリーダーの俺にも責任がある。
だから、俺はこいつらの武術指南を請け負うことにした。
金払いもいいし、何より俺は自分に腹が立っていた。
それに、クロウとやり合う気でいたのも面白かった。
真正面からあの怪物に一泡吹かすとするなら、確かにこいつらの持つスキルで……ギリギリ及第点か。
とりあえず適当に模擬戦と基礎鍛錬を繰り返し。
途中でなんか知らんがブラキスが現れ。
バリィを呼び出し。
仮想クロウとして、さらにメリッサたちを鍛えた。
実際クロウはバリィ並に頭が回るし。
腕力はブラキスにやや劣る程度。
技の冴えや身体操作は俺と変わらない。
ついでに戦闘継続持久力というか体力はリコー級だ。
まあ速さというか『超加速』を再現するのは俺たちには無理だが、その手の再現はメリッサがやっている。
さらにバリィが考えるクロウ攻略をメリッサへと教え込んだ。
いやまたこれが卑劣も卑劣、俺も手段は選ばねえ方ではあるが……まあクロウ相手なら仕方ない。的確に弱点を突くならそれしかないかもしれない、卑劣だが。
そんなこんなで、順調に勇者パーティを鍛え上げていた。
ある日、突然も突然だった。
「不躾に失礼……、私はライト帝国軍第三騎兵団が第一強襲制圧部隊、隊長のガクラ・クラックだ。この建物は既に包囲されている。不用意な戦闘は避けたい。ただちに降伏をし、武装を解除して投降を願いたい」
転移で現れた帝国軍人は本当に不躾で不敵に名乗り、穏やかに喧嘩を吹っかけてきた。
包囲したのは確からしい。
かなりの人数の気配を感じる。
しかも多分気配を消してたり、視認出来ない魔法を使ってる奴が混ざってる。
わりとつえーぞこいつら、流石に勇者パーティを抑えに来るなんてことをする為の部隊だ。手練揃いだし相当連携も磨いていると見える。
「……っ、一旦驚くのを止めて。切り替えて、奴らは相当強い。私はトーンに跳んだ時、そのガクラが率いる山岳攻略部隊に一度負けている。ガクラは『観察』『鑑定』なんかの洞察力に優れたスキル持ち、そっちのジャンポールは『感覚強化』『知覚強化』かなんかで勘が凄まじい。不可視の状態でも確実に狙って来るのと、疑似加速を使う。他の奴らもかなりトーンで見た顔が混ざってる。恐らく山岳攻略部隊をベースに編成された部隊で、連携も呼吸単位で合わせてくると思って。クロウさんとやり合うつもりで行くよ」
メリッサは動揺を飲み込んでそのまま一気に仲間たちへと情報を共有する。
へえ、バリィみてえなことするじゃねえかムカつくな。
強力な魔法、凄まじい腕力、クロウを模倣した戦い方。
それにメリッサ・ブロッサムは、頼りきって依存していた。
固執や執着は居着きを生む、居着きは隙を生み、隙は流れを止める。
俺やクロウやバリィがさんざっぱら叩き込んだ基本を、守ってるつもりで出来ていると勘違いしてやがった。
憂さ晴らしどころか、メリッサにさらに腹が立っちまったから剣二本で『勇者』の回復力や耐久力を超えるまで必要以上にボッコボコにしてやった。
幸いクライス君の回復魔法は本物だ。
殺さなきゃ大抵どうにでもなる、便利過ぎる奴だ。一家に一台欲しいくらいだ。
ああ、腹が立つ。
たかがスキルがちょっと良くなった程度で、弱くなってんじゃねえぞクソガキが……。
おまえはトーンで最弱の小娘だったが、一番根性があって、負けん気が強くて、足りねえ脳みそ必死で使って、仲間を信用することでミスを前提に全開で動いて。
力を超える勇気で、あらゆる困難に立ち向かっていたおまえが。
勇者なんて馬鹿みてえなもんに担ぎ上げられて疎かにするなど…………、気に入らねえ。
だが、これは俺のせいでもある。
勝手に怪我して、リタイアして、一人前になる前に離れちまったパーティリーダーの俺にも責任がある。
だから、俺はこいつらの武術指南を請け負うことにした。
金払いもいいし、何より俺は自分に腹が立っていた。
それに、クロウとやり合う気でいたのも面白かった。
真正面からあの怪物に一泡吹かすとするなら、確かにこいつらの持つスキルで……ギリギリ及第点か。
とりあえず適当に模擬戦と基礎鍛錬を繰り返し。
途中でなんか知らんがブラキスが現れ。
バリィを呼び出し。
仮想クロウとして、さらにメリッサたちを鍛えた。
実際クロウはバリィ並に頭が回るし。
腕力はブラキスにやや劣る程度。
技の冴えや身体操作は俺と変わらない。
ついでに戦闘継続持久力というか体力はリコー級だ。
まあ速さというか『超加速』を再現するのは俺たちには無理だが、その手の再現はメリッサがやっている。
さらにバリィが考えるクロウ攻略をメリッサへと教え込んだ。
いやまたこれが卑劣も卑劣、俺も手段は選ばねえ方ではあるが……まあクロウ相手なら仕方ない。的確に弱点を突くならそれしかないかもしれない、卑劣だが。
そんなこんなで、順調に勇者パーティを鍛え上げていた。
ある日、突然も突然だった。
「不躾に失礼……、私はライト帝国軍第三騎兵団が第一強襲制圧部隊、隊長のガクラ・クラックだ。この建物は既に包囲されている。不用意な戦闘は避けたい。ただちに降伏をし、武装を解除して投降を願いたい」
転移で現れた帝国軍人は本当に不躾で不敵に名乗り、穏やかに喧嘩を吹っかけてきた。
包囲したのは確からしい。
かなりの人数の気配を感じる。
しかも多分気配を消してたり、視認出来ない魔法を使ってる奴が混ざってる。
わりとつえーぞこいつら、流石に勇者パーティを抑えに来るなんてことをする為の部隊だ。手練揃いだし相当連携も磨いていると見える。
「……っ、一旦驚くのを止めて。切り替えて、奴らは相当強い。私はトーンに跳んだ時、そのガクラが率いる山岳攻略部隊に一度負けている。ガクラは『観察』『鑑定』なんかの洞察力に優れたスキル持ち、そっちのジャンポールは『感覚強化』『知覚強化』かなんかで勘が凄まじい。不可視の状態でも確実に狙って来るのと、疑似加速を使う。他の奴らもかなりトーンで見た顔が混ざってる。恐らく山岳攻略部隊をベースに編成された部隊で、連携も呼吸単位で合わせてくると思って。クロウさんとやり合うつもりで行くよ」
メリッサは動揺を飲み込んでそのまま一気に仲間たちへと情報を共有する。
へえ、バリィみてえなことするじゃねえかムカつくな。
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