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第一部閑話・勇者パーティの評価を巡らす。【全5節】

03ポピー・ミーシア。

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 ポピー・ミーシア。

 勇者パーティの後衛魔法使い。
 スキルに『大魔道士』を持ち、俺の勤めるサウシスの魔法学校で優秀な成績を修めて国家的に有益な研究成果を出した者に与えられる称号であるところの、賢者の称号を持つ。
 しかも歴代最年少。
 これは『大魔道士』という魔法系最高位スキルだからってだけじゃなくてポピー嬢の才覚によるものでもある。

 魔法系最高位スキル『大魔道士』は、単純明快。あらゆる魔法に対して凄まじいステータス補正と、無尽蔵とも言える魔力を有し、どんな魔法も無詠唱で使える。
 俺のような魔法使いモドキが使う、偽無詠唱とはわけが違う。

 間違いなく世界一の魔法使い。
 俺が口を出すことは一つもない、めっちゃ巨乳だし。

 それと個人的なことだが魔法学校の同僚であるミーシア先生の妹ってことにも驚いた。
 まあ別にそれほどミーシア先生と親交があるわけでもないが、世間って狭いなぁって感じだ。

 ああそうだ、ブラキスと良い感じってのもあったか。
 心優しくてめちゃくちゃ強いがモテねえから、俺とリコーは少し心配していたが、こんな上玉に見初められるたあブラキスもやるもんだ。

 ポピー嬢も見る目がある。ブラキスは良い奴だ、このまま上手くいってほしいと心から願う。

 そんな賢者、ポピー嬢に俺から何か言えることはブラキスの好きそうなもんの話だとか伝説エピソードだとかくらいだけど。

 本当に強いて言うなら、致命的なほどに魔法使い過ぎる点だ。

 これは別に本来は弱点足りえないことなんだけど、なんというかポピー嬢は学者畑の住人過ぎる。

 まあ身近なとこで言うんならセツナに近い。
 様々な魔法を使えて魔力の量も多い。
 しっかりと勉強してきて魔法に対する理解度も高い。
 魔法使いとして優秀。

 だが、魔法は単なる手段に過ぎない。
 本質的に敵を討つのに、剣も魔法も銃も拳も関係がない。
 的確に相手を討つことが出来るのであれば本来手段は何だって良い。

 結局俺たちは、それしか出来ないから手段を固定化させる。

 剣しかできないから剣士になるし。
 盾が持てるから大盾使いになるし。
 斧が振れるから大斧使いになるし。

 魔法しか出来ねえやつが魔法使いになる。

 たったそれだけのことに過ぎないはずなのだが、ひとつのものを磨いていくと段々と人はそれが一番良いものだという思いが膨らんでいく。

 剣士は剣術こそが最強だと思うようになるし、魔法使いも魔法こそが最も良い方法だと思うようになる。

 でも事実は、ただそいつがそれが得意でそれしか出来ないだけに過ぎない。

 ポピー嬢は魔法を呼吸するのと同じくらいに当たり前なものだと認識していて。
 ブラキスを気に入るくらいに、腕力や魔法以外の力についての評価も高い。

 だから一見して、ポピー嬢が魔法に対してそういう固執の仕方をしているようには見えないが。

 それでも魔法を超える事象や、魔法以外の力を求められる場面に対して折れるのが早い。

 これはトーンの町の先輩冒険者、魔法使いであるテラの話だ。
 テラも魔法学校出身で騎士団で魔法指南をしていたことのある生粋の魔法使いである。

 だがテラは、魔力切れや魔法が通らない局面に直面した時には。

 杖が折れるまで殴って、折れたら素手で殴る。

 魔法は手段であり、無いなら殴れ。
 倒せりゃ何でもいい、拘って死ぬのは馬鹿がやること。

 俺はその影響を多分に受けている。
 要は、最後は根性って話だ。

 学者畑のポピー嬢には、それがやや足りない。

 何か武術を覚えろとかそういうことではなく、時には目的のためには魔法すらも捨てられる気合いというか根性を身につけてほしい。

 魔法使いとしてだけ生きるのなら、不要なものだが。
 勇者パーティとして戦いに身を投じるのなら、不可欠なものだ。

 まあポピー嬢なら大丈夫だろう。
 そもそも魔法への固執はそれほど強くないし、何より巨乳だし。

 巨乳は最強だからな、うん。
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