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第二部16・世界では同時多発的に人生が動き続けているらしい。【全17節】
10一番近くにいた気に食わない顔してる奴をぶん殴りなさい。
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まあクライスの話で動いてくれたというより、多分クロウ・クロスがメリッサの為になんかガクラ・クラックにいったんだと思うが。
それはあまりにも腹が立つし、真偽のほどはわからないのでクライスとガクラ・クラックにだけ感謝をしておく。
これで俺はメリッサと結婚して、何だかんだで娘のメルが生まれて何とかやってきた。
メリッサも旧公都にある学校で給食調理員、いわゆる給食のおばさんをやったりしていた。実はというか、メリッサは料理が出来る。対クロウ・クロス特訓の時も作ってきたスープや麺料理を差し入れとして振舞っていた。
しかし最近、問題が起こった。
メルが十歳になった頃、学校でクラスの子供たちから意地悪をされるようになった。
無視をされたり、教科書を隠されたり、遠くからクスクスと笑われたり、物を壊した犯人として教師に告げ口されたり。
まあ他にも色々と。
警官の娘によくもまあガキ共が調子くれてんじゃねえ全員しょっぴいて吊るしてやろうかと思ったが。
調べてみると、どうやら原因は俺たちにあった。
メルに意地悪を仕掛けてきたガキ共の親は、旧公国良家の流れにある奴らで。
公国敗北の責任が、俺ら勇者パーティにあると考えているようだった。
んで、俺らは今めちゃくちゃ立場が悪い。
もし街中で突然ぶん殴られても、やり返したらすぐさま軍の監視の奴が飛んでくる。まあ、バレねえようにやり返しゃあいい話だが。
仕返しが出来ないと踏んだ馬鹿共が、メルを狙ってガキをけしかけてきたらしい。
とりあえず最初は。
「メル、いい? もし次意地悪されたら誰が犯人かわからなくても、一番近くにいた気に食わない顔してる奴をぶん殴りなさい」
と、メリッサはメルに喧嘩の買い方と基礎的な格闘を教えた。
合気と躰道ベースの身体操作に、拳や足を痛めないように掌打や踵での蹴りを教えていた。
ぶっちゃけやりすぎ感もあるが、一応流石に魔法は人に向けないってことも徹底して教えた。
まあ一回暴れたら舐められずに済むだろう。元々友達もいないのなら失うものもない。
それで大人がなんか、がちゃがちゃ抜かすんなら俺が出りゃあいい。
んで。
メルは見事に教えを実践して暴れ散らかして、メルへの意地悪は終息した。
が、しばらくしてメルが怪我をした。
腕とあばら骨を折る、まあまあな大怪我だ。
俺はポピーにクライスを拐って来るように頼んで呼びつけた。
ちなみに、これで勇者パーティが一堂に会したことで監視の奴らがめちゃくちゃ警戒したが関係ねえ。
クライスにメルの治療をしてもらって、事情を聞くと。
クラスの子供たちより大きな子供たちに囲まれて、魔法を撃たれたらしい。
メルはわりと魔法を使える。
もちろん無詠唱で基礎的なところは大体使えるが、教えの通りに防御魔法しか使わずに格闘戦を行ったが適わなかった。
そりゃそうだ。メルはそこらのガキ共よりは遥かに喧嘩が強くて可愛いが、素手で魔法使い複数人相手なんて俺やメリッサでもしんどい。
そして、メルから聞くところによると仕掛けてきた輩は学校の上級生ということだった。
それを聞いた瞬間、メリッサは転移魔法で跳んだ。
俺はとりあえずポピーとクライスにメルを任せて、身体強化全開にして学校へと向かった。
すると、校舎には校長室に繋がるメリッサ型の穴が空いていた。
消滅纒着で、壁を消し抜けた跡だ。
跡を追うように校長室に入ると、机や椅子も消し抜けながら消滅纒着で校長に触れる寸前のメリッサ。
「――――メリッサ、やめろおっ‼」
咄嗟に俺が叫んだところで、メリッサは消滅纒着を解除して。
「魔法って危ないでしょ。おまえはガキ共にちゃんとそれを教えろ、出来ないのなら私が教えに来る。死ぬ気でやれよ、ガキ共皆殺しにするぞ」
ゆらりと目から炎を漏らして、メリッサはゴリゴリに校長先生を恫喝してから。
再び転移魔法で跳んだ。
俺は学校の対応で追いかけられなかったが、メルに魔法を撃ったガキの家に戦術級雷撃魔法をぶち込んだらしい。
メリッサは大人になって怒らなくなった。
給食のおばさんとしても真面目に働いていたし。
メルの面倒もしっかり見て。
夜勤や残業の多い俺を妻としてしっかり支えていてくれた。
だが、根っこはこれだ。
ブチ切れやすくて、わがままで、暴力的。
長い棒を持たせたら窓ガラスを割り、気に入らない奴は殴って、欲しいものは盗む。
トーン一番の悪童。
それがメリッサの根幹だ。
だから別に責めるようなことじゃあない。
それはあまりにも腹が立つし、真偽のほどはわからないのでクライスとガクラ・クラックにだけ感謝をしておく。
これで俺はメリッサと結婚して、何だかんだで娘のメルが生まれて何とかやってきた。
メリッサも旧公都にある学校で給食調理員、いわゆる給食のおばさんをやったりしていた。実はというか、メリッサは料理が出来る。対クロウ・クロス特訓の時も作ってきたスープや麺料理を差し入れとして振舞っていた。
しかし最近、問題が起こった。
メルが十歳になった頃、学校でクラスの子供たちから意地悪をされるようになった。
無視をされたり、教科書を隠されたり、遠くからクスクスと笑われたり、物を壊した犯人として教師に告げ口されたり。
まあ他にも色々と。
警官の娘によくもまあガキ共が調子くれてんじゃねえ全員しょっぴいて吊るしてやろうかと思ったが。
調べてみると、どうやら原因は俺たちにあった。
メルに意地悪を仕掛けてきたガキ共の親は、旧公国良家の流れにある奴らで。
公国敗北の責任が、俺ら勇者パーティにあると考えているようだった。
んで、俺らは今めちゃくちゃ立場が悪い。
もし街中で突然ぶん殴られても、やり返したらすぐさま軍の監視の奴が飛んでくる。まあ、バレねえようにやり返しゃあいい話だが。
仕返しが出来ないと踏んだ馬鹿共が、メルを狙ってガキをけしかけてきたらしい。
とりあえず最初は。
「メル、いい? もし次意地悪されたら誰が犯人かわからなくても、一番近くにいた気に食わない顔してる奴をぶん殴りなさい」
と、メリッサはメルに喧嘩の買い方と基礎的な格闘を教えた。
合気と躰道ベースの身体操作に、拳や足を痛めないように掌打や踵での蹴りを教えていた。
ぶっちゃけやりすぎ感もあるが、一応流石に魔法は人に向けないってことも徹底して教えた。
まあ一回暴れたら舐められずに済むだろう。元々友達もいないのなら失うものもない。
それで大人がなんか、がちゃがちゃ抜かすんなら俺が出りゃあいい。
んで。
メルは見事に教えを実践して暴れ散らかして、メルへの意地悪は終息した。
が、しばらくしてメルが怪我をした。
腕とあばら骨を折る、まあまあな大怪我だ。
俺はポピーにクライスを拐って来るように頼んで呼びつけた。
ちなみに、これで勇者パーティが一堂に会したことで監視の奴らがめちゃくちゃ警戒したが関係ねえ。
クライスにメルの治療をしてもらって、事情を聞くと。
クラスの子供たちより大きな子供たちに囲まれて、魔法を撃たれたらしい。
メルはわりと魔法を使える。
もちろん無詠唱で基礎的なところは大体使えるが、教えの通りに防御魔法しか使わずに格闘戦を行ったが適わなかった。
そりゃそうだ。メルはそこらのガキ共よりは遥かに喧嘩が強くて可愛いが、素手で魔法使い複数人相手なんて俺やメリッサでもしんどい。
そして、メルから聞くところによると仕掛けてきた輩は学校の上級生ということだった。
それを聞いた瞬間、メリッサは転移魔法で跳んだ。
俺はとりあえずポピーとクライスにメルを任せて、身体強化全開にして学校へと向かった。
すると、校舎には校長室に繋がるメリッサ型の穴が空いていた。
消滅纒着で、壁を消し抜けた跡だ。
跡を追うように校長室に入ると、机や椅子も消し抜けながら消滅纒着で校長に触れる寸前のメリッサ。
「――――メリッサ、やめろおっ‼」
咄嗟に俺が叫んだところで、メリッサは消滅纒着を解除して。
「魔法って危ないでしょ。おまえはガキ共にちゃんとそれを教えろ、出来ないのなら私が教えに来る。死ぬ気でやれよ、ガキ共皆殺しにするぞ」
ゆらりと目から炎を漏らして、メリッサはゴリゴリに校長先生を恫喝してから。
再び転移魔法で跳んだ。
俺は学校の対応で追いかけられなかったが、メルに魔法を撃ったガキの家に戦術級雷撃魔法をぶち込んだらしい。
メリッサは大人になって怒らなくなった。
給食のおばさんとしても真面目に働いていたし。
メルの面倒もしっかり見て。
夜勤や残業の多い俺を妻としてしっかり支えていてくれた。
だが、根っこはこれだ。
ブチ切れやすくて、わがままで、暴力的。
長い棒を持たせたら窓ガラスを割り、気に入らない奴は殴って、欲しいものは盗む。
トーン一番の悪童。
それがメリッサの根幹だ。
だから別に責めるようなことじゃあない。
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