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第二部17・狂ってるやつは狂っているので自分が狂っていることに自覚的じゃあない。【全6節】
02潜入成功。
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だがここからだ……、どうやって中に入るかだ。
タヌーさんの推測では船外活動用ハッチなどがある可能性が高く、ハッチをこじ開けてすぐに塞いで与圧室とやらにて風系統魔法で少しづつ気圧を戻して侵入する手筈だが。
壁面はかなりつるっとしていて、一見するだけだとハッチのような凹凸は見られない。
まさか完全に転移魔法や召喚魔法での出入りを想定していて、ハッチなどは作られていないのか?
いや……、そんなはずはないとは思うが……。
転移魔法で宇宙空間と船内を行き来していたら気圧の変化で目玉が飛び出る。そんな不便な造りはしていないはずだ。
「くっそ……」
僕は吸着魔法で貼り付きながら、四つん這いでハッチを探す。
よく探せばあるはずだ、一枚板でこんな巨大な建造物を作れるわけがない。絶対に継ぎ目はあるし出入口なら可動用の遊びもあるはずだ。
だが、これ以上疑似加速は使えない。
魔力消費が大きすぎる……、行きの超長距離転移でかなりごっそり魔力を使っているし帰りの魔力も残さなくてはならない。
吸着魔法でアジトの相対速度とぴったり同じにして慣性や遠心力で飛ばされないようにして疑似加速を解除。
「…………ふーっ」
とりあえず、弾かれずに済んだことに安堵して少しずつ張ってハッチを探す。
この『0G対応纒着型強化魔動外装』の稼働時間は約二十分、与圧室で気圧を整える時間も考えると五分以内にハッチを見つけたい。
焦るな、しかして迅速に、確実に。
僕は壁面に目を凝らしながらハッチを探す。
………………ん?
十八メートル先くらいに、小さな溝をのような影を見つけたので接近する。
よく見るとその溝から四角く、切れ込みのように溝が入っているのを確認する。
僕はその四角の真ん中を身体強化を用いて思いっきり押すと無音で凹むように突き抜ける。
空気による押し返しがない、中も空気はないようだ。
すぐに中に入って無重力環境下に悪戦苦闘しながらもハッチを閉めて、材質変化で溶着する。
……パッと見機密性は――――いってぇッ‼
中に入る時に『0G対応纒着型強化魔動外装』を引っ掛けたようだ……っ、肉が凍った……、いってぇ……穴を塞いで回復魔法を使う。
焦った……、まあギリギリ大丈夫だが無駄に魔力と体力を使ってしまった……。
落ち着きを取り戻して部屋を光魔法で照らす。
三メートル四方の部屋だ。
扉が一枚、壁の上部と下部に空気を送るダクトが付いている。
ダクトに向かって手を伸ばして『0G対応纒着型強化魔動外装』内部の空気を風魔法で細い糸のように送り込む。
ほぼ真空の中で霧散させないように、細心の注意を払って魔力操作を行なう。
すると、ダクトの向こう側にある微かに漏れ出す空気に触れて繋がる。
そこから魔力を通して、空気を与圧室に送り込む。
これも一気に送り込みすぎると気圧の変化で、とんでもないことになる。
集中、集中、集中――――――。
そして十分以上の時間をかけて、与圧室を空気で満たした。
『0G対応纒着型強化魔動外装』が、安全性を確認したので信じてバイザーを上げる。
「……ふーっ、よし……」
深く息をすって僕は『0G対応纒着型強化魔動外装』を外装解除で脱いで、空間魔法にて空間領域にしまい込む。
潜入成功……、思った通りにしんどかった。
しかしここからだ。
暴れ散らかしたい気持ちもあるが、派手なことをするとこのアジトがぶっこわれて地面に落ちる。
それはそれでやばい、こんな質量のもんが落っこちたら大惨事だ。
無駄な魔力も使えない、目的は【ワンスモア】を畳んで回ることでもない。ライラちゃんの救出だ。
故に隠密行動が必須だ。
僕は光学迷彩の魔法を使って姿を隠して、扉をこじ開けて捜索を開始する。
光学迷彩の魔法は第一回戦で戦った、ニックス・ガーラさんが使ってるのを解析してみたら出来た。
要は光の屈折率を調整して背景と同じものを身体に映し続ける魔法だ。原理がわかればそれほど難しくもない。
扉から出ると重力を感じる。
すげえなこのアジト全体に重力魔法がかかっているのか……、多分魔動装置で自動化されてるんだろうが中々の技術力だ。
最小限の魔力感知を細かく使って、アジト内を捜索する。
タヌーさんの捜索魔法は覚えられなかった……時間をかければ覚えられなくもないけど無茶複雑で難解過ぎた。
それに、一応魔力感知バレを嫌った動きをしようと思う。何かしらの魔動センサーで感知される可能性もある…………まあこんな宇宙空間に造ったアジトに侵入者がくることを想定しているとも考えにくいが念の為だ。
クリアリングをしつつ、頭の中でマッピングをしながらアジト内を進むと。
人の気配。
タヌーさんの推測では船外活動用ハッチなどがある可能性が高く、ハッチをこじ開けてすぐに塞いで与圧室とやらにて風系統魔法で少しづつ気圧を戻して侵入する手筈だが。
壁面はかなりつるっとしていて、一見するだけだとハッチのような凹凸は見られない。
まさか完全に転移魔法や召喚魔法での出入りを想定していて、ハッチなどは作られていないのか?
いや……、そんなはずはないとは思うが……。
転移魔法で宇宙空間と船内を行き来していたら気圧の変化で目玉が飛び出る。そんな不便な造りはしていないはずだ。
「くっそ……」
僕は吸着魔法で貼り付きながら、四つん這いでハッチを探す。
よく探せばあるはずだ、一枚板でこんな巨大な建造物を作れるわけがない。絶対に継ぎ目はあるし出入口なら可動用の遊びもあるはずだ。
だが、これ以上疑似加速は使えない。
魔力消費が大きすぎる……、行きの超長距離転移でかなりごっそり魔力を使っているし帰りの魔力も残さなくてはならない。
吸着魔法でアジトの相対速度とぴったり同じにして慣性や遠心力で飛ばされないようにして疑似加速を解除。
「…………ふーっ」
とりあえず、弾かれずに済んだことに安堵して少しずつ張ってハッチを探す。
この『0G対応纒着型強化魔動外装』の稼働時間は約二十分、与圧室で気圧を整える時間も考えると五分以内にハッチを見つけたい。
焦るな、しかして迅速に、確実に。
僕は壁面に目を凝らしながらハッチを探す。
………………ん?
十八メートル先くらいに、小さな溝をのような影を見つけたので接近する。
よく見るとその溝から四角く、切れ込みのように溝が入っているのを確認する。
僕はその四角の真ん中を身体強化を用いて思いっきり押すと無音で凹むように突き抜ける。
空気による押し返しがない、中も空気はないようだ。
すぐに中に入って無重力環境下に悪戦苦闘しながらもハッチを閉めて、材質変化で溶着する。
……パッと見機密性は――――いってぇッ‼
中に入る時に『0G対応纒着型強化魔動外装』を引っ掛けたようだ……っ、肉が凍った……、いってぇ……穴を塞いで回復魔法を使う。
焦った……、まあギリギリ大丈夫だが無駄に魔力と体力を使ってしまった……。
落ち着きを取り戻して部屋を光魔法で照らす。
三メートル四方の部屋だ。
扉が一枚、壁の上部と下部に空気を送るダクトが付いている。
ダクトに向かって手を伸ばして『0G対応纒着型強化魔動外装』内部の空気を風魔法で細い糸のように送り込む。
ほぼ真空の中で霧散させないように、細心の注意を払って魔力操作を行なう。
すると、ダクトの向こう側にある微かに漏れ出す空気に触れて繋がる。
そこから魔力を通して、空気を与圧室に送り込む。
これも一気に送り込みすぎると気圧の変化で、とんでもないことになる。
集中、集中、集中――――――。
そして十分以上の時間をかけて、与圧室を空気で満たした。
『0G対応纒着型強化魔動外装』が、安全性を確認したので信じてバイザーを上げる。
「……ふーっ、よし……」
深く息をすって僕は『0G対応纒着型強化魔動外装』を外装解除で脱いで、空間魔法にて空間領域にしまい込む。
潜入成功……、思った通りにしんどかった。
しかしここからだ。
暴れ散らかしたい気持ちもあるが、派手なことをするとこのアジトがぶっこわれて地面に落ちる。
それはそれでやばい、こんな質量のもんが落っこちたら大惨事だ。
無駄な魔力も使えない、目的は【ワンスモア】を畳んで回ることでもない。ライラちゃんの救出だ。
故に隠密行動が必須だ。
僕は光学迷彩の魔法を使って姿を隠して、扉をこじ開けて捜索を開始する。
光学迷彩の魔法は第一回戦で戦った、ニックス・ガーラさんが使ってるのを解析してみたら出来た。
要は光の屈折率を調整して背景と同じものを身体に映し続ける魔法だ。原理がわかればそれほど難しくもない。
扉から出ると重力を感じる。
すげえなこのアジト全体に重力魔法がかかっているのか……、多分魔動装置で自動化されてるんだろうが中々の技術力だ。
最小限の魔力感知を細かく使って、アジト内を捜索する。
タヌーさんの捜索魔法は覚えられなかった……時間をかければ覚えられなくもないけど無茶複雑で難解過ぎた。
それに、一応魔力感知バレを嫌った動きをしようと思う。何かしらの魔動センサーで感知される可能性もある…………まあこんな宇宙空間に造ったアジトに侵入者がくることを想定しているとも考えにくいが念の為だ。
クリアリングをしつつ、頭の中でマッピングをしながらアジト内を進むと。
人の気配。
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