お嬢様たちは、過激に世界を回していく。

ラディ

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28・可愛いだけの妹が、ついに追放されるみたいですよ。【全3話】

01とにかく可愛い。

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 私、サンディ・ネビルはネビル子爵家の令嬢であり、同じくネビル子爵家令嬢のマリシュカの姉である。

 妹のマリシュカは、

 可憐かれんで、品行方正ひんこうほうせい愛嬌あいきょうもあり、優しく、とにかく可愛い。

 子爵家令嬢ながら、数多くの貴族におさそいを受ける。

 姉から見てもその可憐かれんさは、ほこらしくもあり、うらやましくもあり、ねたましい。

 でも可愛いから許せてしまう、そんなにも妹は可愛い。

 しかし、そんな妹のマリシュカが今、私たちの目の前で不敵ふてきに、不適ふてきに。

 言った。



 私たちはマリシュカの言葉に理解が追いつかない。

 今日は私の婚約者であるティアニー伯爵家のアブラハムをふくむティアニー家やその他もろもろの貴族がつどう、私の結婚が間近になってきたのでそれらの報告をかねねたパーティーである。

 そんな場で突然放たれた言葉に、一瞬で場は凍りつく。

「ど、どうしたの? マリシュカ?」

 私は何かの間違いであると思い、すぐにマリシュカにたずねる。

「姉さん、私ずっと嫌だったのよ。可愛い可愛い可愛いって言われ続けるのが、嫌なの。自分の顔をつぶすか可愛いって言ってくる人間を消すかこの一年ずっと迷ってた」

 マリシュカのとんでもない告白は続く。

「迷った末に今朝決めたの、私を可愛いって言うやつを消すことにした。だから次に私を可愛いって言った奴は殺す」

 ぶっ殺すのよ。そう付け加えたマリシュカの目はにぶく光る。

 

 本気すぎるマリシュカの目に、私は言葉に詰まる。

 そんな時。

「ははは! マリシュカ嬢のジョークは独特どくとくですね! びっくりしてしまいましたよ!」

 と、凍りついた空気を払拭ふっしょくするべくマリシュカをさそいに参加した貴族の一人がおどけてみせる。

 それに釣られてパーティーの参加者達は次第に笑っていく。

「まったく、ジョークですね」

「いやなんてんだ」

子が言えばどんなジョークでも花が咲きますね」

 なんて、皆口々にを口にして笑っていく。

 その瞬間。

 横薙よこなぎに何かが通り過ぎ、

「え?」
 
 吹き出す血しぶきに現実感もなく、呆気あっけに取られる。

 そんな私の隣を血しぶきをびながら、マリシュカが歩いて行く。

 手にはいったい何処どこから取り出したのか、自分の背丈せたけを優に超える長さの刀剣とうけんにぎられていた。

「言ったのに、次言ったら殺すって」

 その一言を皮切りに、会場は阿鼻叫喚あびきょうかんつつまれた。

 そんな中をマリシュカは刀剣を振り回し、ばったばったとぎ払っていく。

 逃げまどう人々も、脚を斬られてのたうち回り、すぐに首を跳ねられる。

 地獄絵図。

 それしか形容けいようしようがない光景であった。

 私の婚約者であるアブラハムも、バラバラに刻まれて床に散らばる同じく先程さきほどまで人だったはずの血溜まりに、まぎれて消えた。

 私はそれを腰を抜かし、へたり込み、ただただふるえてそれを見ていた。

 やがて、斬られるものは斬られ、逃げ出したものは逃げ切り。

 真っ赤なパーティー会場に、私とマリシュカだけとなった。

「…………なんでこんなことをしたの?」

 恐怖やおどろきや悲しみや混乱を一緒くたに受けた私は、自分でも信じられないほどに落ち着いた口調で問いかけた。

「私ずっと可愛い可愛いって言われ続けてきた。。このままじゃ、私の人生は可愛いに埋もれてしまう、私の人生なのに」

 私は聞く。

「私は私の人生を始めたい、、だから私を可愛いと言う人間が居なくなるまで殺すことにした」

 そう言って、マリシュカは満面の笑みを見せる。

 ああ確かに。
 返り血で真っ赤に染まった彼女の笑顔は、可愛くない。

「もう諦めてたんだけど、

 そうだ。
 狂気と凶行で気にする余裕が一ミリもなかったけど。

 え、なにあの剣?

 あんな大きなもの何処どこから出てきたの? それにあんな長い剣をどうしてマリシュカが振れる?
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