【完結】白雪くんはりんごアレルギー〜家政夫だと思っていたら嫁入りでした!

墨済

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5章 魔女に襲われ

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父さんの件が一段落したと思ったら、また新たな難問が出てきた。

隆平先輩に……告白された。

あの夜のことを思い出すと、由起也は気恥ずかしさで叫びたくなってくる。
好きって、家族として? こ、こ、恋人として?
どっちの意味なんだろう、と思うと、切なくなる。
あれ以来、隆平先輩がこれまで以上にキラキラして見えるし。
自分がこんなに悩んでいるのに、隆平がやたら上機嫌なのにはちょっと腹が立つ。

そんなふうに、由起也はぐるぐる考えてしまい、勉強も手につかない。
今も講義を半分くらい聞いてなかった。この講義、期末は試験だっけ? レポートだっけ?
そんなふうに冷や汗をかきながら、途切れ途切れの講義メモを解読していたら、狩山から声をかけられた。

「白雪~。お前、講義中ずっと変な顔してたよな? キモい」
「キモいはないだろ、狩山ぁ。……あれ? なんでスーツ着てんの?」
「OB訪問だよ。は~、就活マジつらい」
狩山はそう言って、ベッタリと机に顔を伏せたと思ったら、ガバっと顔を上げて由起也に尋ねた。
「なあ、寒いから学食にうどん食いに行かね?」
「うん、いいね」
狩山の提案に、由起也は笑顔で即答した。

「白雪、学食に誘っても、迷ったり断ったりしなくなったよな」
「ん? そうかな?」
「それだけ生活にゆとりが出てきた、ってことだろ。王子先輩に拾われて、本当に良かったな」
「うん、本当にありがたいよ。……でもさ、万里子さんの調子がすごく良くないんだ」

万里子は、年明けから急に体調を崩しはじめた。背中がひどく痛むらしく、起き上がっていられない。ずっと体を横に向けて丸まるようにして伏している。食欲もないようで、食べられる量が急激に減ってきている。
訪問診療の医師から提案されて、抗がん剤を変えてみたが、今度のは体に合ってないのか、一向に改善しないのだ。
「しんどそうなのに、バレンタインのチョコを一緒に作ろうって、誘ってくれるんだ。無理して笑ってくれてる万里子さんを見てられなくて……」

あと少しで学食に着くというその時、刺々しい言葉が背後から投げつけられた。
「ふーん、お嫁さん気取りなんだ」
由起也がぎょっとして振り返ると、怒りに歪んだ顔をした優芽花が立っていた。
「あんた男でしょ? それなのにリュウの親に擦り寄って嫁気取りって、ウケるんだけど」

由起也がその言葉の意味を理解できないうちに、さらに侮蔑の言葉が畳み掛けられた。
「自分の身分も分かってないヤツが、リュウと一緒にいるの、許せないんだけど」
「どういうことですか?」
「超イケメンで、家もお金持ち。あんなハイスペックな男、あたしくらいの女じゃないと似合わないって言ってんの」
優芽花のその言い方に、由起也はカチンときた。隆平先輩のいいところは、そんな上っ面の部分じゃないのに!
「聞いてんの?! リュウみたいな完璧な男、あんたには相応しくないって言ってんの!」
「……全然、完璧なんかじゃねーよ」
「はぁ、何言ってんの?」
「あの人、ああ見えて結構面倒くさいですよ。犬みたいに一直線に勝手に突っ走っちゃうし、叱られたらバカみたいにしょげるし。褒めたら舞い上がるし」
由起也は隆平の人間らしさを訴えようと、ここまで言い切ってから、ハッとした。
――全然褒めてねぇじゃん、オレ。
「……ふふ、自分で言っててアレだけど、隆平先輩ってホントに犬みたいだ。あはは」
由起也は思わず、照れたように笑いがこぼれた。
しかし、それが優芽花の逆鱗に触れた。

「何で笑ってんのよ!」
そう叫びながら、優芽花は手を振り上げ、由起也を殴ろうとした。由起也はそれを避けようとして失敗し、優芽花の爪が頬を掠めた。
「いたっ!」
デコられた爪が由起也の頬に一筋の傷をつけた。由起也が頬に触れると、指先に血がついた。

「大丈夫か? 白雪!」
傷つけられた由起也よりも、見ていた狩山の方が慌てた声を出した。
「あんた、やりすぎじゃね?」
怒った声で言った狩山が、優芽花と由起也の間に入り、優芽花の肩を押して、由起也から遠ざけようとする。
「ちょっと! 誰よ、あんた!」
「いいからもう黙れよ。こんなことしたって、花城先輩はお前のことなんてゼッテー好きになんかならねぇって」
「はぁ!?」
「ちょ、やめろ! 二人とも!」
優芽花が今度は狩山に手を上げようとしたので、由起也は優芽花の腕を掴んで止めようとした。
「離しなさいよ!」
優芽花は腕を振って由起也の手を振り解こうとした。その勢いで由起也はバランスを崩し、盛大にバタンと転んでしまった。
「うわっ! ……っ。いった……」
地面についた左手首に激痛が走った。
あ、やっちゃった。

その時、少し遠くから叫び声が聞こえた。
「由起也!!」
隆平の声だ。


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