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6章 毒のりんごを食べてしまい
6-(5)*
こいつ、オレを殺す気だ……!!
そう気づいた由起也は、身体がカタカタと震え出した。
ヤバい! 逃げなきゃ! と思っても縛られた体ではどうにもできず、全身から汗ばかりが吹き出してくる。
「最後の晩餐には貧相だけど、りんご、食べる?」
そう言って健臣はゆらりと由起也に近づいてきた。そして芝居がかった調子で続けた。
「君の父親はねぇ、これ食べて死んだんだよ」
由起也はヒュッと息を呑んだ。まさかこいつ、父さんにりんごを食べさせたのか!?
「厄介だよねぇ、アレルギーって。りんごを食べさせて、少ししたら苦しみ始めてさぁ。のたうちまわって、死んでったよ。……そこで」
おどけた表情をした健臣が、つまんだりんごでヒョイと居間の方を指す。
由起也もアレルギー反応で起こした呼吸困難の苦しさは、嫌と言うほど知っている。あの苦しみの中で父さんは亡くなったのか! 父さんが死ぬまで、放っておいたのか!
身の毛もよだつ方法で父が殺されたことを知り、由起也は怒りと悲しみで脳が沸騰するように感じ、息を荒げた。
「どう? 由起也くん。嬉しいでしょ? 最後に食べたのが、お父さんと同じもので」
そう言って、皿を持ったまま由起也のそばで腰をかがめ、一切れのりんごを由起也の顔に近づけた。
ヤバいヤバいヤバい! オレもこれ食べたら……!
恐怖で顔色が変わったのを、健臣は見逃さなかった。
「あれぇ? もしかして由起也くんも、りんごアレルギー?」
そう言って健臣は、りんごを由起也の顔の前でちらつかせる。その顔は、獲物を痛ぶるのを面白がるニヤニヤとした表情をしている。
由起也は必死で顔を背けるが、りんごをペタペタと頬や鼻に当てられ、ますます恐怖が募る。
「あはは。じゃあ……、父親と同じように、のたうちまわって、死ねよ」
健臣は由起也の体にまたがって動きを封じ、由起也の口から猿轡を外した。
口を開ければりんごを押し込まれるのが怖くて、由起也は叫び声を上げることもできない。なんとか頭を振って避けようとするが、健臣は何度も口にりんごを押し当てようとしてくる。
その時だった。
ピンポーン、とインターホンが鳴り、玄関ドアを叩く音がした。
「櫛田さーん。いらっしゃいますよね。警察です。開けてもらえませんかー」
「ちっ。早いじゃないか!」
健臣は一瞬動きを止めたが、またすぐに由起也にりんごを食べさせようとしてくる。
「早く食え!」
由起也は健臣に抵抗しながら、なんとか外の警官に自分がいることを知らせようと考えた。その時、足が空き瓶に当たったのか、ガシャン!と大きな音がして割れる音がした。
「櫛田さん! 今の音は何ですか? 中の安全を確認します。応答してください!」
玄関ドアを叩くドンドンという音が激しいものになる。
いいから早く入ってきてよ! 由起也はそう思ったが、なかなか警官は中まで踏み込んで来てくれない。顔はりんごの汁でベタベタで、いつ口の中に入ってきてもおかしくない。
「早く、食えよ!!」
健臣がりんごを口にねじ込もうとしてくる。もうダメだ!
「助けて!!!」
由起也は辛抱たまらず、大声を上げた。
しかしその開けた口の中に、りんごを押し込まれた。
「んぶっ!」
健臣が由起也の頭と顎を掴み、無理矢理口を閉じさせた。
――食べちゃった……!
由起也が絶望しかけたその時、居間の掃き出し窓がガシャァン!!と割れる音がした。
「由起也!!!」
次に聞こえてきたのは、隆平の叫び声だった。
そう気づいた由起也は、身体がカタカタと震え出した。
ヤバい! 逃げなきゃ! と思っても縛られた体ではどうにもできず、全身から汗ばかりが吹き出してくる。
「最後の晩餐には貧相だけど、りんご、食べる?」
そう言って健臣はゆらりと由起也に近づいてきた。そして芝居がかった調子で続けた。
「君の父親はねぇ、これ食べて死んだんだよ」
由起也はヒュッと息を呑んだ。まさかこいつ、父さんにりんごを食べさせたのか!?
「厄介だよねぇ、アレルギーって。りんごを食べさせて、少ししたら苦しみ始めてさぁ。のたうちまわって、死んでったよ。……そこで」
おどけた表情をした健臣が、つまんだりんごでヒョイと居間の方を指す。
由起也もアレルギー反応で起こした呼吸困難の苦しさは、嫌と言うほど知っている。あの苦しみの中で父さんは亡くなったのか! 父さんが死ぬまで、放っておいたのか!
身の毛もよだつ方法で父が殺されたことを知り、由起也は怒りと悲しみで脳が沸騰するように感じ、息を荒げた。
「どう? 由起也くん。嬉しいでしょ? 最後に食べたのが、お父さんと同じもので」
そう言って、皿を持ったまま由起也のそばで腰をかがめ、一切れのりんごを由起也の顔に近づけた。
ヤバいヤバいヤバい! オレもこれ食べたら……!
恐怖で顔色が変わったのを、健臣は見逃さなかった。
「あれぇ? もしかして由起也くんも、りんごアレルギー?」
そう言って健臣は、りんごを由起也の顔の前でちらつかせる。その顔は、獲物を痛ぶるのを面白がるニヤニヤとした表情をしている。
由起也は必死で顔を背けるが、りんごをペタペタと頬や鼻に当てられ、ますます恐怖が募る。
「あはは。じゃあ……、父親と同じように、のたうちまわって、死ねよ」
健臣は由起也の体にまたがって動きを封じ、由起也の口から猿轡を外した。
口を開ければりんごを押し込まれるのが怖くて、由起也は叫び声を上げることもできない。なんとか頭を振って避けようとするが、健臣は何度も口にりんごを押し当てようとしてくる。
その時だった。
ピンポーン、とインターホンが鳴り、玄関ドアを叩く音がした。
「櫛田さーん。いらっしゃいますよね。警察です。開けてもらえませんかー」
「ちっ。早いじゃないか!」
健臣は一瞬動きを止めたが、またすぐに由起也にりんごを食べさせようとしてくる。
「早く食え!」
由起也は健臣に抵抗しながら、なんとか外の警官に自分がいることを知らせようと考えた。その時、足が空き瓶に当たったのか、ガシャン!と大きな音がして割れる音がした。
「櫛田さん! 今の音は何ですか? 中の安全を確認します。応答してください!」
玄関ドアを叩くドンドンという音が激しいものになる。
いいから早く入ってきてよ! 由起也はそう思ったが、なかなか警官は中まで踏み込んで来てくれない。顔はりんごの汁でベタベタで、いつ口の中に入ってきてもおかしくない。
「早く、食えよ!!」
健臣がりんごを口にねじ込もうとしてくる。もうダメだ!
「助けて!!!」
由起也は辛抱たまらず、大声を上げた。
しかしその開けた口の中に、りんごを押し込まれた。
「んぶっ!」
健臣が由起也の頭と顎を掴み、無理矢理口を閉じさせた。
――食べちゃった……!
由起也が絶望しかけたその時、居間の掃き出し窓がガシャァン!!と割れる音がした。
「由起也!!!」
次に聞こえてきたのは、隆平の叫び声だった。
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