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6章 毒のりんごを食べてしまい
6-(7)
「由起也!!!」
窓ガラスの割れる音のすぐ後、隆平の叫び声が聞こえた。その音で健臣が後ろを振り返り、由起也の顔から手を離した。由起也が助かったと思う間もなく、健臣の姿が視界から消えた。
「お前! 由起也に何してやがんだ!」
由起也が体をよじって足元の方を見ると、隆平が健臣を引き倒し、胸ぐらを掴んで今にも殴りかかろうとしていた。
「君! よしなさい!」
警官が隆平を脇から抱え込み、健臣から引き剥がした。それでもなお健臣に向かって行こうと暴れる隆平に警官が言った。
「殴ったら、君も逮捕することになるぞ!」
そう言われた隆平が、やっとおとなしくなった。怒りは抑えきれていないらしく、肩で荒い息をしている。
そうしている間にも、割れた掃き出し窓から、次々と警官が入ってきて、座り込む健臣の周囲を囲んだ。しかし健臣は、へらりとした態度で言う。
「何事ですか。逮捕するならあいつの方でしょう? 俺が殴られそうになったの、見てたでしょ?」
「詳しいことは署で聞きます」
「こっちは不法侵入されたんですよぉ。いや~、これはひどいことになったなぁ。訴えないとなぁ」
「そもそもこの家、あなたの家ではないですよね」
ゴネる健臣に冷静に私服の刑事が言うと、健臣はカッと目を見開いて、叫び出した。
「ここも! 俺のものになるはずだったんだ! そいつがいなければ……! 今更のこのこと出てきやがって! ここも、全部! 俺のものだ!!」
由起也の方へ腕を伸ばして向かってこようとする健臣を、警官が体を張って堰き止めた。別の2人が両側から腕をとり動けなくしたところで、諦めたのか健臣がガックリと首を落とした。
その騒ぎに、守信がようやく目を覚ました。
「なんだぁ? 何が起こってんだ?」
呂律の回らない口調で言った守信は、ドロリとした目で前を見据えるだけで、周囲を警官が囲んでいることを、はっきりとは認識していない様子だった。
「由起也……!」
ようやく我に帰った隆平が、由起也がベルトで拘束されていることに気づき、駆け寄ってくる。
「無事で良かった」と言いながらベルトを外そうとする隆平に、由起也は苦しくなり始めた息で、何とか言った。
「先輩、……救急車。……りんご……」
隆平がハッとしてそばを見ると、りんごが数切れ散らばっていた。
「すみません! 由起也が!」
「どうしましたか?」
「りんごのアレルギーで、発作を起こしてます!」
隆平にそう言われた警官は視線だけで由起也を見て、すぐさま無線に向かって大きな声で言った。
「救急! アナフィラキシー!」
「大丈夫だ、由起也! 救急車、すぐ近くに来てるから!」
隆平は由起也を抱き抱え、必死で声をかけてくる。その泣きそうな顔と、温かい腕にようやく由起也は助かったんだという実感が湧いてきた。
けれど、呼吸はどんどん苦しくなっていく。
でも、隆平先輩がいるなら、平気、だ……。
由起也はそこで意識を手放した。
駆けつけた救急隊員によって適切な応急処置がされ、病院へと搬送された由起也は一命を取り留めたのだった。
窓ガラスの割れる音のすぐ後、隆平の叫び声が聞こえた。その音で健臣が後ろを振り返り、由起也の顔から手を離した。由起也が助かったと思う間もなく、健臣の姿が視界から消えた。
「お前! 由起也に何してやがんだ!」
由起也が体をよじって足元の方を見ると、隆平が健臣を引き倒し、胸ぐらを掴んで今にも殴りかかろうとしていた。
「君! よしなさい!」
警官が隆平を脇から抱え込み、健臣から引き剥がした。それでもなお健臣に向かって行こうと暴れる隆平に警官が言った。
「殴ったら、君も逮捕することになるぞ!」
そう言われた隆平が、やっとおとなしくなった。怒りは抑えきれていないらしく、肩で荒い息をしている。
そうしている間にも、割れた掃き出し窓から、次々と警官が入ってきて、座り込む健臣の周囲を囲んだ。しかし健臣は、へらりとした態度で言う。
「何事ですか。逮捕するならあいつの方でしょう? 俺が殴られそうになったの、見てたでしょ?」
「詳しいことは署で聞きます」
「こっちは不法侵入されたんですよぉ。いや~、これはひどいことになったなぁ。訴えないとなぁ」
「そもそもこの家、あなたの家ではないですよね」
ゴネる健臣に冷静に私服の刑事が言うと、健臣はカッと目を見開いて、叫び出した。
「ここも! 俺のものになるはずだったんだ! そいつがいなければ……! 今更のこのこと出てきやがって! ここも、全部! 俺のものだ!!」
由起也の方へ腕を伸ばして向かってこようとする健臣を、警官が体を張って堰き止めた。別の2人が両側から腕をとり動けなくしたところで、諦めたのか健臣がガックリと首を落とした。
その騒ぎに、守信がようやく目を覚ました。
「なんだぁ? 何が起こってんだ?」
呂律の回らない口調で言った守信は、ドロリとした目で前を見据えるだけで、周囲を警官が囲んでいることを、はっきりとは認識していない様子だった。
「由起也……!」
ようやく我に帰った隆平が、由起也がベルトで拘束されていることに気づき、駆け寄ってくる。
「無事で良かった」と言いながらベルトを外そうとする隆平に、由起也は苦しくなり始めた息で、何とか言った。
「先輩、……救急車。……りんご……」
隆平がハッとしてそばを見ると、りんごが数切れ散らばっていた。
「すみません! 由起也が!」
「どうしましたか?」
「りんごのアレルギーで、発作を起こしてます!」
隆平にそう言われた警官は視線だけで由起也を見て、すぐさま無線に向かって大きな声で言った。
「救急! アナフィラキシー!」
「大丈夫だ、由起也! 救急車、すぐ近くに来てるから!」
隆平は由起也を抱き抱え、必死で声をかけてくる。その泣きそうな顔と、温かい腕にようやく由起也は助かったんだという実感が湧いてきた。
けれど、呼吸はどんどん苦しくなっていく。
でも、隆平先輩がいるなら、平気、だ……。
由起也はそこで意識を手放した。
駆けつけた救急隊員によって適切な応急処置がされ、病院へと搬送された由起也は一命を取り留めたのだった。
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