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7章 幸せに暮らしましたとさ
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退院祝いの夕飯が終わり、由起也は後片付けを始めた。加奈子は明日まで置いたままいいと言ってくれていた。けれど、さすがにそれは家政夫としてダメだろうと思った由起也は、せめて食洗機に突っ込むまではと、食器の予洗いを始めた。横で隆平が手伝いをしてくれているが、なぜか少し緊張した様子だ。
さて、食器は食洗機に入れたし、部屋で休むかと思った時、由起也は隆平に呼び止められた。
「あのさ、話があるんだ。リビングで待っててもらっていい?」
さりげなさを装いながら、緊張を滲ませた隆平が言う。
断る理由もないので、由起也は大人しくリビングのソファに座って待っていた。
すると、廊下の方からガサガサという音が聞こえて来る。
由起也はなんだろうと思い、リビングの入口の方を見てギョッとした。ド派手でドでかい花束が、ドアをくぐって入ってきた。いや、花束を持った隆平だ。
「げ」
何事!? と由起也は花束を見て驚いた。
花束はバラ――ではなく、いろんな種類の花が混じっていた。白を基調に、ピンク、黄色、オレンジと色とりどりの花が、華やかにまとめられている。なぜか隆平はきっちりとジャケットまで羽織っていて、花束の存在感と合わせて、自宅リビングで異彩を放っている。
口をポカンと開けた由起也の前に跪いた隆平は、勢い良く言い放った。
「由起也! 俺と、結婚してください!」
は?
由起也はあっけに取られたが、言葉の意味がじわじわと胸に落ちてきた。
嬉しい。……でも、まーたこの人は……!
「先輩。……いきなり過ぎません?」
由起也がじとりとした目で睨むと、隆平はハッとした顔をした後、慌てて謝ってきた。
「ご、ごめん!」
「なんでまた、いきなり……」
「だって、就職したらここを出ていくって……」
あれ? オレ、そんなこと言ったっけ?
そう首を捻って、由起也はハッと気がついた。
こないだの、病室から隆平先輩が飛び出して行った時か!
自分が何と言ったか、由起也は少し考えて思い出す。
「あ! 就職したら、家政夫も難しくなる……」
「それ!」
由起也は頭を抱えた。いやいやいや。オレ、もっと前向きに、この家で引き続き住まわせてもらうこと前提で言ったつもりだったんだけど……!
由起也は大きく深呼吸した後、隆平に言った。
「オレ、ここを出るなんて、言ってませんよ。むしろ、ここにいたいから、就職した後の家事分担についてちゃんと話をしなきゃ、と思ったんです」
「そ、そうなの!?」
しょげていた隆平が、元気を取り戻す。
「はい。だから、やり直してください。……オレ、ちゃんと返事しますから」
ちょっと驚いた顔をした隆平が、キリリと顔を作り直して、もう一度由起也の前に跪く。今度は、優雅に、王子様のように。
「白石由起也さん。俺と結婚を前提にお付き合いしてください。そしてこの家に、ずっと一緒にいてください」
そう言って、恭しく花束を由起也に捧げた。
由起也は、真剣に隆平の顔を見て答えた。
「結婚……は制度的にまだ無理ですけど、それ前提に、オレをこの家に置いてください。それから……」
花束に手を伸ばし、一呼吸置いて。いつの間にか心の中に育った思いを告げる。
「オレ、隆平先輩のことが、好きです」
「由起也……!」
隆平は泣き笑いのくしゃりとした顔になり、右手を上げてそっと由起也の頬を撫でた。まだ殴られたアザの残る頬をやさしく、愛おしむように。
そして、立ち上がって腰を屈め、由起也にキスをした。
ああ、全然嫌じゃない。
おかしいなぁ。オレ、女の子の方が好きだったはずなんだけどな。
いつか出会う人に、オレからプロポーズして、あったかい家庭を築くことを想像していた。けれど、まさか自分がプロポーズされる側になると思ってなかったなぁ。
しかも、あったかい家庭の方は、もう先に手に入っちゃったし。
でも、きっと、たぶん……、先輩以上に好きになる人は、あらわれないだろうなぁ。
隆平が由起也の隣に、ゆっくりと腰掛けた。でっかい花束を由起也から取り上げ、ローテーブルの上にバランスを考えながら置き、由起也にそっと手を伸ばした。由起也は、隆平の腕の中にすっぽりと包まれた。
そして、隆平のキスに溺れた。
さて、食器は食洗機に入れたし、部屋で休むかと思った時、由起也は隆平に呼び止められた。
「あのさ、話があるんだ。リビングで待っててもらっていい?」
さりげなさを装いながら、緊張を滲ませた隆平が言う。
断る理由もないので、由起也は大人しくリビングのソファに座って待っていた。
すると、廊下の方からガサガサという音が聞こえて来る。
由起也はなんだろうと思い、リビングの入口の方を見てギョッとした。ド派手でドでかい花束が、ドアをくぐって入ってきた。いや、花束を持った隆平だ。
「げ」
何事!? と由起也は花束を見て驚いた。
花束はバラ――ではなく、いろんな種類の花が混じっていた。白を基調に、ピンク、黄色、オレンジと色とりどりの花が、華やかにまとめられている。なぜか隆平はきっちりとジャケットまで羽織っていて、花束の存在感と合わせて、自宅リビングで異彩を放っている。
口をポカンと開けた由起也の前に跪いた隆平は、勢い良く言い放った。
「由起也! 俺と、結婚してください!」
は?
由起也はあっけに取られたが、言葉の意味がじわじわと胸に落ちてきた。
嬉しい。……でも、まーたこの人は……!
「先輩。……いきなり過ぎません?」
由起也がじとりとした目で睨むと、隆平はハッとした顔をした後、慌てて謝ってきた。
「ご、ごめん!」
「なんでまた、いきなり……」
「だって、就職したらここを出ていくって……」
あれ? オレ、そんなこと言ったっけ?
そう首を捻って、由起也はハッと気がついた。
こないだの、病室から隆平先輩が飛び出して行った時か!
自分が何と言ったか、由起也は少し考えて思い出す。
「あ! 就職したら、家政夫も難しくなる……」
「それ!」
由起也は頭を抱えた。いやいやいや。オレ、もっと前向きに、この家で引き続き住まわせてもらうこと前提で言ったつもりだったんだけど……!
由起也は大きく深呼吸した後、隆平に言った。
「オレ、ここを出るなんて、言ってませんよ。むしろ、ここにいたいから、就職した後の家事分担についてちゃんと話をしなきゃ、と思ったんです」
「そ、そうなの!?」
しょげていた隆平が、元気を取り戻す。
「はい。だから、やり直してください。……オレ、ちゃんと返事しますから」
ちょっと驚いた顔をした隆平が、キリリと顔を作り直して、もう一度由起也の前に跪く。今度は、優雅に、王子様のように。
「白石由起也さん。俺と結婚を前提にお付き合いしてください。そしてこの家に、ずっと一緒にいてください」
そう言って、恭しく花束を由起也に捧げた。
由起也は、真剣に隆平の顔を見て答えた。
「結婚……は制度的にまだ無理ですけど、それ前提に、オレをこの家に置いてください。それから……」
花束に手を伸ばし、一呼吸置いて。いつの間にか心の中に育った思いを告げる。
「オレ、隆平先輩のことが、好きです」
「由起也……!」
隆平は泣き笑いのくしゃりとした顔になり、右手を上げてそっと由起也の頬を撫でた。まだ殴られたアザの残る頬をやさしく、愛おしむように。
そして、立ち上がって腰を屈め、由起也にキスをした。
ああ、全然嫌じゃない。
おかしいなぁ。オレ、女の子の方が好きだったはずなんだけどな。
いつか出会う人に、オレからプロポーズして、あったかい家庭を築くことを想像していた。けれど、まさか自分がプロポーズされる側になると思ってなかったなぁ。
しかも、あったかい家庭の方は、もう先に手に入っちゃったし。
でも、きっと、たぶん……、先輩以上に好きになる人は、あらわれないだろうなぁ。
隆平が由起也の隣に、ゆっくりと腰掛けた。でっかい花束を由起也から取り上げ、ローテーブルの上にバランスを考えながら置き、由起也にそっと手を伸ばした。由起也は、隆平の腕の中にすっぽりと包まれた。
そして、隆平のキスに溺れた。
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